製造業のためのMAツール導入ガイド
製造業は問い合わせから導入までの検討期間が長く、関与者も複数にまたがります。だからこそ接点の履歴をMAツールに残し、検討が進んだ瞬間を逃さない仕組みが要ります。獲得・育成・管理・分析という4機能の見方、部門間の受け渡しルール、狙う業種は50点といったスコアリング例まで整理します。
製造業でMAツールが必要になる理由は1つです。問い合わせから導入までの検討期間が長く、その間に接点が途切れるからです。
検討が数ヶ月から年単位に及び、しかも工場側の担当者と本社の決裁者のように関与者が複数にまたがるのが製造業の商談です。この条件では、営業が個人で追い続けるのに限界があります。
MAツールの役割は、その長い期間の接点をすべて記録に残し、検討が再開した瞬間を検知することです。 名刺と個人の記憶で管理している限り、この検知はできません。
マーケティングオートメーションとは何をするものですか?
MAとは Marketing Automation の略で、直訳すると「マーケティング業務の自動化」を意味します。
Webマーケティングにおけるリードナーチャリング(見込み客の購買意欲を高め、受注・商談へつなげる一連の活動)を自動化し、マーケティング業務を効率化するためのツールです。新規顧客の獲得に向けて定型的に発生する作業を、見込み客の行動や興味関心、タイミングに合わせて実行します。
MAツールで何が解決しますか?
大きなメリットは次の3つです。
1. マーケティング・営業業務の自動化・効率化
顧客の状況に合わせて適切な情報を自動で提供できるため、マーケティング業務の工数が減り、人件費の削減にもつながります。営業活動のテンプレート化・自動化により、営業側の業務も効率化できます。
2. 見込み顧客が成約するまでの確率アップ
MAでは見込み顧客個々の反応や行動を細かく記録できます。それをもとに、適切なタイミングで情報を提供できるため、購買意欲を自動で高めていけます。リードを放置するリスクも減らせます。
3. 顧客情報を一元管理してリスト化する
WebサイトやSNSの運用、メール配信など複数の施策を並行して実施するのが一般的になっています。各施策における顧客の反応や対応状況をMAツールで管理できるのは大きな利点です。結果を自動で分析・可視化するレポート機能から、成約に結びつきそうな顧客をリスト化することもできます。
なぜ製造業で重要になりますか?
製造業は導入費用が高く、導入までの検討期間が中長期にわたるケースが多くあります。また、営業部門とマーケティング部門など関係者が複数いて、それぞれで抱えている問題が異なる場合が多いのも特徴です。
そのためMAを活用して、顧客のWeb行動を把握し、適切なタイミングで適切な相手へのアプローチを逃さないことが必須になります。
検討期間が長いということは、待っている間の記録が資産になるということです。 半年前に展示会で名刺交換した相手が、突然カタログのページを何度も見に来る。この変化に気づけるかどうかが、製造業のMA活用の分かれ目です。
MAツールはどう選びますか?
主要機能と比較ポイント
MAツールの主な機能は大きく分けて4つです。
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見込み客を獲得するための機能
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見込み客を育成するための機能
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見込み客を管理・分類するための機能
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データ分析をするための機能
これらはそれぞれ、次の機能が該当します。
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フォーム作成機能、ウェブサイト、LP作成機能
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メール作成・配信機能
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見込み顧客(リード)管理機能、スコアリング機能
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Webアクセス解析機能、レポート作成機能
選定では、この4つのうち自社がいま弱い領域に強い製品かどうかを見てください。 すべてが平均的な製品より、課題に効く製品のほうが成果が出ます。
製造業で見るべき3点
部門間連携
BtoBの製造業では、マーケティング部が獲得・育成したリードを営業部が引き継いでアプローチする仕組みが主流になってきています。この部門間の情報連携ができなければ、MA導入の効果は出ません。
どういった条件のリードであれば営業が受け取れるのかを明確に定義し、渡したリードに対して誰が・いつ・どう対応するのかをルール化しましょう。商談化がすぐにできなさそうなリードはマーケティングに戻すといった仕組みも必要です。
業界(自社)の特性にあった機能
展示会やイベントへの参加が多ければ、フォローアップを自動化できる機能があるかを確認します。メール配信が多ければ、配信の自動化やセグメントのしやすさを確認します。MAを導入して実現したいことを明確にしてから選んでください。
サポート体制
導入から運用までサポートを受けられるかは重要な選定ポイントです。マーケティングに注力できていない企業では、担当者が他業務と兼務している場合もあります。人数が少なくても、専門知識を持つ人材がいなくても運用できるよう、サポート体制の手厚いベンダーを選ぶことが大切です。
料金体系やプランの構成は各社で改定されるため、比較の際は必ず各ベンダーの公式サイトで最新の内容を確認してください。
どのように活用しますか?
問い合わせから受注までの期間が長い場合
顧客ごとに受注までどのような接点があったかの履歴を蓄積し、情報管理の抜け漏れをなくせます。さらに、サイトのどのページを見たかといった関心の度合いや、参加したイベントの履歴を残すことで、受注した顧客にとって有効だったコンテンツを検証できます。
期間をあけてのアプローチのタイミングや、営業へのリマインドも自動化できるため、タイミングを逃さずフォローできます。
展示会やセミナーの開催が多い場合
展示会フォローとして、参加者へのお礼メールやステップメールを自動で配信できます。さらにメールにサービスサイトや問い合わせフォームのURLを組み込んでおけば、誰がクリックしたか、どのページを閲覧したかをリスト化でき、見込みが高い顧客を抽出できます。
BtoBの製造業における実際のリード区分と管理方法は【事例付き】展示会で獲得したリードの管理方法で扱っています。
展示会でのリード管理
展示会で獲得したリードに区別するタグを設定すると、どの展示会からの商談化・受注が何件あったのかをレポート化できます。それにより、どの展示会に費用対効果があったのかを分析できます。
スコアリングによる顧客の優先度付け
狙いたい業種であれば50点、Webサイトへの訪問履歴があれば10点、セミナーに参加したら20点など、スコアリングを設定することで、大量のリードに加点がされていき、自社顧客となりうるリードの優先度付けができます。
製造業で重要なのは、行動だけでなく属性にも配点することです。 訪問回数だけで並べると、競合や学生、対象外の業種が上位に来ます。狙う業種・企業規模・地域といった属性の点数を先に置いてください。
インサイドセールスでの活用
インサイドセールスチームがリードへのアプローチからアポ獲得までを行い、営業チームへリードを渡す際にも、誰とどのようなやり取りがあったか、アポ獲得から受注までが何件あったかを一元管理できます。
よくある失敗
1. 導入設計が不十分なまま契約する
MAツールの導入前には、自社顧客のペルソナ策定や、購買に至るまでのバイヤージャーニーの策定など、事前に設計すべきことが数多くあります。これらを準備するだけでも多くのリソースが必要です。現在のマーケティング活動・営業活動を明確にし、ツールに求める機能を絞ってから選定してください。
2. リソースを見込んでいない
運用に割ける時間が確保できていないと、設定した仕組みが更新されないまま古くなります。誰がどれくらいの時間を使えるのかを、導入前に確認しておきましょう。
3. サポート内容を確認していない
誰が、どのくらい、どういう方法でサポートしてくれるのかを事前に確認してください。兼務体制の場合、ここが結果を左右します。
4. リードを渡す条件を決めていない
条件を決めずに営業へ渡すと、対応されないリードが積み上がります。渡す条件・対応の期限・戻す条件の3点を先に決めてください。
5. 行動だけでスコアリングする
属性に配点しないと、対象外の企業がスコア上位を占めます。狙う業種と企業規模の配点を、行動の配点より先に決めてください。
まとめ
製造業でMAツールが必要になるのは、検討期間が長く関与者が複数いるためです。その長い期間の接点を記録に残し、検討が進んだタイミングを検知することがMAの役割になります。
選定では、獲得・育成・管理・分析の4機能のうち自社が弱い領域に強い製品を選び、部門間連携のルールとサポート体制を確認してください。スコアリングは属性と行動の両方に配点します。
MAが自社の商材に向くかどうかの判断はMAは自社に必要か、製品の比較軸はMAツールの比較のしかた、投資対効果の説明のしかたはMAやSFAに投資する意味はあるのかで扱っています。点数設計そのものはスコアリングの設計、獲得後の育成手法はリードナーチャリングとはをご覧ください。
当社はリード管理やWebマーケティングにも役立つHubSpotやZohoを用いたSFA / CRM / MAの導入・運用支援を行っています。支援内容はCRM導入・運用支援、ご相談はお問い合わせより承ります。
FAQよくあるご質問
Q. 製造業でMAツールが必要になるのはなぜですか?
最初の問い合わせから導入までの検討期間が長く、その間に営業と顧客の接点が途切れやすいためです。数ヶ月から年単位の検討のあいだ、Web行動や過去の接点を蓄積しておかないと、検討が再開したタイミングを検知できません。
Q. MAツールを入れると何が解決しますか?
3つです。マーケティングと営業の定型業務が自動化されること、見込み顧客が成約に至る確率が上がること、顧客情報が一元管理されてリスト化できることです。逆に、接点が少なく検討期間が短い商材では、投資に見合う効果が出にくくなります。
Q. MAツールの主要な機能は何ですか?
獲得・育成・管理・分析の4つです。具体的にはフォームとLP作成、メールの作成と配信、リード管理とスコアリング、Web解析とレポート作成が該当します。選ぶときは、この4つのうち自社がいま弱い領域に強い製品かどうかで判断してください。
Q. マーケティングから営業へリードを渡すルールはどう決めますか?
渡す条件と、渡したあとの対応を先に文章にします。どういう条件を満たしたら営業が受け取るのか、受け取ったリードに誰がいつどう対応するのか、商談化できなかったリードをマーケティングへ戻す条件は何か。この3点が決まっていないと、渡した先で止まります。
Q. スコアリングはどう設計しますか?
属性と行動の両方に配点します。たとえば狙いたい業種であれば50点、Webサイトへの訪問履歴があれば10点、セミナー参加で20点といった形です。行動だけで配点すると、対象外の企業や学生まで上位に来てしまいます。
出典・執筆:株式会社トライエッジ/森本 貴行(CRM/営業戦略)。 2024年4月8日公開/2026年8月15日更新。
