展示会では多くのリード(見込み客)を獲得できるものの、その後連絡をしてみたらなかなか商談につながらないということも多いのではないでしょうか?実際に展示会に来場するほとんどの方は情報収集を目的としているので、リードを商談に結びつけることは簡単ではありません。このような場合、反応が悪いリードを将来的な顧客にするための有効な手法として、ステップメールがあります。ステップメールを活用することで、展示会で得たリードを育成し、最終的に商談まで繋げることが可能になります。本記事では、ステップメールとは何か、ステップメールの効果を高めるポイント、ステップメールのシナリオ作成の手順とテンプレートについてご説明します。ステップメールの導入を検討されている方は、是非とも参考にしてみてください。
この記事の目次
1 展示会後のステップメールの効果を高める5つのポイント1.1 短いシナリオを3~5通分作ることから始める
1.2 AIDMAの法則を意識する
1.3 有益な情報を提供することを心がける
1.4 前後のメールに関連性を持たせすぎない
1.5 内容を定期的に改善する
2 展示会後のステップメールのシナリオ作成手順
2.1 展示会で獲得したリードを分類し、それぞれのゴールを設定する
2.2 ステップメールのシナリオを決める
2.3 メールの内容やコンテンツを作成する
3 展示会後のステップメールのシナリオテンプレート
3.1 ニーズが顕在化しているリードの場合
3.2 ニーズが顕在化していないリードの場合
4 自社のリードに合ったシナリオを用意して展示会の後はステップメールを配信してみよう
展示会後のステップメールの効果を高める5つのポイント
ステップメールの効果を高めるポイントは、以下の5つです。
- 短いシナリオを3~5通分作ることから始める
- AIDMAの法則を意識する
- 有益な情報を提供するように心がける
- 前後のメールに関連性を持たせすぎない
- 内容を定期的に改善する
それでは、ステップメールの効果を高めるポイントについて詳しくご説明しましょう。
1. 短いシナリオを3~5通分作ることから始める
ステップメール作成のポイント1つ目は、3~5通の短いシナリオから作り始めることです。いきなり本格的で長大なシナリオを作ろうとすると、何から書けばいいのかわからなかったり、シナリオ作成に時間がかかって配信する前に挫折してしまう可能性があります。
ステップメールは、いかに複数のメールを送信する過程でリードに興味を持ってもらえるような文章を送ることができるのかが重要です。
例えば、1通目では展示会のお礼や自社の軽い紹介をするだけにとどめて、2通目ではリードの持つ潜在的な課題に訴えるために、自社製品を導入して事業が伸びた例などを紹介します。そして3通目で課題を解決するセミナーの案内を出し、次のステージへ誘導するといった流れが考えられます。
以上のようにステップを踏むことが重要ですが、誰しもいきなり洗練されたステップメールを作成できるわけではありません。したがって、シンプルな短文のシナリオを3〜5通分ほど作成して配信してみましょう。
その後のリードの反応を参考に、次回以降のシナリオ作成に活用できることが理想です。
2. AIDMAの法則を意識する
ステップメール作成のポイント2つ目は、「AIDMA(アイドマ)の法則」を意識することです。
AIDMAの法則とは、消費者が商品を認知してから購買にいたるまでの過程を表したものであり、それぞれ以下の意味を持っています。
- Attention(認知)
- Interest(興味)
- Desire(購入欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
AIDMAの法則に則ってステップメールを作成することで、リードの消費行動に伴った質が高いシナリオが書けるようになります。
ステップメールは短すぎても長すぎても効果が薄くなるため、いかにAIDMAを意識できるかが重要です。
3. 有益な情報を提供することを心がける
ステップメール作成のポイント3つ目は、常にリードにとって有益な情報を提供する、リードファーストの意識です。
リードは自社製品が嫌いというわけではないですから、最初から焦らず適切な情報を提供すれば、次第に興味を持ってくれる可能性が高まります。それがわかっているはずなのに、自社目線になると売り込みの意識が先行しがちになるのもよくある失敗例の一つです。
誰しも、興味を持っていない段階で売り込みをされれば、むしろその製品に対して嫌悪感を抱くのではないでしょうか。
したがって、ステップメールを通じて有益な情報を発信して信頼関係を築きつつ、少しずつ自社製品の魅力や有用性を知ってもらうように工夫することが大切です。
有益な情報の例としては、自社製品にかかわる業界の最新情報や、ノウハウを詰め込んだホワイトペーパーなどがあげられます。
そういったコンテンツを積極的に提供することで、相手との信頼関係を構築していきましょう。
4. 前後のメールに関連性を持たせすぎない
ステップメール作成のポイント4つ目は、前後のメールに関連を持たせすぎないことです。
リードがすべてのメールを読んでいるとも、覚えているとも限らないので、ステップメールを作成する際には前後のメールに関連性を持たせすぎず、一通一通のメールで完結した内容を送るようにしましょう。
前後のシナリオとの関連性が非常に強いステップメールを作成すると、顧客が内容を理解できず、購読解除される可能性が高まります。
もちろん全通読んでもらえればより理解が深まる内容にすることは問題ありませんが、1通ごとでもある程度内容が理解できるようにしましょう。
5. 内容を定期的に改善する
ステップメール作成のポイント5つ目は、メールの内容を定期的に改善することです。
情報は常に一定ではなく変化しているものなので、古い情報を配信したところで競合他社からの提供情報に後れを取る可能性があります。
古い情報を機械的に配信し続けるのではなく、適切なタイミングで最新の情報に差し替えることが重要です。
さらに、以前配信したステップメールの効果を検証した上で、内容の最適化および問題点の改善も行いましょう。
ステップメール配信による効果の検証を行い、どのくらい開封されたのか、資料請求の件数がどのくらい増えたのか、配信停止された件数など、様々な観点から分析を繰り返し行って内容をブラッシュアップさせることがリードの商談化に繋がります。
展示会後のステップメールのシナリオ作成手順
ステップメールのシナリオ作成手順は、以下の通りです。
- リードを分類し、それぞれのゴールを設定する
- ステップメールのシナリオを決める
- 各メールの内容やコンテンツを作成する
それでは、ステップメールのシナリオ作成手順についてご説明しましょう。
1. 展示会で獲得したリードを分類し、それぞれのゴールを設定する
ステップメールの作成では、1つだけの完璧なシナリオを作成すればよいわけではありません。
リードのニーズや製品への理解度は様々なので、同じ内容のステップメールを全員に送信したところで得られる効果は薄くなります。したがって、リードをある程度の属性に分類しつつ、それぞれのリードに合ったゴールを設定する必要があります。
特に、リードを分類する際には、顕在層と潜在層を意識することが大切です。
顕在層は現在抱えている課題が明確に分かっており、課題の解決方法を積極的に探しているリードのことです。
一方の潜在層は、まだ課題が明確に決まっておらず、解決方法が分かっていないリードのことです。
顕在層はこちらから課題の解決方法を提示することで商談に結び付きやすいですが、潜在層は課題そのものが定まっていないため、地道なアプローチやアフターフォローを継続して行う必要があります。
顕在層に向けたステップメールを作成する時は、一般的に以下のような内容を記載することがおすすめです。
- 商品を購入すると実現できること
- 実際に購入した顧客の事例
- 商品の詳細資料、無料トライアルやデモの案内
一方の潜在層に向けたステップメールを作成する時は、一般的に以下のような内容を記載するのがおすすめです。
- リードの興味を引く情報やノウハウ、最新情報
- 課題を認識させるきっかけになる情報や問いかけ
- セミナーやホワイトペーパーなどの紹介
あくまでもリードファーストを意識したステップメールを作成して配信することが重要なので、定期的な顧客分析も並行して行うとシナリオ作成に役立ちます。
2. ステップメールのシナリオを決める
ステップメールのシナリオは、設定した理想的なゴールと、リードの現状とのギャップを埋めることを意識しましょう。
とはいえ、いきなり自分でシナリオを作成するのは大変なので、慣れるまでは後述するテンプレートを活用するのがおすすめです。
また、ステップメールを配信したり、配信途中でリードからの反応がなかったとしても、ステップメールの内容を変えたり配信を止めたりする必要はありません。
リードにもメールを読むタイミングがあるので、反応がないからといって興味を失くしたと決めつけるのは商談機会の損失になります。ステップメールの途中から読み始めることも珍しくないので、最後までシナリオは配信しましょう。
3. メールの内容やコンテンツを作成する
最後に、シナリオに応じたメールの文章やコンテンツを作成していきましょう。
特に意識したいのは『機械的な配信だと思われないようにすること』『1通だけ読んでも内容が伝わる文面にすること』『有益なコンテンツの作成』です。
基本的にステップメールは自動配信されますが、画一的で一斉に配信されている内容だと、読んでもらえない可能性があります。
したがって、タイトルに配信する相手の名前を入れたり、送り主を会社でなく担当者個人にしたりと、自分にしか配信していないメールだと思わせるように心がけましょう。
そして、リードは配信したステップメールを全て読んでいないことを前提とした文面にすることも大切です。全ての内容を理解していなくても伝わる文面にしましょう。
また何よりも重要なのは、リードとの関係性を築くことを軸に、メールの文面やコンテンツを用意することです。
商談化させたいからといって資料請求や商品の購入などの売り込みを前面的に押し出してしまうと、リードが不快感を感じて離脱してしまいます。商談やセミナーへの参加を押し付けるのではなく、リードに参加したいと思わせる工夫が大切です。
展示会後のステップメールのシナリオテンプレート
初めてステップメールのシナリオを作成する場合、何から書けばいいのかわからないケースがほとんどでしょう。下記で紹介するテンプレートを参考に作成することで、自ずとシナリオ作成のコツがつかめるようになります。ぜひ参考にしてみてください。
a. ニーズが顕在化しているリードの場合
顕在化しているニーズが高いリードには、下記のように商品の情報をどんどん開示し、個別相談・購入へと誘導していくことがおすすめです。ただし、くれぐれも「買ってほしい」という営業的な要素を前面に押し出すのではなく、まずはお礼文から始めて段階的に話を進めていきましょう。
ステップメールのシナリオ例
ゴール:個別相談への申し込み | |
1通目 | イベント参加のお礼、メールの配信者の紹介、 今後役に立つ情報を配信していくことを伝える |
2通目 | 自社のHPのリンクを送ったり商品の概要を記載して、改めて自社の商品を認知してもらう |
3通目 | 商品の導入事例や顧客の声など、商品のメリットを具体的にイメージしてもらう |
4通目 | 商品の詳細や購入までの流れの説明と個別相談の打診をする |
b. ニーズが顕在化していないリードの場合
ニーズが低い潜在層のリードに対しては、最初に関係性を築くことを重視しましょう。
お礼文から始まり、役に立つ情報やノウハウ等を発信することで少しずつ関係性を築くことができます。商品やサービスに興味を持ってもらったと思われるタイミングで、資料請求やセミナー参加などの案内を行い、商談化に繋げましょう。
ゴール:資料請求もしくはセミナー参加 | |
1通目 | イベント参加のお礼、メールの配信者の紹介、 今後役に立つ情報を配信していくことを伝える |
2通目 | リードが抱えている課題や問題点に対する投げかけを行い、課題に気付いてもらう |
3通目 | 2通目で提示した課題に対しての解決策や有効なノウハウを伝えることで自社の商品群を選択肢に入れてもらう |
4通目 | リードの課題を解決するようなセミナーへの招待、関連する資料のダウンロードを促す |
自社のリードに合ったシナリオを用意して展示会の後はステップメールを配信してみよう
ステップメールは、展示会やイベントのアフターフォローに有効な手法です。上手に運用することで、ニーズが顕在化していない潜在層の顧客も、将来的に商談へと結びつけられる可能性が高くなります。
なお、ステップメールの作成や改善にかかる手間は、CRMやMAツールの導入で低減できます。ツールを使えば、配信したメールの分析精度を向上させ、より高い効果を望めます。
すぐに効果が出るわけではないので最初は何かともどかしいかもしれませんが、繰り返し分析・改善を行いながら発信をすることで徐々に成果につなげていきましょう。
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