「皆さん、週末にフットサル観に行きませんか?」
ある日、私(中野)がふと思い立って社内チャットに投げかけた一言から、今回のフットサル観戦企画は始まった。
フットサルといっても、私自身、ちゃんとプロの試合を観戦したことはない。サッカー観戦の経験はあるが、フットサルはルールもよく知らない。(サッカーとだいたい一緒ではないのか?)
「面白そうですね!」 「行きたいです!」
想像以上にポジティブな反応が返ってきた。
そうと決まれば善は急げ。
試合を調べ、チケットを手配し、あっという間に観戦の日を迎えた。
会場は、横浜武道館。
せっかく横浜までみんなで行くのだから、名物の一つでも楽しみたい。
そう考えていた私の頭に浮かんだのは、やはり崎陽軒のシウマイ弁当だった。
「お弁当を買い込んで、ビール片手に観戦、なんてどうでしょう?」
この提案にも全員一致で賛成。試合開始が近づくにつれ、私たちはワクワクしながらそれぞれの席についた。
手元には、お馴染みのシウマイ弁当と、冷えたビール。
「やっぱり、この昔ながらのシウマイが美味しいよね」 「唐揚げも欠かせないよな」
そんな他愛のない会話を交わしながら、私たちは試合開始の笛を待った。
いよいよ試合開始の時間がやってきた。私たちが応援するのは、YSCC横浜フットサル。対戦相手はバルドラール浦安だ。
キックオフの笛が鳴り、試合が始まった。
…ん?
まず驚いたのは、その展開の速さだった。コートが狭い分、選手の動きもボールの動きも、とにかく速い。まるで、将棋の早指しを見ているようだ。
観戦しながらシウマイ弁当を口に運び、ビールで喉を潤す。普段のデスクでは味わえない、この非日常感がたまらない。
そして、初めて見るフットサルのルールに、私たちは何度も「え?今のどういうこと?」と顔を見合わせた。
その一つが交代の自由さだ。フットサルには「交代ゾーン」というものがあり、そこにいる選手は、いつでも自由に交代できる。サッカーのように、プレーが止まるまで待つ必要がない。
「これって、めちゃくちゃ戦術の幅が広がりそうじゃないですか?」
誰かがそう口にすると、皆が「確かに!」と頷いた。
疲れが見えた選手はすぐに交代し、フレッシュな選手が投入される。これにより、試合は常にトップスピードで進む。
さらに面白かったのがパワープレイ。これは、試合終盤に負けているチームが、キーパーをフィールドプレイヤーに変えて攻撃に参加させる戦術だ。
「キーパーが前にいる…」「すごい、5人全員で攻めてる!」
まさかキーパーが前線でパス回しに参加するとは思わず、私たちは大興奮。守備が薄くなるリスクと引き換えに、点を取ることに集中するその大胆さに、思わず息をのんだ。
YSCC横浜は残念ながら負けてしまったが、その試合内容は、私たちの想像をはるかに超えるものだった。
なんと、合計で10点も入るというエキサイティングな展開。
得点が決まるたびに、会場全体が揺れるような歓声に包まれた。
試合終了の笛が鳴り、私たちは拍手を送りながら席を立った。勝敗に関わらず、これほど興奮した試合は久しぶりだった。
帰り道、みんなで感想を語り合った。
「いやー、本当に面白かったですね!」
「あのパワープレイ、痺れましたね」
「〇〇さんの応援の仕方が熱かった!」
「フットサルって、こんなに面白いスポーツだったんですね!」
普段の仕事では、真剣な表情や冷静な判断力が求められることが多い。
だが、この日は皆が声を張り上げ、一喜一憂し、感情をむき出しにして楽しんでいた。
フットサルという共通の話題を通して、私たちは互いの意外な一面を知ることができた。
今回、フットサル観戦に皆を誘ってみて、本当に良かったと思う。
同じ時間を共有し、同じ熱狂を分かち合うこと。
それは、会社のチームワークを育む上で、とても大切なことだと改めて気づかされた。
横浜武道館の熱気と、シウマイ弁当の温かさが、私たちの心を一つにしてくれた。
「次は、何の試合を観に行こうか?」
そんな言葉を交わしながら、私たちは家路についた。
きっと、私たちのチームは、これからもたくさんの「面白い」を共有しながら、成長していくのだろう。