CRMを導入する目的として「顧客情報を一元化すること」を第一に考えている企業も多いかもしれません。しかし、CRMの導入は、簡単に言えば、機能性に優れた収納ボックスを購入するようなものです。つまり、箱の中に入れるものがなければ意味がありません。そのためCRMを導入する前の段階で、会社が持っている顧客リストの情報を前もって「一元化」した状態にしてインポートの準備をしておくことが重要です。
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CRMは、顧客情報を一元化するうえで非常に役に立つツールですが、導入すればそれだけですべてがうまくいくわけではありません。CRMを導入する前に、すでにある情報を一元化するなどの準備をしておくことが必要です。
それでは、具体的にどんな情報をどうやって一元化していったら良いのかについて考えていきましょう。
顧客情報の管理方法は、各部署や支店・事業所ごとで管理するケースもあれば、担当者1人が管理していることもあります。まずは、顧客情報を誰が管理しているのかを確認しましょう。また、全国にある支店にバラバラに散らばっているのか、本社の中でも部署ごとに情報を管理しているのか、など、情報がどの程度散らばっているのかを把握する必要もあります。あわせて、顧客情報を管理しているチームや管理者のもとにどのぐらいの量の情報が集まっているのかも知っておきましょう。
情報の所在が確認できたら、会社としての全件数が何件になるのかを整理します。できるだけ1件単位で漏れがないように、各拠点・各部署から顧客リストの情報を集約しましょう。
会社での全件数が明らかになったら、次は、各拠点や部署、さらに各メンバー単位での担当数を確定させましょう。
もし可能であれば、件数だけではなく、今後保持する顧客情報の項目もこの段階で統一しておくと良いでしょう。
情報を一元化する際に直面しがちなのが、管理している人や場所ごとに入力項目やカテゴリ分類などが異なっていて、すぐに一つのデータにまとめられないということです。
入力項目やカテゴリなども、この機会に統一してルール化しておくと、CRM運用開始後も便利です。
もう少し掘り下げて考えてみましょう。顧客の基本情報といえば、法人名や担当者の氏名、電話番号やメールアドレスなどが挙げられます。
しかし、営業担当が顧客から得られる情報はこれだけではありません。たとえば、競合他社のサービス利用の有無や決算月など、営業に必要と思われる情報を決めておきます。
また、個人を対象としたビジネスの場合は、その人のパーソナルな部分も情報として残しておくと、商談などの際にちょっとしたネタになります。その顧客の家族構成やペットの有無、誕生日など細かい情報を記録しておくかどうか、議論して決めておくと良いでしょう。
CRMを導入する段階で顧客リストの整備ができても、そこで安心してはいけません。一元化された顧客情報は会社にとって貴重な財産ですが、ルールや運用方法を決めておかないと、またすぐに情報が分散してしまう可能性があります。
CRM導入のために顧客情報を一元化したタイミングで、どのような管理をすれば現場で使ってもらいやすいか、顧客リストの管理や運用について社内で議論をし、決めておけば安心です。
顧客リスト管理で、おすすめの例を一つ紹介します。
まず、顧客リストの管理担当者を決めておきます。そして、CRMに新規の顧客を追加登録するときには、管理担当者の確認と承認のフローを経ないと追加ができないという設定にしておきます。このように、リストの管理担当を置くことで、登録された情報がルールに沿っているかを第三者目線で確認できるほか、リストの重複や不要な顧客リストの追加を防ぐことが期待できます。
CRM導入時には、事前に顧客リストの情報を一元化できる時間の余裕を持って進めるのが理想的です。
顧客情報を一元化した状態にしておけば、導入時の顧客情報のインポートがスムーズになるのはもちろんのこと、導入後の運用シミュレーションも前もって行うことができます。
弊社では、CRMの導入だけではなく、CRM導入前の顧客情報一元化や、CRM導入後の運用ルールについてもコンサルティングを行っております。CRMの導入を検討してはいるけれど、現在の情報が散乱していて取りまとめが難しい、といったお悩み等もぜひお気軽にお問い合わせください。