CRMを触る前にやっておくべきこと③重要KPIの定義を決めておく
CRMに何を1件と数えるかを決めないまま導入すると、せっかく一元化した数字がまたバラバラになります。営業活動と商談の定義を明文化する基準例、成約済やAヨミなど進捗ステータスの言葉をそろえる手順、入力項目をプルダウンに落とし込み自由記述を最小限にする設計まで、順を追って解説します。
CRMに「何を1件と数えるか」を決めないまま導入すると、せっかく一元化した数字がまたバラバラになります。
理由は単純で、同じ活動でも人によってカウントの基準が違うからです。Aさんの基準では5件、Bさんの基準では10件。この状態ではKPIを比較できません。
先に決めるのは2つです。 「営業活動」「商談」といった言葉の定義を明文化することと、その定義をCRMの入力選択肢に落とし込むことです。
営業活動は、何をもって1件と数えますか?
CRMを導入する前に、CRMに何を登録していくのか、また何を基準とするのかを話し合っておきましょう。これらを事前に決めておくと、導入後の運用がスムーズになり、メンバーにも定着しやすくなります。
理想は、誰がCRMに入力してもその内容に差異が出ないように、カウントの基準や項目をしっかりと整理して明文化しておくことです。
営業活動の定義として、考えられる基準の例を挙げます。
- 対面での訪問は対象とするが、メールや電話でのコンタクトは対象としない
- 新規営業の訪問は対象とするが、取引先への挨拶は対象としない
どの段階から「商談」「案件」と呼びますか?
商談の定義についても、考えられる基準を並べたうえで、自社が採用するものを選びます。
- 先方に見積もりを提出したもののみ対象とする
- 商品説明をする、しない
- 商品のデモを持って行って商品の説明をする
- アポイントを設定した時点
- 対面で座って15分以上話す
場合によっては、同じ企業内、同じチームのメンバー間でも認識が違っていることがあります。 同数の結果でも、Aさんの基準では5件とカウントしていたものが、Bさんの基準では10件とカウントされてしまう、という認識の違いもよくあることです。
こういった差異を把握し、議論によってすり合わせ、何をもって1件の「商談」とするのか、また、その「商談」が進捗したときのステータスをどういった言葉で表現するのか(成約済、Aヨミ、Bヨミなど)、メンバー全員で共通の認識を持てるようにしておきましょう。
なお、CRMとSFAでどちらが商談管理に向くかを整理したい場合はCRMとSFAの違い、マーケティング側の指標との接続はCRMとMAの違いと連携をご覧ください。
定義を決めるだけで足りますか?
足りません。定義だけ決めてCRMの入力は各々の感覚に任せるという方法だと、CRM運用後に溜まっていく情報もバラバラになってしまいます。
社内で「商談」の定義やカウント方法、KPIについて共通の認識を持つことができたら、次はCRMの入力方法や選択肢の設定についても、問題がないかを検証していきましょう。
おすすめは、入力項目をできるだけ選択肢に落とし込み、CRM入力時はプルダウンを選択していくだけで状況の共有ができるようにすることです。
日次で何度も入力をする活動履歴の項目を自由記述にしてしまうと、人によって書き方や使う言葉が異なり、データとしてまとめたいときに統計や分析に時間がかかってしまいます。
CRMはできるだけ事前に定めた選択肢を使って記録を行うようにし、当てはまらない場合のみ自由記述をするという形にしておくと、情報がバラバラにならず、統計や分析もスムーズになります。
顧客情報そのものの整理はCRMを触る前にやっておくべきこと②企業内の顧客リストの一元化、決めた定義を出力側の帳票に反映する話はCRMを触る前にやっておくべきこと④ 営業報告および帳票の整理・再編で扱っています。
まとめ
CRMを導入する前に、営業活動に関する言葉やKPIに紐づく項目の定義を明文化しておくと、利用するメンバー間で共通の認識のもとCRMを運用していくことができます。
さらに、CRMに入力を行う際に必要となる項目や選択肢も社内で議論し、仕様をあらかじめ整理し確定させておくことで、CRM導入によって享受できるメリットをより大きくできます。
CRM導入前の準備全体はCRMの効果を最大化するために。導入前にやるべきことを解説にまとめています。
この記事で取り上げた定義の明文化やCRMの運用ルールについても、弊社ではコンサルティングを行っております。CRMの導入をお考えの企業様は、些細なことでもお問い合わせよりご相談ください。
FAQよくあるご質問
Q. 「営業活動1件」の定義は、どう決めればよいですか?
考えられる基準を並べて、自社が採用するものを選び、明文化します。よく使われる基準は2つで、1つ目は「対面での訪問は対象とするが、メールや電話でのコンタクトは対象としない」、2つ目は「新規営業の訪問は対象とするが、取引先への挨拶は対象としない」です。目的は、誰がCRMに入力してもその内容に差異が出ない状態を作ることです。
Q. 「商談」の定義には、どんな基準例がありますか?
代表的な基準は5つです。先方に見積もりを提出したもののみ対象とする、商品説明をするかしないか、商品のデモを持って行って説明する、アポイントを設定した時点、対面で座って15分以上話す。この中から自社の営業プロセスに合うものを1つ選び、社内で明文化してください。基準を選ばないまま運用を始めると、同じ活動が人によって別の件数になります。
Q. 定義がずれたまま運用すると、何が起きますか?
同じ企業内、同じチームのメンバー間でも認識が違うことがあります。同じ結果でも、Aさんの基準では5件とカウントしていたものが、Bさんの基準では10件になるといったずれが起きます。この状態ではKPIを比較できず、CRMで一元化した数字そのものが判断材料として使えなくなります。
Q. CRMの入力は自由記述とプルダウン、どちらにすべきですか?
入力項目はできるだけ選択肢に落とし込み、プルダウンを選ぶだけで状況の共有ができる形にします。当てはまらない場合のみ自由記述にしてください。日次で何度も入力する活動履歴の項目を自由記述にすると、人によって書き方や使う言葉が異なり、データとしてまとめたいときに統計や分析に時間がかかります。
Q. 商談の進捗ステータスは、どのように統一しますか?
手順は3つです。1つ目は何をもって1件の「商談」とするかを議論ですり合わせること、2つ目はその商談が進捗したときのステータスをどういった言葉で表現するか(成約済、Aヨミ、Bヨミなど)をメンバー全員で決めること、3つ目はその言葉をCRMの選択肢として設定し、入力時に問題が出ないか検証することです。
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出典・執筆:株式会社トライエッジ/伊能 藍子(CRM 導入・運用支援)。 2024年4月8日公開/2026年8月14日更新。