CRMとは顧客管理システムのことで、導入すると自社の顧客や案件の情報を一元化することができます。また、営業活動の報告や日報の提出、社内での情報共有はもちろん、顧客情報の分析や施策の実行なども容易になります。ただし、CRMは、導入すればそれだけですべてが叶う「魔法の杖」ではありません。CRMの効果を実感するには、導入する前の段階でしっかりと顧客情報の整理や社内でのルール策定や習慣化を行っておく必要があります。そこで、この記事では、CRM導入前にやるべきことについて解説します。
この記事の目次
CRM導入前に“1日密着同行”で営業の業務フローを再確認
CRMの導入設計を行っていくためには、営業担当の1日の動きを精緻に把握しておかなければなりません。
具体的には、「毎日どのタイミングで営業活動やその報告、情報更新を行っているか」「それらが1日あたり何件発生し、1件にどのぐらいの時間がかかっているのか」を分単位で知っておく必要があります。
これらを知るためにおすすめなのが、営業担当に丸一日同行させてもらって状況を観察することです。実務のボリュームや移動中に行う作業、通信手段など、ヒアリングではつかみにくい実態を知ることができます。もっとも同行をすべき営業担当はトップ営業マンですが、もし複数人への同行が可能な場合は立場が違う人、たとえば入社間もない新卒社員などに対しても行うと良いでしょう。
同行によってトップ営業マンの1日の動きを把握したら、それを早速CRMの設定に反映させてみましょう。たとえば、下記のような項目をCRMに反映しておけば、他の営業担当にも参考になる要素が見つかるはずです。
- 案件の商談でヒアリングしている項目
- 商談前に行っている調査の内容
- 案件成立後のクライアントフォロー
これらをCRMを使って仕組み化すると、トップ営業マンのメソッドを「優秀な個人のスキル」で終わらせず、再現性の高い資産として社内に蓄積していくことが可能になります。
営業担当の行動や業務フローは、
細かく把握すればするほどCRMの運用方法を決定していくうえで役立ちます。
詳しくは下記記事をご覧ください。
既存の顧客情報を整理し、CRM導入後の運用ルールを策定
CRM導入における最大のメリットとして、顧客情報の一元化を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、すでに大量の顧客情報を保持している企業であれば、CRM導入または以降前に既存のデータをきちんと整理しておくことが必須となります。
まず、顧客情報がどこにどのように集約されているのか、またそれを管理しているのはどこの誰なのかを知ることが必要です。たとえば全国に支社を持つ企業の場合、支社ごとに管理されているのか、それとも本社でそういった管理をまとめて行っている部署があるのかなども把握しておきましょう。情報の所在が明らかになったら、会社としての全件数がすぐにわかるよう整理しておきます。
次に、支社や部署、各メンバー単位での担当数も明らかにします。この段階で、今後CRMで管理したい顧客情報の項目も整理しておくと、後の導入作業がスムーズになります。
項目は、
- 法人名
- 担当者名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
などの基本情報はもちろん、
- 会社の決算月
- 話題のきっかけになる個人の趣味
- 誕生日
などについても、入れるかどうかを話し合っておくと良いでしょう。
CRMの運用管理方法もある程度ルール化しておきましょう。せっかく顧客情報を整理してCRMを導入しても、運用ルールが定まっていないと、またすぐに情報がぐちゃぐちゃになってしまう可能性があるためです。
CRM導入前に必要な顧客情報の整理については、
下記記事でより詳細を解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
顧客管理に関する言葉の定義や入力ルールのすり合わせ
CRM導入後のために定めておくべきルールは、顧客情報を管理する項目だけではありません。そもそもCRMに何を登録するのか、CRMに登録する情報はどういう状態であるべきなのか、営業を行ううえでのKPIは何なのかなど、メンバー間での認識をすり合わせておくことが重要です。
まず必要なのは、普段メンバー間で使っている言葉に対する認識です。たとえば、人によって「商談」や「案件」の程度が微妙に異なっている可能性があります。そのズレを放置すると、案件数をカウントするときに、入力する人によって内容の差異が生じてしまいます。そのため、項目はもちろん、何をもって「受注」とするのかなどその定義を明文化しておく必要があります。
言葉の定義をメンバー間で共有できたら、CRMでの入力方法についてもルールを決めておきましょう。おすすめは、CRMで入力する項目それぞれの回答パターンをあらかじめ決めておき、プルダウンで選択するだけで状況の共有ができるようにしておくことです。
入力欄が記述式だと、同じステータスであるにもかかわらず別のものとしてカウントされてしまい、データを集約するのに時間がかかってしまうためです。
顧客管理に関わる言葉の定義のすり合わせや
CRMの入力ルールについては、
下記記事を参考にしながら導入前に必ずメンバー間で話し合っておきましょう。
営業報告および帳票の整理・再編
せっかくの機会なので、現在行われている営業報告や使用している帳票についても整理と再編を行っておきましょう。これを行うことで、CRM導入後の生産性を確実にアップさせることができます。
まず、各営業担当から経営陣までの各階層で、誰にどのような報告が行われているかを把握します。その後、それぞれの帳票の実物を見て、形状や記入方法、記載項目など、細かい部分までチェックしておきます。どの帳票をどの会議でどこの誰が目にするのかも、知っておく必要があります。
現状把握と並行で、現在の報告作業に過不足がないかも調査しておきましょう。そして、無駄な部分は削減できるように努めます。その際は、必ず担当者、マネージャー、役員と、それぞれ異なる立場の人にヒアリングを行うことが重要です。それをもとに帳票の項目や記載するべき内容の優先順位を考えていきます。
帳票を再編するならどんな形が良いかイメージを描けるようになったら、導入予定のCRMからエクスポートできるデータを考慮し、それに合わせた帳票の内容を設計していきます。CRMで抽出できるデータと新しい帳票データのすり合わせを行うことで、帳票のためにCRMからエクスポートしたデータを再加工するなどの無駄な作業を削減することができます。
CRMを導入する際は、入力する顧客情報はもちろん、
CRMからエクスポートしたデータをどのようなシーンに使うかも考えておきましょう。
下記記事で詳しく解説しています。
CRM導入後の効果を最大限にするための準備も
トライエッジにご相談を
この記事でご紹介した通り、CRMの導入効果を最大化するには、事前準備がマストです。既存の顧客情報の整理はもちろんのこと、営業にかかわるメンバー間での認識をすり合わせたり、導入後の運用ルールを細かく設定したり、導入設計を行ったりと、細かく準備をすればするほど、CRMを導入した後の生産性アップを実感しやすくなります。
弊社トライエッジでは、企業様がCRM導入後のパフォーマンスを最大化するためのサポートを行っています。まずは貴社が保持している顧客情報の管理状態や、現在行っている営業活動・報告の方法、これから目指していくKPIなど、細かくヒアリングして現状を把握します。そのうえで、貴社や貴社のメンバーに最適な情報整理とCRMの運用設計をご提案します。
トライエッジの最大の特徴は、企業様に合わせた運用プランのご提案にとどまらず、実際に手を動かしてご担当者と二人三脚でKPIの達成に尽力させていただく点です。CRM導入の際に必要な事前準備はもちろん、データ移行作業や運用設計、CRM導入後の使い方のアドバイスなど、何から何までサポートさせていただきます。
すでにCRMの導入をご検討中の方も、顧客管理や営業活動の効率化などに課題感をお持ちの方も、ぜひお気軽にご相談ください。