営業DXという言葉が近年活発に使われだしています。
日本の営業組織は世界との比較においても生産性が低いという調査(マッキンゼー・アンド・カンパニー社による調査)もありますし、限られた人材で営業組織が高いパフォーマンスを出すためには、営業組織のデジタル化とその活用を見据えた「営業DX」は必要不可欠であると言えるでしょう。
こちらの記事では私達が考える営業DXのポイントとその進め方をまとめていきたいと思います。
執筆者
株式会社トライエッジ代表 中野三四郎
この記事の目次
1 営業DXとは何か?営業DX(Digital Transformation)は、営業活動においてデジタル技術を統合し、効率を向上させ、顧客との関係を強化するための取り組みを指します。
以下において、営業DXの基本的な定義を解説します。
営業DXとは下記のような活動を行うことにより実現されます。
営業DXでは、従来のアナログな手法からデジタル技術を活用し、ビジネスプロセスを効率的かつ効果的に改善します。これには、CRM/SFAなどの営業支援システムを始めとしたクラウドコンピューティング、ビッグデータ分析、人工知能(AI)などが含まれます。
営業DXでは、データドリブンの顧客アプローチを実現していきます。
データドリブンとは、蓄積されたデータを基にした意思決定や行動を指します。
自社のビジネスに関連するデータを収集・分析し、これらの分析結果から洞察を得ることで、意思決定をより合理的かつ戦略的に行えるようにすることが重要です。
営業DXの目的の一つは、顧客との関係を向上させることです。
デジタル技術を利用して、顧客に対してよりパーソナライズ(最適化)されたコミュニケーションやサービスを提供し、購買体験を向上させることによって、顧客満足度を向上させることが重要です。
このように、営業DXは単にITツールを導入することだけではなく、これらのデジタル技術を活用して顧客データを効率的に収集、そしてそれらのデータを活用することで実現されます。
営業DXが叫ばれるようになって様々な企業が取り組んできましたが、様々な要因によって導入がうまく行かないケースが発生します。
こちらでは、うまくいかないケースとそれらのケースに対する解決策のイメージを列記します。
【課題】営業DXはこれまでのプロセスの一部、場合によっては大半のプロセスを変える必要が生じます。営業現場に限りませんが、これまでの業務プロセスを変更するのは、大小様々な抵抗が発生します。
【解決策】営業DXを現場からの抵抗を最小限にしながら進める方法としては営業DXを行うことによるメリットを明確に提示することです。プロセスを変更する以上、一定の業務的負荷が発生するのは避けられません。こういった状況を踏まえて、なぜ営業DXを”今”行う必要があるのか、営業DXが完了した場合どのようなメリットが営業現場にもたらされるのかを提示しましょう。
【課題】新しいデジタル技術を導入するためには、スキルが不足しているケースがよくあります。というより、始めから営業現場にスキルが備わっているケースのほうが稀ですので、こういった状況に対処する必要があります。
【解決策】ITツールを始めとしたデジタル技術に対しては、適応できる社員とそうでない社員に分かれるケースが多く、一定規模の営業組織の場合は適応できない社員へのフォローは必要不可欠です。
こういった状況を解決するためにするべきことは
といった対策が有効です。
【課題】新しいテクノロジーを導入するためには一定の予算が必要です。一方で、営業活動というのは、デジタルを活用しなかったとしても、一定行うことが出来るため、予算を申請するための理由が必要となります。
【解決策】営業DXに関する予算を社内で申請するために必要なのは、その効果を見積もることです。
効果は大きく分けて「売上の向上」と「業務の効率化」になります。どういった効果があるのか情報は、同様の事例を調べたり、ITベンダーなどからのヒアリングによって得ることができます。
これらの課題に対する効果的な対策を講じることで、営業DXの導入を成功に導くことができます。進化する状況に柔軟に対応し、絶え間ない改善と学習のサイクルを確立することが鍵となります。
営業DXは一部の部門ではなく、会社内の様々な部署に影響がある施策です。これらを導入するに当たっては、経営チームが
を明確に理解してもらう必要があります。また、営業DXを始めるに当たっては、経営チームからその内容を全社に告知してもらう必要があるでしょう。
営業DXの中核を成すのは、収集したデータの分析とその活用です。
その点を踏まえて考えますと、
を明確に定義する必要があります。これらの定義を怠った状態で営業DXを進めると、このデータはなんのために収集するのか、収集したデータをどう活用したらいいのか、が不明確となり、営業DXそのものの意義が問われかねません。
これらを踏まえた上で、営業DXにおいてどんなデータをどのような手段で、どういった精度で集めるのか、といった具体的な施策を検討していく必要があります。
営業DXは従来の営業組織を変革していくプロセスです。これらを推進するにあたっては、それに適した人材を推進チームに配置する必要があります。
一般的に営業DXを推進していくには以下のような人材が適しています。
ここで重要なのは、これらすべての知識を一人の人材で補うことは大変困難であるということです。一般的に営業現場寄りの人材と情報システム寄りの人材は異なることが多いため、これらのスキルを一人で持つことは難しいと言わざるを得ません。
そこでおすすめなのは、営業DXの推進担当を
①営業部門との調整役
②ITベンダーとの調整役
に分けることです。上記で掲げたスキルは、これら二人の異なった役割を持つ人材が対応すれば、概ね対応出来るでしょう。
実際の部門イメージとしては①が営業・マーケティング部門となり、②が情報システム系部門になります。
いかがでしたでしょうか。
営業DXの活用は、もはや「やるかやらないか」ではなく、「いつから取り組むのか」という視点で考えていくべき課題かと考えています。
営業DXは様々なデジタル技術の導入に一定の時間がかかるだけでなく、それらを活用していくためには複合的な取り組みが必要です。一方で、顧客データや営業データが蓄積され、それらのデータが活用できるような営業組織になれば、それはその営業組織にとって固有の武器となり、自社の強みとなっていくことでしょう。
営業DXが目新しい言葉ではない日が来るのはもう間近です。
御社はいつから取り組みますか?
なお、株式会社トライエッジでは、HubSpotやZohoを用いたSFA/CRM/MAの導入/運用支援を行っています。システム導入が目標となる通常のサービスとは異なり、導入後の運用からお客様の成果が出るまでを支援する伴走型のサポートです。
顧客管理に便利な各種ツールにご興味のあるご担当者様は、お気軽にお問い合わせください。