CRMとERPはいずれも企業の情報を管理するツールですが、混同されることも少なくありません。本記事では、CRMとERPそれぞれの特徴と違いを詳しく解説します。どちらを導入するかを的確に判断するためにしっかり理解していきましょう。
この記事の目次
1 CRM、ERPとは?それぞれの意味を解説1.1 CRMとは?機能と特徴を解説
1.2 ERPとは?機能と特徴を解説
2 CRMとERPの機能の違い
3 CRMとERP、それぞれの目的に合わせて最適な導入を
CRM、ERPとは?それぞれの意味を解説
CRMとERP、どちらも企業の情報管理に使われ業務の効率化に寄与するツールですが、それぞれ異なる機能を持っています。まずはCRMがどのようなもので、ERPがどのようなものなのか、それぞれの機能や特徴について詳しく解説します。
CRMとは?機能と特徴を解説
CRMは、英語のCustomer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の略語です。日本語では、顧客関係管理と訳されます。顧客をマネジメント(管理)する概念を指す場合もありますが、近年では顧客管理のための専用ツール自体を指してCRMと呼ばれることも増えています。
顧客関係管理は、自社に関わる顧客の名前(企業名)や連絡先など基本情報をインプットするだけのものではありません。CRMの主な目的は、顧客満足度を向上させるためです。
社会の人々や企業の購買活動はますますオンライン化、グローバル化し獲得競争が激しくなっています。消費者のニーズも多様化しました。それぞれの消費者に沿ったアプローチをしなければ、消費者側は購入・利用のアクションを起こしてくれません。
そのために必要とされるのが顧客一人ひとりの興味や志向、行動履歴などの細かな情報です。CRMは、膨大な量の顧客の詳細情報を管理し、的確なアプローチを導き出します。ひいては、膨大な顧客データの分析結果を基にして経営・事業戦略も打ち出せるのです。
まだ購入や利用に至っていない見込み顧客とのコミュニケーション、Webサイトやメールに対する反応の履歴も記録・管理できます。すでに商品やサービスを購入・利用されている既存顧客についても、記録した履歴情報を分析しながらアフターフォローや将来的なアプローチに役立てられるのです。
ERPとは?機能と特徴を解説
ERPは、英語のEnterprise Resource Planning(エンタープライズ リソース プランニング)の略語で、直訳では企業資源計画です。統合基幹業務システムと呼ばれたりします。企業の経営資源である、ヒト、モノ、カネ、情報などを効率的に使っていこうとする概念です。
多くの企業に営業、会計、人事、生産・販売などといった部署が配置されていますよね。企業規模が大きくなるほど部署はさらに細分化され、多様になるでしょう。個々の部署がヒト、モノ、カネ、情報を持っています。企業が価値を生み出し、売上、取引が完了するまでを俯瞰すると、ひとつの部署では完結できるものではありません。
そこで各部署が有するヒト、モノ、カネ、情報を一元管理し、全社で共有・連携をスムーズに、効率的にするのがERPなのです。この情報の中には、もちろん、顧客情報も含まれます。例えば、営業が商談を成立させれば、会計も同じ顧客情報が必要になります。
連携がスムーズになると同時に、各部署に導入している専用システムへの入力作業の「重複」や「ミス」が防げるのも利点です。購買部署が商品や部品を仕入れたら、在庫管理の部署は在庫を増やす処理をするでしょう。
さらに、企業にある業務やリソースのすべてが見渡せるため、経営に関わる意思決定もよりスピーディーに行えるようになります。
CRMとERPの機能の違い
CRMは顧客管理、ERPは企業の資源管理に特化したツールを指します。データを管理するという意味で共通する機能もありますが、目的は異なるものです。
CRMとERPを比較し、機能の違いを細かく見ていきましょう。
【CRMの機能】(顧客中心) | 【ERPの機能】(企業中心) |
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まず、大きな違いとしてあげられるのは、それぞれの活用目的です。CRMは、顧客管理を徹底するために活用されています。一方で、ERPは社内で使われる業務アプリやシステムを統合し、経営や業務の効率化を図るためのシステムです。
CRMはより顧客に近い現場(フロントオフィス)で収集する詳細な顧客情報を管理します。営業支援(SFA)やマーケティングツールとしての機能を備えたものも増えています。一方のERPは、会計や在庫管理などどちらかというとバックオフィス寄りの企業内情報を管理するシステムといえるでしょう。
ERPは社内の業務システムを統合するものですから、もちろん、その一部として顧客情報管理も含まれます。現場が集めるリアルな顧客情報は、開発や経営分野の部署にとっても貴重な材料になるでしょう。しかし、CRMほど細かい情報を多角的に管理・分析することはできません。
CRMとERP、それぞれの目的に合わせて最適な導入を
ビッグデータを活用する必要性が増している昨今、大企業のみが使用するものと思われていたERPは中堅企業にも広がっています。また、顧客獲得競争が激しくなった現代において、CRMなしに個々の顧客に合わせた営業やマーケティング活動をするのは容易ではありません。
CRMとERP、それぞれの目的、機能、見込める導入効果を把握して貴社の必要性に合わせて判断してください。
トライエッジでは、CRM黎明期よりCRMの導入・運用支援を行ってきた知見をもとに営業・マーケティングのアドバイスも含めたサポートを行っています。CRMの導入をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。