2024年3月6日に、株式会社トライエッジと株式会社I.K.E.プランニングの共催セミナー「今さら聞けない、インサイドセールスの始め方」が開催されました。セミナーでは株式会社I.K.E.プランニングの代表取締役社長 池嶋様より、インサイドセールスの必要性や始め方、外注と内製化のメリット・デメリット等をレクチャーいただきました。当日の内容をレポートします。
この記事の目次
1.1 インサイドセールス導入の目的インサイドセールスチームは主に商談を作るチームで、導入の目的は、営業プロセスを分業化させ売り上げ目標を達成させることです。
昨今はSalesforce が提唱した概念およびフレームワークであるThe Model (ザ・モデル)という営業活動の分業制を取り入れる企業が増えています。旧来は営業が一気通貫でやってきた営業プロセスをマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスと分業させ、各プロセスの専任プロフェッショナルを作り、それぞれの成果の最大化を図るビジネスモデルです。
インサイドセールスはマーケティングとフィールドセールスの橋渡しとして、ニーズの高い商談を作ることが求められます。
ここで質問ですが、営業社員のKPIは設定していますか?
「売上目標を達成させるためには、受注単価が〇万円なので、一人当たり毎月〇件の受注が必要・・・」
「受注率が20%だからそのためには〇件の商談が必要で、アポ獲得率が2%だから〇件のテレアポが必要だ。よし!営業のKPIはテレアポの件数にしてコミットさせよう!」
このような考え方でKPIを設定していませんか?
このやり方だと電話をすることが目標になってしまい、電話の質が低下し、アポ獲得率が平均を下回ります。商談数や商談の質にも影響が出て、結果として売上目標が未達成となることが多いです。KPIなので評価の指標にも関わらず、目標が未達成の場合は高い評価が出来ず、営業には「KPIは達成しているのに・・・」という不満が生まれてしまいます。
また行動量を増やすと瞬間的な売上は伸びるかもしれませんが、長くは続きません。営業は電話以外にも様々な業務があるためテレアポ件数を追うのは大変で、いずれ質の低下や社員の退職に繋がります。社員が継続的に成果を出すためにも、分業での効率化が必要です。
そこで大事になるのが、商談を作り供給するインサイドセールスです。
フィールドセールスチームのメンバーは1日の商談数を安定させ、残業が当たり前ではなく退社時間も定時にすることが望ましいです。KPIは受注率を上げる取り組みや受注単価で設定すると良いでしょう。
インサイドセールスチームはよりニーズの高い商談を作るスペシャリストとして、商談作成数にコミットすることで、売上目標達成への貢献をし続ける組織になっていきます。
全ての企業にインサイドセールスがおすすめかというと、そうではありません。
会社やサービスの特性により向き不向きがありますので、それぞれいくつか要件をあげていきます。
■インサイドセールスが向いている会社
例えばトップセールスがいる会社は、トップセールスに商談さえ渡せば受注角度は高いので、インサイドセールスが商談獲得に専念し商談数が増えることで成果が上がります。
また検討期間が長いサービスの場合は、定期的に商談相手と接点を持ち続けることが重要となります。インサイドセールスが定期接触をすることで顧客との関係性を適切に維持し、顧客の検討段階に合わせた提案をしながら最適なタイミングでアプローチを進めることができます。
■インサイドセールスが向いていない会社
昨今はビジネスにおいて分業による効率化が注目されてきていますが、これまでの「営業が最初から最後まで対応するべきである」「一気通貫で対応してこそ営業だ」という考え方が根強く残っている会社の場合は、インサイドセールスの理解を得ることが難しく、残念ながら定着や成果に繋がらない可能性が高いです。
インサイドセールスを設ける場合は、外部への委託と自社での内製の2パターンが考えられます。外注と内製化についても、それぞれ特徴的なメリットとデメリットをあげていきます。
外注・BPO | 内製化 | |
メリット | ・採用、教育にコストや期間がかからない ・PCやインカム、リスト管理システムなど必要な設備を外注先が持っている ・アプローチリストの用意を外注先に依頼することが出来る |
・外注と比較すると商談獲得単価が低くなる傾向があり、コストを抑えられる ・自社にナレッジが蓄積していくため共有、展開もしやすい |
デメリット | ・内製化と比較すると商談獲得単価が高くなる傾向がある ・ナレッジが自社に蓄積しないため、定期ミーティングなどで蓄積、共有していく必要がある |
・採用や教育にコスト、期間がかかる ・必要な設備を自社で用意する必要がある |
インサイドセールスを内製化する際には、フィールドセールスを経験している社員をリーダーにするのが重要なポイントです。営業経験のない人がリーダーになってしまうと、営業にしか分からないような現場の感覚やニュアンスが伝わらなかったり、適切な分析・改善が難しかったりするからです。
また、社員の評価をフィールドセールスと同じ基準にすることが望ましいです。会社によっては同じセールスでも内勤と外勤で手当てを別にしたり、内勤には手当てが付かなくなっていたりということがよくあります。差別化せず同じ基準で評価をしないと、インサイドセールスが不満を持ち、スペシャリストが育っても退職してしまうことがあります。インサイドセールスの商談獲得も成約・売上への貢献であり、受注したフィールドセールスだけでなく商談を獲得したインサイドセールスも評価されるべきでしょう。
外注と内製化のどちらが合うかはそれぞれの会社状況により異なりますが、最近は自社でもインサイドセールスチームを持ち、足りない部分は外注しようという併用も増えています。営業はとにかくスピードが求められますので、内製化をしてコツコツ実行していくことも重要ではありますが、競合他社より早くシェアを獲得するためにも、外注と同時進行しノウハウを取り入れながら内製化のスピードを上げていくのが有効です。
インサイドセールスを始める際には、人、モノ、ツールなどの用意が必要です。ここでは用意するものと例をピックアップしてみます。
■用意するもの:例
記載は一例ですが、インサイドセールスで実務を行うにあたって必要なものを揃える際には、様々な選択肢があります。最初からコストをかけすぎるのではなく、無料や安価に使えるツールも上手く活用していくと始めやすいでしょう。
インサイドセールスを始めるにあたっては、適切なKPIの設定が必要となります。参考として、インサイドセールスチームのKPIの一例を記載します。
コール数は不通は除き、担当者に繋がった数を15件とします。基準を下回ると商談獲得単価が上がってしまいます。メール送信は、テンプレートではなく1件1件パーソナライズ対応をした際の基準の件数です。商談獲得率は基準を上回るか下回るかで評価をすると良いでしょう。
内製化をしていくうえでは「効率」が重要なポイントとなりますので、効率を上げるためにもあれもこれもと細かい作業をさせるのではなく、1件でも多くアプローチできる環境を作りましょう。
作業効率を上げるための運用、ルールも欠かせません。例として、下記のような運用は取り入れることが望ましいです。
アプローチ用のリストはフィルター機能を使う
フィルターに「架電用スト」「後追い用リスト」など名前を付け、用途に合わせて使用します。
転記の作業をさせない
クエリ関数などを駆使し、リストアップを自動化しましょう。自動化によりヒューマンエラーも防ぐことができます。報告用のテンプレートも1回のコピー&ペーストで出来るように設定するとスムーズです。
データシートは1か所にまとめる
それぞれのシートを別で管理するのではなく、トークスクリプト、FAQ、アプローチリスト、サマリー、提供商談、資料送付獲得リスト、SWOT分析等はタブを分け、1つのデータシートで管理できると良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。
時代の変化とともに最適な営業スタイルも変化しており、インサイドセールスを取り入れる企業は年々増加傾向にあります。インサイドセールスの導入を検討している企業においては、自社にとってどのようなメリットがあるのか、どのように人員配置をして適切な体制を整えるのかなどを戦略的に検討をしていく必要があります。内製化と外注の双方を視野に入れながら、営業の効率化、売上向上を図ってみてはいかがでしょうか。
次回はインサイドセールスの生産性を上げることをテーマにした講座を開催する予定です。今後のイベント情報はこちらでも配信していきますので、ご興味がある方はメルマガの登録をお待ちしております。
なお、株式会社トライエッジでは、HubSpotやZohoを用いたSFA/CRM/MAの導入/運用支援を行っています。システム導入が目標となる通常のサービスとは異なり、導入後の運用からお客様の成果が出るまでを支援する伴走型のサポートを行っています。インサイドセールスと一緒にITツールの導入・運用をご検討の方はぜひ一度ご相談ください。