BtoBマーケティング戦略の立て方:4つの順番と、組織に必要な2つの要素
BtoBマーケティング戦略は、市場分析、ターゲット顧客の特定、リードマネジメント、継続的な接点づくりの順で組み立てます。3C分析と4P分析は市場分析、STP分析はターゲット特定に使うため、順番を入れ替えると同じ議論を繰り返します。組織に必要な2つの要素と新技術の取り入れ方まで解説します。
BtoBマーケティング戦略は、市場分析、ターゲット顧客の特定、リードマネジメント、継続的な接点づくりの4つの順番で組み立てます。
順番を入れ替えると、同じ議論を繰り返すことになります。 ターゲットが決まっていない状態で施策を並べても、どれを選ぶかの基準がないためです。
この記事では、BtoBとBtoCの前提の違いを確認したうえで、4つの工程それぞれで何を決めるのか、そしてマーケティング組織に必要な2つの要素を説明します。

執筆者
株式会社トライエッジ代表 中野三四郎
BtoBとBtoCは何が違うのか
BtoB(ビジネス・トゥ・ビジネス)マーケティングは、企業同士が主体となる市場を対象としたマーケティング戦略です。製造業やサービスプロバイダーなどがお互いに取引し、長期的な信頼関係の構築が重視されます。購買決定には多くの関係者が関与し、専門的な情報提供やプロモーションが特徴です。
一方、BtoC(ビジネス・トゥ・コンシューマ)マーケティングは、企業が最終的な消費者を直接対象とする戦略です。個人や家庭が製品やサービスを直接購入するため、感情や個人の好みが購買行動に影響を与えます。大量生産と大衆向けの広告が特徴的で、購買プロセスは一般的に短期かつ小規模な取引が大量に積み上がる形になります。
よく、BtoBとBtoCをまとめて語られることがありますが、このように前提条件やプロセスなどが大きく異なりますので、必ず分けて考えましょう。
戦略を立てる4つの順番
1. 市場分析
競合状況や業界の動向を評価し、自社の強みや機会を理解することが必要です。考え方のフレームワークとしては3C分析や4P分析などを活用します。
4Pのうち、どの経路で顧客に届けるかを扱うPlaceについてはマーケティングの4P「Place」とは?BtoBのチャネル設計と測り方で個別に扱っています。
2. ターゲット顧客の特定
どの企業が製品やサービスに最も適しているかを明確にする工程です。STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)分析などを活用します。
自社が顧客からどう見られているかを可視化する手法としては知覚マップがあり、ポジショニングを決める際の材料になります。
マーケティングの基本は「誰のなんの課題を解決するのかを明確にする」ことから始まります。 当たり前の概念ではありますが、ここがしっかりしてこそ、効果的かつ効率的なメッセージやプロモーション施策を作ることができます。
3. リードマネジメント
BtoBマーケティングを考えるうえで、「リードマネジメント」の概念も重要です。
リードとは「潜在的な顧客」を指しますが、これらを効果的に収集し管理していくことは成約につながる可能性を高めます。まだ成約をしていない顧客情報がきちんと管理されていなければ、高い成果を上げることはできません。
獲得の手法そのものはリードジェネレーションとは?獲得手法の一覧とチャネル別の効果測定で扱っています。
4. 継続的な接点づくり
リードに対しては、継続的に営業活動をしていくことが重要です。BtoBビジネスにおいては、商品やサービスの購買行動が長期間になることも珍しくなく、ニーズが発生したときにそのタイミングを掴むためには、継続的にコミュニケーションを取らなければなりません。
この4つの順番を守る理由は単純です。 ターゲットが決まっていなければ、どの施策を選ぶかの基準が作れません。そして受け皿となるリードの管理方法が決まっていなければ、集めた情報が使えるものになりません。
デジタルマーケティングをどう位置づけるか
BtoBビジネスにおいては「デジタルマーケティングをいかに活用していくか」も大きなテーマになります。
Webサイトが中核です。 自社をPRするうえで中心となるコンテンツですので、使いやすく魅力的なものにしなければなりません。BtoBビジネスではWebから商品を直接購入するようなことはあまりありませんが、問い合わせをする際や情報収集を行う場合は、ウェブサイトにどういった情報が掲載されているかを確認するのがほとんどです。ウェブサイトが魅力的なものになっていないと、そもそも問い合わせにつながりません。
SNS(ソーシャルメディア)もBtoBでは重要度が増しています。 潜在顧客との関係構築やブランド認知向上、専門的なコンテンツ共有などに活用できます。
加えてメールマーケティングも重要です。BtoCではSNSがコミュニケーションの中心的ツールとなっていますが、BtoBにおいては、メールがいまだに一般的なツールとなっています。
これらのデジタルツールは、費用対効果を即座に確認できるのが特徴です。 課題を素早く発見し、対策を講じることができます。
コンテンツマーケティングとリードジェネレーションはどうつながるか
コンテンツマーケティングは、企業が質の高い情報や価値提供を目的にオンラインで発信する戦略です。コンテンツとは、一般的にはウェブサイト上で展開するブログ記事やニュース、ビジネスに役立つダウンロード資料や動画コンテンツなどが該当します。
これらのコンテンツにより、顧客が自社のサービスに興味を持ち、自ら企業に接触する(インバウンド)可能性が高まります。
一方でリードジェネレーションは、これらの興味を捉え、ビジネスに関心を示す潜在顧客(リード)を生み出す過程を指します。質の高いコンテンツを増やしていけば、インターネット上で自社のサービスを潜在顧客に見つけてもらいやすくなり、結果的に潜在顧客が増えていくということになります。
リードジェネレーションという意味でも、良いコンテンツを増やしていくコンテンツマーケティングは重要だと言えるでしょう。
新しい技術をどう取り入れるか
マーケティングはAI、データ分析、自動化などの技術により、近年大きく進化しています。
- AI:顧客の嗜好を予測し、パーソナライズされたコンテンツを提供する際に役立つ
- データ分析:大量の情報から課題を引き出す
- 自動化:リードナーチャリングやメールキャンペーンなどの施策の作業効率を高める
新しい技術は最初はとっつきにくい印象を持ちますが、早く慣れて使いこなすことが大切です。BtoBマーケティングを行っていくうえでは、こうした新しい技術に積極的に触れていき、自社に取り入れる努力をしていきましょう。
組織に必要な2つの要素
マーケティング組織を構築していくために必要なのは**「効果測定」と「リーダーシップ」**です。
効果測定
効果測定は、マーケティング活動や戦略が設定した目標に対してどれだけ達成されたかを評価するプロセスです。これにより投資対効果が明らかになり、施策の最適化が可能となります。
効果測定を正確にすることで、無駄な予算を削減し、成功要因を洗練させ、組織の収益性や成果を向上させることができます。また、変化に対応した迅速かつ柔軟な戦略の調整を可能にします。効果測定は戦略的な判断の基盤であり、組織の長期的な成功に不可欠です。
具体的な指標の設計方法は法人営業のKPI設定:KGIから逆算する手順で扱っています。
リーダーシップ
マーケティング戦略を担うリーダーは、強いビジョンを持ち、チームメンバーを鼓舞し、目標に向けた戦略を明確に伝える必要があります。
コミュニケーション力、柔軟性、変革力も欠かせず、チーム全体を統率し、成果を追求する姿勢が重要です。また、データを元にした意思決定、新しいテクノロジーの導入への先見性も求められます。
このように、BtoBマーケティングを担うリーダーは、チームをまとめ、新しい技術を積極的に取り入れながら、力強く推進していく必要があるのです。
まとめ
BtoBマーケティング戦略は、市場分析、ターゲット顧客の特定、リードマネジメント、継続的な接点づくりの順に組み立てます。3C分析と4P分析は1つ目の工程、STP分析は2つ目の工程で使い分けます。
BtoBとBtoCは前提条件もプロセスも異なるため、必ず分けて考えてください。そして組織として成果を出し続けるには、効果測定とリーダーシップの2つが要ります。
施策が複数に分散している状態の整理についてはBtoBマーケティング施策の一元管理で扱っています。行動計画の策定については以下の資料でも解説していますので、あわせてご覧ください。

BtoBマーケティングの手法・実践ガイド
2023-12-22
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執筆者 株式会社トライエッジ代表 中野三四郎
人材派遣会社に新卒入社後、一貫してマーケティング部門に従事。営業戦略の立案、SFA/CRMの企画開発・運用、顧客分析などを行う。その後、M&Aコンサルファームやメーカーの営業企画などを経て、株式会社トライエッジを設立。【著書】「営業は仕組みで9割決まる」

FAQよくあるご質問
Q. BtoBマーケティングとBtoCマーケティングは何が違いますか?
前提条件とプロセスが異なります。BtoBは企業同士が主体となる市場が対象で、購買決定に多くの関係者が関与し、長期的な信頼関係の構築が重視され、専門的な情報提供が中心になります。BtoCは企業が最終消費者を直接対象とし、感情や個人の好みが購買行動に影響し、購買プロセスは一般的に短期かつ小規模な取引が大量に積み上がる形です。この2つは必ず分けて考えてください。
Q. BtoBマーケティング戦略はどこから始めればよいですか?
順番は4つです。1つ目に市場分析で競合状況と業界動向を評価し、自社の強みと機会を把握します。2つ目にターゲット顧客の特定で、どの企業が自社の製品やサービスに最も適しているかを明確にします。3つ目にリードマネジメントで、集めた見込み客の情報を管理できる状態を作ります。4つ目に継続的な接点づくりです。この順番を入れ替えると、同じ議論を繰り返すことになります。
Q. 3C分析、4P分析、STP分析はどう使い分けますか?
使う工程が違います。3C分析と4P分析は市場分析の工程で、競合状況と業界動向を評価し、自社の強みや機会を理解するために使います。STP分析はターゲット顧客の特定の工程で、市場をどう区切り、どこを狙い、どの位置に立つかを決めるために使います。フレームワークを増やすことより、誰のどんな課題を解決するのかを明確にすることが目的です。
Q. BtoBでSNSやメールはどう位置づけますか?
SNSは潜在顧客との関係構築、ブランド認知の向上、専門的なコンテンツの共有に使います。メールはBtoBにおいて今も一般的なコミュニケーション手段で、BtoCがSNS中心なのとは事情が異なります。そしてWebサイトが中核です。BtoBではWebから直接購入することは多くありませんが、問い合わせや情報収集の際にはほぼ確実にWebサイトが確認されます。
Q. BtoBマーケティング組織に必要なものは何ですか?
2つです。1つ目は効果測定で、マーケティング活動が設定した目標に対してどれだけ達成されたかを評価します。これにより投資対効果が明らかになり、無駄な予算を削減できます。2つ目はリーダーシップで、強いビジョンを持ち、目標に向けた戦略を明確に伝え、データを元にした意思決定と新技術導入への先見性を持つことが求められます。
出典・執筆:株式会社トライエッジ/向佐 望(CRMコンサルタント)。 2024年4月8日公開/2026年8月14日更新。