近年、KPI(key Performance Indicator)やKGI(Key Goal Indicator)という用語を耳にする機会が多くなり、実際の法人営業でも活用されはじめています。しかしながら、このKPIやKGIといった指標をどのように設定し、どのように有効活用していくべきなのか…とい部分についてなかなか正解が見いだせないままKPIを設定している企業もあるようです。そこで今回は、法人の営業活動に限定してこのKPI(key Performance Indicator)とKGI(Key Goal Indicator)の本質的な意味合いとその設定方法、そして改善方法について説明していきたいと思います。
この記事の目次
1 KGI(Key Goal Indicator)とKPI(key Performance Indicator)2 KGI・KPIを設定するためのKPIロジックツリー
3 各KPIの遷移率がわかると具体的にどのくらいの活動量が必要かが見えてくる
4 KGI・KPI設定で気をつけるべきこと
5 KPIは定期的に見直しを図る必要がある
6 KPI設定とCRMの必要性
KGI(Key Goal Indicator)とKPI(key Performance Indicator)
KGI(Key Goal Indicator)とKPI(key Performance Indicator)はセットで使われる用語で、それぞれ、
KGI=経営目標達成指標
KPI=重要業績評価指標
を表します。
すなわち、KGIは企業(事業)の最終目標を達成するために必要な指標を表します。法人営業であれば、
年間売上1億円
などがKGIとして設定されることになります。ただし、このKGIはあくまで最終目標を達成させるために必要な指標となるので、必ずしも売上になるとは限りません。企業や事業によっては、それが利益額になるかもしれませんし、顧客数になることもあるでしょう。その企業の事業モデルや目指すべき方向によって設定すべきKGIは異なります。あくまで最終目標と定めている事柄であることを年頭において何をKGIに設定すべきか考えましょう。
一方、KPIは重要業績評価指標です。上記に設定したKPIを達成するために必要な更にブレイクダウンした指標がKPIとして設定されます。図に示すとKGIとKPIは以下のような関係性になります。
KPIはそれを達成することによって、KGIが達成する仕組みとなっており、この関係性が崩れてしまうと、KGIやKPIを設定する意味がなくなってしまいますので注意しましょう。
KGI・KPIを設定するためのKPIロジックツリー
ではこの、KGI・KPIを設定するためにどのような考えたをすれば良いのでしょうか?
その際、活用できるのがKPIロジックツリーです。KPIロジックツリーとは、KGIを起点としてそこから、そのKGIを構成する要素を因数分解のようにしていくことで、どういったKPIを設定していくべきかを考えるきっかけになるものです。
事例を元に考えていきましょう。
例えば、あるソフトウェアを販売する法人営業について考えていきましょう。ここではKGIを100社の新規顧客として考えることにします。KGIを売り上げとして設定した場合に、このKGIを構成する要素は何になるでしょうか?
100社の新規顧客=提案数×成約率
と設定できます。
次に、この分解した要素をさらに分解していきます。
提案数=顧客面談数×提案率
と分解できます。
このように分解していくと以下のようになります。
このように考えると非常にわかりやすくなります。このとき、各項目で置かれた
- 提案数
- 面談数
- アポ数
- 問い合わせ数
をKPIとして設定することができます。次のステージに行く確率がある程度データ化されていれば、KGIを100社と置いた時にそこから逆算してどのくらいの提案が必要となるのか、どのくらいの面談が必要となるのか、どのくらいのアポイントが必要となるのか、そのためにはどのくらいの問い合わせ数が必要となるのかが見えてくるようになります。
以下の図のように整理することもできます。上の方のKPIから数が多いKPIとなっています。
こうして設定したKPIを元に営業活動を行い、営業部全体、そして各営業マン毎にどのように数値が構成されているかを確認することによって、最初に設定したKGIを達成するためにはどのくらいの営業活動を行えばよいかがわかるようになっていきます。
各KPIの遷移率がわかると具体的にどのくらいの活動量が必要かが見えてくる
では具体的に新規顧客を100社獲得するというKGIを設定した場合の各KPIはどうなるのでしょうか?下記では、各KPIへの遷移を以下のように設定した場合について考えていきましょう。
ここでは、
- アポ率:50%
- 面談率:80%
- 提案率:40%
- 成約率:30%
として見ていきましょう。
上記のように、設定した場合、最初のKPIである問い合わせ数は2,083件必要ということになります。ここで設定しているKGIをどのくらいの期間で達成したいのかにもよりますが、仮に1年=12ヶ月にて考えた場合、毎月必要な問い合わせ数は173.5件必要ということになります。
問い合わせ数が月間173.5件必要ということであれば、20営業日換算で8.67件、すなわち9件ほど必要な計算になります。これが現実的な数値かどうかは、各企業の状況にもよるでしょう。
KGI・KPI設定で気をつけるべきこと
さて、ここまでで、KGI・KPI設定の重要性について多少理解いただけたかと思います。さらにもうひとつ踏み込んでみましょう。KPIを設定するにあたって気をつけなければならないことがあります。
それは、各KGI・KPIとして設定した項目の”定義は何か”ということです。
一見、上記で設定した、問い合わせ数・アポ数・面談数、などはわかりやすい項目に思えるかもしれませんが、きちんと定義付けをする必要があります。KPIとして設定した項目はどういった状態を表すのか…これが営業マン毎に異なってしまっていたら、KPIを設定する意味がかなり薄れてしまいますし、営業マン毎に各KPIの遷移率に差が生じてしまい、同じ土俵で議論することができなくなってしまいます。
例えば…KGIとして設定されている新規顧客についてですが、
- 法人としての新規顧客なのか
- 同一法人でも別部署ならば新規顧客なのか
- 過去取引があった顧客からの成約は新規顧客なのか
などが考えられます。
さらに提案数についても
- 提案書を提出した段階で提案とカウントするのか
- 具体的な金額を提出した場合に提案数とカウントするのか
- 見込み顧客へのヒアリングを行ったあと、その内容に応じた提案をしたことを提案数とするのか
など、さまざまな解釈ができてしまいます。
KPIは定期的に見直しを図る必要がある
一度設定したKPIはそれで終わりではありません。むしろ、その数値の進捗状況や次のKPIへの遷移率を勘案して、変更や追加などのチューニングを常に行っていく必要があります。
例えば、上記の例の中で、面談数から提案数への遷移率が極端に低い場合や、人によって大きなバラツキがある場合、おそらくその間に何かしらKPIとして設定すべき項目があると考えられるでしょう。
ITソリューションを扱っている企業の場合は、もしかしたら、そのソフトウェアのデモンストレーションかもしれないし、単純に見積書の提示数かもしれません。どういったKPIに変更すべきかについては、成績をあげている営業マンの営業活動を深く観察することが大きなヒントとなることが多いです。
成績をあげている営業マンは成果をあげるために、意図せずともさまざまな工夫を凝らしていることが多分にあります。そのできる営業マンが行っている方法にはどのような特徴があるのか、それを一般化するとどのようなKPIを設定するべきかを考えた上で、新たなKPIを設定したり、現在設定しているKPIの項目の見直しを行なうようにしましょう。
KPI設定とCRMの必要性
では、こうしたKPI設定を行い、定期的に改善を行っていくにはどうしたら良いでしょうか?
そういう時には、CRM / SFAを活用するとより効率的に管理することができるようになります。CRM / SFAはこうしたKPIの数値管理に長けた機能を多く備えています。
ただし、CRM / SFAを導入してもなかなかうまく使いこなせずに結果使わなくなってしまう…ということも多々あります。弊社ではこうしたCRM / SFAの導入に関して、初期のKPI設計からどのように定着させていくべきかについてのコンサルティングを行っておりますので、お問い合わせください。