「サブスクリプションモデル」という言葉を耳にしたことはありますか?サブスクリプションモデルとは、利用期間に対して課金するビジネスモデルのことで、世界中のみならず、日本国内でもWebを介したサービスを中心に広まりを見せてきていました。そして最近では、リアル店舗でもこのモデルを導入するケースが増えてきています。そこで今回は、サブスクリプションモデルを使ったサービスについて紹介していきます。
この記事の目次
1 「サブスクリプションモデル」とは?「サブスクリプションモデル」とは、提供する商品やサービスの数ではなく、利用期間に対して対価を支払う方式のことです。多くの場合、「定額制」と同じ意味で用いられています。かつては家賃の支払いや書籍の定期購読など限られた分野でしか使われていませんでしたが、今や業界や分野の垣根を超えて広がりを見せてきています。
そんなサブスクリプションモデルの成功事例を、異なるジャンルで3つご紹介します。
出典:https://www.amazon.co.jp/gp/prime/
サブスクリプションモデルの中でももっとも有名なAmazonプライムは、筆者も実際に利用しているサービスの一つです。
Amazonプライムに加入すると、商品購入時の送料無料やお急ぎ便(最短翌日配達)の利用など、Amazonで買い物をするときの特典はもちろん、音楽聞き放題や雑誌・書籍の読み放題、映画や動画の見放題など、多くのサービスを受けることができます。
2018年4月には、プライム会員が世界で1億人を突破したと発表されましたが、国内でも右肩上がりに会員数が増えているそうです。
Amazonプライムの成功ポイントは、
の2つだと考えます。
送料無料やお急ぎ便に加え、映画や動画の見放題サービスなどの会員特典を実施し、顧客は毎月決まった金額を支払うだけで多くのサービスを受けることが可能となりました。また、普段Amazonで買い物をしている人なら1クリックで加入できる点や、月額400円(年額3,900円)という価格設定も、加入する際の心理的なハードルをさげているのではないかと考えられます。
「月400円で色々なサービスが受けられるし、とりあえず入っておこうかな」と顧客に思わせることに成功した点が、Amazonプライムの成功要因ではないでしょうか。
次に紹介する事例は、ZOZO「おまかせ定期便」です。このサービスの最大の特徴は、顧客と関係を構築することに重きを置いている点です。
サブスクリプションモデルにおいて、顧客は途中で契約をやめることができます。そのため、企業は顧客との関係を継続していくことが非常に重要です。新規加入者を増やすだけではなく、脱落者を防ぐことも成功のポイントです。
ZOZO「おまかせ定期便」は、申し込み時のアンケートで、好みのテイストやサイズ感、気になる身体のパーツ、予算などを答えると、自分の趣向にあった商品が10点ほど定期的に送られてくるサービスです。送られてきたものの中から気に入ったものを購入し、不要なものは無料で返品することができます。
また、過去の購入履歴や採寸用ボディスーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」による計測結果も反映され、それらをAIが解析します。そして、その結果をもとに経験の豊富なスタッフが定期便で届ける商品を選定します。
顧客にこれまでにない価値を提供できるサービスとして話題を集めていますが、この根底にはZOZOという会社の顧客に対する考え方があります。
従来、マーケティングでの顧客管理手法は、米セールスフォース・ドットコム提唱の「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)」と呼ばれるものでした。しかし、ZOZOでは顧客を「友達」ととらえ、「カスタマー・フレンドシップ・マネジメント(CFM)」を提唱しています。
当初から顧客を親密なパートナーと考えてきたZOZOにとって、サブスクリプションモデルは非常に親和性の高いサービスモデルで、顧客に対する会社自体の考え方が大きな成功要因であったと考えられます。
実際、2017年末に発表したZOZOSUITの生産・数量確保に失敗し、なかなか発送が始まらないというトラブルが発生してもそこまで大きな批判が出なかったのは、顧客との良好な関係性があったからではないでしょうか。
出典:http://coffeemafia.jp/plans
最後に紹介する事例は、実際に店舗を構えて営業している飲食店のサブスクリプションモデルです。今回は、西新宿と飯田橋で営業しているCoffee mafiaを取り上げます。
Coffee mafiaは、いち早く定額制を導入したことで知られるコーヒースタンドです。定額コースは2種類あり、月額3,000円で1杯300円のラージサイズコーヒー、6,500円で全てのソフトドリンクをいつでも一杯無料(一部例外あり)で利用できます。また、ディナータイムでは、生ビール480円が280円、ハイボール400円が280円になるなど、同行者もアルコールドリンクの割引を受けることができます。
飲食店がサブスクリプションモデルを導入する理由は、大きく分けて下記の3つだと言われます。
食べログなどの検索サイトが広く普及している今、飲食店が固定客を確保し続けたり、新規客を増やしたりすることは簡単ではありません。そこで、サブスクリプションモデルを導入して利用客に来店を促し、固定客を確保していきます。また、定額制を導入したことによる話題性や固定客の口コミで、新規客を増加させることが成功のポイントと言えます。さらに、定額制の会員となった顧客をカードやアプリで管理することにより、いつどのような人が何を注文したか等の顧客データを一元管理することが可能になります。顧客データを収集することで、今後の店舗経営の舵を適切に切っていくことができるのです。
Coffee mafiaでは、会員に対する定額サービスだけでなく、同行者もサービスを受けられるようにしたことで、同行者の加入意欲を高めることに成功し、会員数を増やしてきています。
今回は、サブスクリプションモデルについて3つの事例を紹介しました。顧客に寄り添いながら、顧客が求めるサービスはなにか、顧客にとっての価値はなにかをしっかりと考え抜くことが、サブスクリプションモデルで成功するためのポイントと言えるでしょう。これはWeb上でのサービスでも、リアル店舗でのサービスでも変わらないところかと思います。
これからもますます広がりを見せるであろうサブスクリプションモデルのサービスに、引き続き注目していきましょう。
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