見込み客に対して有用な情報提供を行う手段のひとつとしてメールマガジンが挙げられます。メールマガジンの効果を最大化するためには、ABテストを実施することが重要です。本記事では、メールマガジンのABテストについて、その一覧と実践例とよくある失敗例を紹介していきたいと思います。
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この記事の目次
1.1 なぜメールマガジンでABテストをやる必要があるのか1.2 メールマガジンのABテストで改善できるのは開封とクリックのみ
1.3 メールマガジンのABテストは仮説を持って実施する
1.4 メールマガジンでABテストをする際は1度に複数行わない
4.1 メルマガの配信数が少ない
4.2 ABテストのテスト項目が間違っている
4.3 ABテストの期間が短すぎる
4.4 ABテストのグループ間の違いが大きすぎる
メールマガジンの効果を最大化するためのABテスト一覧
なぜメールマガジンでABテストをやる必要があるのか
メールマガジンの目的は、メールマガジンの読者に対して有用な情報提供を行い、商品やサービスをより知ってもらい、興味を持ってもらう、そして最終的に商品やサービスを購入してもらうことにあります。しかし、読者がどういったことに興味があるのかについてはそれぞれによって異なるため、同じ内容のメールマガジンを送信しても効果が低くなってしまうことがあります。
そこで、ABテストを行い、メールマガジンの読者にとってより魅力的なコンテンツを見つけ出し、開封率やクリック率を向上させることができます。
ABテストを行うことで、2つの異なるバージョンのメールを同時に送信して、読者の反応を比較することができます。それによって、より効果的なメールの作成方法を見つけ出すことができます。ABテストで試すことができることとしては例えば、タイトルや本文、配信日時、画像の有無などです。
メールマガジンのABテストで改善できるのは開封とクリックのみ
メールマガジンによって、テストできることとしては上記にあげた通りタイトルを変更したり、本文を変更したり、配信日時を変更したりとさまざまなことができますが、それによって改善できるのは
- 開封
- クリック
の2つのみです。メールマガジンで読者がすることは、メールを開くかどうか、読んだメールからコンテンツを見に行くかどうか、この2つのみなので、このいずれかを改善するために、どこを変えるのかをABテストするということになります。
メールマガジンのABテストは仮説を持って実施する
メールマガジンのABテストを実施する際に重要になってくるのが、何を改善したいのか、そしてそれをどうすれば改善できそうか、という仮説を持つことになります。まずベースになる数値があった上で、どこの数値を改善したいのか、それを事前に決めてから取り組む必要があります。仮説を持つことで、その仮説があっていたのかどうかという仮説検証をひたすら繰り返して、数値を改善していく、こういった作業が重要になってきます。
メールマガジンでABテストをする際は1度に複数行わない
メールマガジンのABテストではタイトルを変更したり、配信日時を変更したり、本文を変更したり、などさまざまな要素を変更してテストを実施することができますが、1度のABテストで複数の要素を変更しない、というのが鉄則です。
なぜかというと、複数の要素を変更したABテストを実施し、結果に変化が現れた場合、それが何が要因でその結果になったのかがわからなくなってしまうからです。例えば、開封率の改善をしようと考えて、件名のABテストと配信時間のABテストをしたとします。それによって開封率が20%から30%にアップしたとしてもメールの件名を変えたことによって開封率があがったのか、配信時間を変えたことによって開封率があがったのか、または両方とも良かったのかがわからなくなってしまいます。したがって、ABテストを実施する際は1度に1つの要素でのABテストを行うようにしましょう。
メルマガABテストの一覧
メルマガのABテストの施策一覧としては以下のようなものがあげられます。もちろん、下記にあげた以外にもできることはありますが、以下では代表的なABテスト一覧をあげたいと思います。
施策名 | 目的 | 仮説例 |
配信タイミング | 開封率向上 | 朝のメールよりも昼休み明けのメールの方が開封されるのではないか? |
差出人変更 | 開封率向上 | 男性から送るよりも女性から送るほうが開封率が高まるのではないか? |
メール件名に相手の名前を入れる | 開封率向上 | パーソナライズされたメール件名の方が注目を集め、開封率向上につながるのではないか? |
メールの件名の最初に「無料ウェビナーと入れる」 | 開封率向上 | 無料・ウェビナーなど相手にとっての便益がわかりやすい用語を最初に入れることで開封率向上につながるのではないか? |
メールのファーストビュー内にCTAを入れる | クリック率 | メールを開封後スクロールせずにアクションできる箇所を入れたほうがクリック率が高まるのではないか? |
CTAの色を変える | クリック率 | 青色 vs 赤色 視認性の向上と反応率の変化がどうなるか? |
CTAの文言を変える | クリック率 | 行動を促す文言への変更することでクリック率があがるのではないか? |
CTAの横幅を変える | クリック率 | メールの横幅いっぱいにCTAを設置するとクリックしやすくなりクリック率向上が見込まれるのではないか? |
CTAの横の位置を変える | クリック率 | メールの左寄せ、中央寄せ、右寄せでクリック率に変化があるか? |
HTMLメールからテキストメールに変える | クリック率 | メルマガっぽさがなくなり、よりアクションにつながるのではないか? |
メルマガABテストの実践例
ここでは、メルマガABテストの実践例として、具体的な数値を見ながら、どのように改善を考えて行けばよいかについて考えていきたいと思います。
前提条件として以下のような数値を考えてみます。
【A社のメルマガの平均値】
配信先件数 | 9,000件 |
開封数 | 1,827件 |
クリック数 | 135件 |
開封率 | 20.3% |
クリック率 | 1.5% |
【A社の直近のメルマガの数値】
配信先件数 | 8,000件 |
開封数 | 1,080件 |
クリック数 | 112件 |
開封率 | 13.5% |
クリック率 | 1.4% |
上記の2つの数値を見たときにどのあたりに改善がありそうと考えられるでしょうか?数値として一番平均値とかけ離れているのが、開封率というのがわかるかと思います。したがって、開封率を改善するための施策を考えてみたいと思います。
次回、どのようなメルマガを送るのかによっても施策の内容は変わってきますが、この場合だと
- 配信時間(配信曜日)を変更する
- メールの件名を変更する
- メールの送信元を変更する
あたりが、施策としては考えられます。
では、今回なぜ開封率が平均値よりも下がってしまったのでしょうか?この点について、開封率が下がってしまったと考えられる仮説を考慮したうえで、どの対策をするのか、というのを考えることが重要になってきます。
メルマガABテストのよくある失敗例
ここまで、メールマガジンのABテストの重要性と有用性について話をしてきましたが、よくあるABテストの失敗例についてもあげてみたいと思います。よくある失敗例として以下のようなものがあげられます。
メルマガの配信数が少ない
メルマガのABテストで行う配信数が少ない場合、統計的な有意性を得ることができません。配信数が少ないと「たまたまそうなってしまった」という可能性が出てきてしまいます。この場合、そもそもの配信先の数を増やすということを行わなければなりません。配信数については、さまざまな条件を加味した上で考える必要がありますが、概ね1,000件以上あるとある程度信頼性の高いデータが得られると考えられています。ABテストでそれぞれ1,000件なので、配信先は少なくとも2,000件は必要ということになります。
ABテストのテスト項目が間違っている
メルマガのABテストを行う場合、どこの数値を改善したいと考えているから、どんなテストをするのか、というのが重要だというのは上述のとおりです。しかしながら、例えば、開封率を改善したいのにもかかわらず、CTAのボタンの色を変更する、といったABテストは開封率にはほぼ影響がありません。もしそれによって結果が違っていたとしてもそれは別の要因での結果となります。また、同時に複数の項目でテストすると、なにが結果に影響を与えたのか特定できなくなるため、かならずABテストをする際はひとつの項目で行うようにしましょう。
ABテストの期間が短すぎる
ABテストを行う際、自社のそれまでの結果でどのくらいの期間で結果が出るのかについて、把握しておく必要があります。ABテストの期間が短すぎると、充分なデータを得ることができず、それが意図しない結果となって数値に表れてしまう可能性があります。BtoB向けのメールマガジンの場合、結果がある程度出るまでの期間はおよそ3営業日ぐらいあれば充分かと考えられますが、配信後に土日を挟んでいないか、連休を挟んでいないかなどはあらかじめ確認しておく必要があります。
ABテストのグループ間の違いが大きすぎる
ABテストのグループの間に大きな違いがある場合、正確な結果を得ることが難しくなってしまいます。例えば、Aは大企業の人たちで構成された配信先、Bは中小企業の人たちで構成された配信先、このような分け方だと、反応率は大きく変わりますのでABテストとしての信頼性が薄れてしまいます。また、Aの配信先は10.000件、Bの配信先は500件、など配信先の数が大きく違う場合も結果に差が生まれてしまう可能性があります。ABテストを行う際にのグループはランダム化することが重要です。
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