これまでの記事では、CRMを使用すると、営業活動の生産性が劇的に向上するということについてご紹介してきました。しかし、CRMは、導入するだけで成果を出せる魔法の杖ではありません。CRMを使用して成果を出すためには、チームの課題を整理した上で適した運用方法を考案し、メンバーに確実に使ってもらうことが必要となります。今回は、その一つとして、営業現場の業務フローを再確認する重要性についてご紹介します。
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営業担当の一日、 “分刻み”で把握できていますか?
「営業担当が日々どのような活動をしているのか」ーーCRMの導入担当者にこうした質問を投げかけてみると、「だいたいは把握している」という回答がほとんどです。しかし、その場合、分刻みで営業担当の動きを把握している人は多くはないでしょう。CRMを導入する際、このようなざっくりとした情報では不十分です。
実際にCRMを導入し、運用方法を検討していく上では、各営業担当の1日の動きを精緻に把握しておくことが必要となってきます。具体的には、「1日のうちどのタイミングで営業活動や報告、情報の更新をしているのか」「それが1日に何件ずつで、1件あたりどのぐらいの時間がかかっているのか」などです。このように、現場の状況を細かいところまで、行動であれば分刻みで把握することが重要です。これらの実態を踏まえて、CRMで使用する項目の設定や機能の要件定義を行っていきます。
ただでさえ、日々の業務や目標達成に追われている営業チームにとって、新しいツールを導入してメンバーに習慣化させるのは、ハードルが高いものです。CRMの設定や仕様が現場の状況を考慮したものになっていないと、「多額の予算を投下して導入したものの誰にも使われない」という悲惨な結果を招いてしまうことになります。
営業担当の動きを知るには”一日密着同行”がおすすめ!
営業担当の実際の動きをしっかりと把握するのに、ヒアリングを行ったり、分刻みで行動を記録した日報のようなアンケートを提出させたりしてみようと考える担当者も多いかもしれません。
確かに、ヒアリングやアンケート依頼を行うだけでも、営業担当が1日にどういった動きをしているかはなんとなく見えてきます。しかし、これだけでは、今営業担当が抱えている課題を明確化し、CRMの設定に生かしていくには不十分です。
そこで、おすすめしたいのが、営業担当の行動を1日密着同行して把握することです。
営業担当の中でも、1日の訪問件数が多い人に丸1日同行をさせてもらい、実際の業務フローやボリュームを確認します。こうして同行を行うことで、モバイルの電波状況や移動手段、訪問と訪問の間の時間にどこで何をしているかなど、ヒアリングやアンケートではつかみにくい「生の現場の情報」を掴むことができます。
さらに、この営業同行も、複数人に声がけをして行うと良いでしょう。たとえば、営業成績をもっとも上げているチームのエースと、営業活動を始めたばかりの新卒社員など、立場の異なる人を何人かピックアップして同行を行っていきましょう。こうすることにより、まず、それぞれの営業担当が課題としていることが見えてきます。
また、同行によりトップ営業マンが行っている習慣を把握することができたら、これをCRMの設定に落とし込んでみましょう。商談相手へのヒアリング項目や、事前調査、商談後のクライアントへのフォローなど、何かしら他の営業担当にとって参考になる部分があるはずです。CRMでトップ営業マンのメソッドを仕組み化できれば、これが個人の属人的なスキルで終わらず、再現性の高い資産としてチームに残ります。
営業担当に合わせたCRM運用で「使ってもらえる」ツールに
CRMで営業活動の劇的な生産性アップを望むのであれば、営業担当の現状の行動把握を行うことが必要不可欠となります。
行動把握の粒度については、細かければ細かいほどCRMの運用を考えるうえで役立ちます。この記事でご紹介したように、可能であれば複数人の営業同行を行い、日々の行動の実態と課題をできるかぎり明確につかむようにしましょう。
この業務フロー把握により、CRM導入後、現場での効率的な利用が考慮された「使いやすい」運用設計ができるようになります。導入後も、営業担当にヒアリングをこまめに行い、可能であれば同行もして、どのようにCRMが利用されているかを把握してその後の仕様や運用方法の改善が継続的にできれば理想的です。営業現場の把握をしっかりと行い「現場に使ってもらえる」CRMに、さらには営業現場にとって「業務に欠かすことのできない」ツールになることを目指しましょう。
弊社では、CRM導入前の運用設計や、導入後の運用改善についてもコンサルティングを行っています。営業現場での行動実態の把握や課題発見のノウハウ、ケースに合わせたCRMの活用方法をご提案しますので、ぜひお気軽にご相談ください。