売上向上のための主要な取り組みとして挙げられる、営業の効率化や、既存顧客の満足度向上において、CRMは成果を上げるためのカギとなるツールです。しかし、各会社にあった使い方をしなければ、効果がないどころか現場の負担が増えるだけの結果となることもあります。本記事では、CRMを有効に活用するために、導入段階で押さえるべき重要なポイントを解説します。
⇒⇒ CRM・MA・SFA活用の実践的な情報が配信されるメルマガに登録する
この記事の目次
1.1 CRM導入は、売上向上に対し即効性のある施策でない1.2 無駄な機能や入力項目は付けない・作らない
1.3 CRMの導入がゴールではないことを理解する
2.1 1. 導入の目的や用途を明確にする
2.2 2. 自社の課題や要望を洗い出す
2.3 3. 今使っているシステムや管理用帳票を整理する
2.4 4. CRMのシステムを選定する
2.5 5. 運用の体制を決めておく
2.6 6. CRMを導入する
2.7 7. 利用者へのトレーニングと導入後のサポートを行う
CRM導入の注意点
CRMは利益向上や業務効率化を実現するための有力なツールです。
ただし、導入計画が不十分であったり、適切なトレーニングの不足がしていると、十分に効果が発揮されないどころか、時間やコストを増大させることも起こり得ます。
CRM導入計画の作成や、実際に導入準備を進める際は、次の点に注意するとよいでしょう。
CRM導入は、売上向上に対し即効性のある施策でない
CRMの導入は、すぐに利益に結び付くような即効性のあるものではありません。長期的にシステムを利用し、分析・改善のサイクルを繰り返すことで、徐々に効果が表れるものだと理解しましょう。
ただし、CRM導入によって早期に利益を上げやすい方法として、既存顧客へのアプローチにCRMのデータを活用することが挙げられます。CRMに蓄積した顧客のニーズをはじめとしたヒアリング情報、顧客とのこれまでの商談情報などを個別に分析し、それぞれに最適な商品・サービスを提供し顧客満足度を高めることができれば、アップセル・クロスセルによる売上向上を見込むことができます。
無駄な機能や入力項目は付けない・作らない
CRMの導入時には、こんなワークフローがあると便利になるんじゃないか・こんな項目を入力してもらえるとデータ分析に活用できるんじゃないかと、様々な機能や入力項目を用意したくなるものです。CRM導入準備のフェーズで実際のユーザーとなる社員に要望をヒアリングしてみても、様々なリクエストが出ることでしょう。
しかし、いざCRMを導入してみると、せっかく用意した機能が全く活用されなかったり、入力項目が多すぎて現場が疲弊してしまい、CRMにデータ入力がされなくなるというケースが非常に多いです。また機能や入力項目を増やすと、何か設定を変更した際に影響する箇所が出てくるので、CRMの運用管理コストの増大にもつながります。
こうした事態を防ぐためにも、CRM導入時は業務に必要な機能と入力項目だけを取捨選択し、最小限で導入するのがおすすめです。CRMで実現したいことは様々あると思いますが、導入時にすべての要望を実現しようとするのではなく、CRMの運用が定着するのに合わせ、徐々に追加のカスタマイズを検討するようにしましょう。
CRMの導入がゴールではないことを理解する
CRM自体はあくまでツールでしかなく、重要なのはCRMに入力されたデータの正確性と、入力データの管理にあります。
データの入力形式がバラバラでそのまま分析に用いることができなかったり、運用が定着せず一部ユーザーにおいてデータ入力に欠如があると、システムへの信頼も低下し、CRMが使われなくなる原因となります。
CRM導入の恩恵は、CRMを使って解決したい課題や達成したい目標を明確にしたうえで導入を進め、導入後に正しい運用が定着し、なおかつ一定期間以上運用されて初めて得られるものです。
CRMの導入で満足するのではなく、その後の運用と業務効率の改善を行うことを目指し、適切な導入を行いましょう。
CRMの導入手順
適切な運用を見据えたCRMの導入のためには、以下の手順でプロジェクトを進めていきましょう。
1. 導入の目的や用途を明確にする
まずはCRMを導入する目的や使い方を明確にしましょう。なぜCRMを導入するのかが曖昧な状態だと、ツールの選定でミスマッチが起き、余計なコストが発生する原因になります。
設定する目的も、例えば「新規獲得した見込み客の商談への転換率を向上する」など具体的であるほど望ましいです。導入後の効果測定を行いやすくするためには、「商談化率を◯%にアップする」など、具体的に測定可能な目標を事前に立てておくことがおすすめです。
2. 自社の課題や要望を洗い出す
前項の内容と関連して、CRMの導入によって改善したい課題を明確にします。適宜、関係部署にもヒアリングを行い、ニーズを吸い上げ、ツールの選定に役立てましょう。
3. 今使っているシステムや管理用帳票を整理する
既存のシステムや管理用の帳票(Excelやスプレッドシートなど)が存在する場合、導入するCRMにデータをインポートし、蓄積したデータを引き継ぎたいとなるケースがほとんどです。
しかし、CRMに過去データをインポートするには、インポート可能な形式にデータを加工する必要があり、データの種類や件数によってはその作業に膨大な手間と時間を要します。そのため、早い段階でインポートを希望するデータの内容と形式を確認するようにしておきましょう。
ただし、この作業はCRMに過去データを必ずしもすべて移行させたり、現行のアウトプット形式をそのままCRMで再現させるために行うことを目的としたものではありません。
過去データをCRMに引き継ぐ際は、運用を開始するにあたって最低限必要なデータのみに取捨選択しておくことをおすすめします。
4. CRMのシステムを選定する
HubSpotやZohoをはじめ、たいていのCRMには無料トライアル版が用意されています。無料版でも、CRMの利用で基本となる操作を一通り試せる場合がほとんどです。
そのためいくつかの無料版を使ってみたり、実際に現場の社員にも試してもらって感想をヒアリングすると、より自社に合ったシステムを比較・検討することができるようになります。
他にも各ツールの機能を比較した資料を取り寄せたり、デモを見せてもらったりすることで、より詳細な検討を進められます。この時に自社がやりたいことが明確化していると比較がしやすくなります。
5. 運用の体制を決めておく
CRMをスムーズに導入・運用するために、CRMを管理する責任者と運用する担当者を決めておきましょう。とくに顧客データベースのアクセス・データ編集権限については、きちんと管理をしておかないと、誤ってデータを削除してしまったり社員同士や部署間のトラブルにつながる恐れがあるので注意してください。
またマニュアルの整備や研修、使い方がわからない時の問い合わせ先を用意しておくと、現場の社員がシステムを使えなくて定着しないといったことを防ぐことができます。CRMに入っている情報をもとに会議を運営したり、評価制度と紐づけることで、よりシステムの定着を実現することができます。運用の体制を導入段階から考えておきましょう。
6. CRMを導入する
目的や課題に合っているシステム、無料版を試してみて良かったツールを導入します。ここまでの入念な準備を行っていれば、導入がスムーズに進むほか、ツールとのミスマッチや導入中・導入後のトラブルのリスクも少ないでしょう。
7. 利用者へのトレーニングと導入後のサポートを行う
CRMのユーザーがシステムの利用方法を習得するためのトレーニングや、導入後のサポートを受けられる体制の確立などについても準備が必要です。自社で体制整備が難しい場合は、CRMツールの導入を扱うベンダー等が提供する、外部のサポートサービスを活用するのが良いでしょう。
課題やニーズを明確にして、CRMの導入を成功させよう
CRMの導入を成功させるには、自社の力だけでなくベンダーやアドバイザーといった外部パートナーを活用することが有効です。しかし、その場合もパートナーに任せきりにするのではなく、自社の課題やニーズをしっかりと認識して目標を立て、その内容をパートナーに適切に伝えながら導入プロジェクトを進めることが重要になります。
株式会社トライエッジでは、HubSpotやZohoを用いたCRM/SFA/MAの導入・運用の支援を行っています。システム導入が目標の一般的なサービスとは異なり、導入後の運用からお客様の成果につながるまでを支援する伴走型サポートの提供に特徴がございます。ご興味のある担当者様は、お気軽にお問い合わせください。