こんにちは。トライエッジ代表の中野です。みなさまは顧客情報をどのように管理していますか?ビジネスを行うと、様々な「顧客」に遭遇します。「顧客」とは自社のサービスを使ってくれた「取引顧客」だけではありません。「自社サービスの資料を請求した」「自社主催のイベントに参加してくれた」といった「現在取引していないが、今後取引する可能性がある相手」も「顧客」として取り扱います。
こういった顧客を「見込み顧客」「未取引顧客」といったような呼び方をすることもあるかもしれません。このように顧客はさまざまな形態がありますが、こういった「顧客」の情報をどのように管理していますか?
「取引している顧客は管理しているが、取引をしていない顧客は情報が分散している」「取引していない顧客についてはそもそも管理していない」こういった声をよく聞きます。
「顧客情報」は会社に蓄積されていく財産です。江戸時代の商人は火事が起こったときに、顧客台帳を井戸に投げ込んでから逃げたという話もあります。そのくらい顧客情報は昔からビジネスの基本です。
この顧客情報は一元的に管理することが重要です。情報があったとしてもバラバラに管理していては意味がありません。今日は「顧客情報の一元管理」をテーマにお伝えします。
執筆者
株式会社トライエッジ代表 中野三四郎
この記事の目次
1.なぜ「顧客情報の一元管理」が必要か顧客情報の一元管理は、現代のビジネスにおいて必要不可欠な要素と言って良いと思います。
ポイントは3点です。
経営上、意思決定を行う際に必要なのは「顧客の情報」です。自社の顧客はどのような業種が多いのか、どういった企業規模なのか、を把握することは、意思決定を行う際に非常に重要なプロセスになります。
顧客情報を一元管理することにより、経営者などの意思決定者はリアルタイムで正確な顧客データにアクセスできるようになりますし、これを基にした意思決定が可能となります。
顧客データ無しの意思決定は、目を閉じたままボールを投げるようなものだと思ってください。
顧客データが一元的に管理統合されることで、情報の検索や更新が簡単になります。
実業務に関わっているメンバーは、正確な顧客情報を把握する必要がありますが、これらの情報が様々な形態で保存されていると、それらの情報を集約するのに時間がかかります。
これらの時間を短縮させ、業務を効率化させるためにも一元管理は非常に重要です。
一元管理により、顧客の属性や取引履歴を把握することが容易になります。
これらの情報を統合的に分析を行えば、顧客の購買傾向などの理解が深まり、より効率的なマーケティングを実施することが可能です。
逆に言えば、自社と相性が悪い顧客群も把握することができ、無駄なマーケティング費用を削減する効果もあります。
結果として顧客の満足度向上や営業効率の向上などを見込むことが可能です。
一元管理を行うに当たっては、管理するためのシステム(CRM)を適切に選ぶことが重要です。
システム選定のポイントは以下の3つです。
まず、やりたいこと・解決したい課題を明確にしましょう。どういった情報を管理すべきなのか、その情報を使って何をしたいのかがはっきりしないケースがよくありますが、これらが不明確だとなんのためにシステムを入れるのか、入れたあとどうするのかがぶれてしまい、結果として誰にも使われないシステム導入になるケースがあります。
大変重要なポイントです。
顧客データの統合は、「短期的な視点」と「長期的な視点」が必要です。その際に、いつまでに最終的にはどういった状態に持っていきたいのかを明確にしましょう。
これらを明確にすれば、初期に使うべき機能と最終的にどういった機能を拡張していくべきかがわかりやすくなります。
短期的な視点だけでなく、最低でも3年程度の長期的な視点を持ちましょう。
既に導入している企業や同業他社の事例を参考にし、実際の使用感や効果を把握することも重要です。
可能なのであれば実際に使っているユーザーの声を聞いてみましょう。
システムの導入を成功させるためのコツは多くありますが、こちらでは簡単に重要なポイントだけ絞って説明していきます。
導入プロセスを具体的かつ計画的に進めるために、プロジェクト計画を策定する必要があります。
これにはプロジェクトの意義・解決したい課題・スケジュール・予算確保などが含まれます。
導入に関わる関係者全員との密なコミュニケーションを図り、関係者全体がプロジェクトの進捗を理解し、協力できるようにしましょう。
システム部門やマーケティング部門だけが独自に進めるのではなく、経営陣・営業現場などをしっかりと巻き込んで進めることが重要です。
導入に当たっては、一部の部門などで小さな規模で行って、問題点を洗い出す方式が有効です。いきなり全社的に行うと、合意形成や導入の作業が膨大となり、プロジェクトが頓挫しがちです。
部分的に導入を行って成功を収めてから徐々に広げていくのが成功の鍵です。
一元管理された顧客データは活用しなければ意味がありません。
データ活用については様々な手法がありますが、ここでは代表的なものをいくつか上げておきます。
一元管理されたデータを基に、特定の属性や顧客にターゲットを絞ったマーケティングを展開します。
顧客データを活用する最もベーシックな活用方法だと言えます。
当たり前のようですが、顧客を属性ごとに区分けしてマーケティングを継続的に行うことは簡単ではありません。属性を3つに分ければ顧客のコミュニケーションの仕方が単純に3倍になるからです。
アップセリングは自社の取引顧客により高単価のサービスを販売していくことです。一方でクロスセリングとは取引顧客に対して自社の別サービスを販売してしていくことを指します。
顧客の基本情報や購買履歴を分析し、過去の傾向からアップセリング・クロスセリングに適した顧客や今後可能性が高い顧客を洗い出します。
洗い出した顧客に個別でこういった提案をすることで顧客単価を上げていくことができます。
顧客の一元管理ができれば、顧客からのフィードバックも一元的に管理でき、マーケティングやセールスチームにも実際の顧客の声を届けることが可能です。
これら顧客の情報を活かし、マーケティングやセールスに活かすことができれば、自社サービスの商品の品質向上に役立てられます。
以上、ここまで顧客の一元管理について解説をしてきました。
顧客の管理は、「言うは易く行うは難し」という言葉がぴったりで、実際にやりきれている会社は多くありません。
HubSpot Japanの調査でも、30%以上の企業が顧客の管理方法が明確ではない、わからないという結果が出ました。
顧客管理の重要性は今や言うまでもなく、この記事の述べてきたように、その中でも顧客情報の一元管理はビジネス成功に欠かせません。
適切なシステムの選定と導入、そしてデータの活用を通じて、企業は効率化された業務プロセスと顧客満足度向上を実現できます。これにより、競争の激しい市場で企業が持続的な成長を遂げる手助けとなるでしょう。