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HOME MEDIA CRM / SFA 2024年4月8日

知覚マップとは?2軸の選び方と作り方、空白を狙う前の確認点

知覚マップは、顧客が認識している各ブランドの相対的な特徴を、縦横2軸の位置関係で示した図です。売り手が考えるスペックの優劣ではなく、顧客の頭の中の位置を映すため、企業の意図とのずれが見えます。軸の選び方、作成の5ステップ、空白を狙う前に確認すべきこと、見直しの頻度まで解説します。

知覚マップ(パーセプションマップ)は、ターゲット顧客が認識している各ブランドの相対的な特徴を、縦横2軸の位置関係で示した図です。

この図が必要になるのは、企業が意図しているブランドイメージと、顧客が実際に感じているイメージがずれていくためです。 「高品質・高価格で売っているつもりが、顧客からは中価格帯の無難な選択肢と見られている」といったずれは、売り手側の資料を眺めているだけでは気づけません。

この記事では、軸の選び方、作成の5ステップ、そして最も誤解されやすい「空白=勝機」という解釈について整理します。

知覚マップは何を映しているのか

映しているのは、製品のスペックではなく、顧客の頭の中の位置関係です。

たとえば「価格」と「機能の豊富さ」を2軸に取って自社と競合を配置すると、自社が競合と同じ位置に密集していないか、どの象限が空いているかが一目で分かります。この結果は、ポジショニングの修正や新製品のコンセプト立案にそのまま使えます。

マーケティングを行う際は、自社の商品・サービスが顧客からどのように知覚されているかを定期的にチェックし、企業の意図と異なった方向性になっていないかを確認する必要があります。 知覚マップは、競合ブランドが顧客からどう知覚されているかも一目で分かるため、ポジショニングや新製品のアイディアに活用できます。

売り手の主観で配置した図は、知覚マップではありません。 顧客に評価してもらったデータを使うことが、この図が成立する条件です。

2軸に何を選ぶのか

選ぶのは、顧客が購買を検討する際に実際に比較している評価軸です。 自社が訴求したい軸ではありません。

BtoBでよく使われる軸には次のようなものがあります。

  • 価格の高低
  • 機能の多さ
  • 専門性の高さ(特定業界に特化しているか、汎用的か)
  • サポートの手厚さ
  • 導入のしやすさ(すぐ使えるか、設計が必要か)

軸を選ぶときの注意点が2つあります。

1つ目は、2軸の内容が近すぎないことです。 「価格の安さ」と「導入コストの低さ」のように相関の高い軸を選ぶと、全ブランドが対角線上に並び、比較の情報量が減ります。

2つ目は、軸の選定自体を顧客に聞いて決めることです。 社内の会議で軸を決めると、自社が強い軸が選ばれます。それでは、確認したかったずれが図に現れません。

作成の5ステップ

ステップ1:比較対象のブランドを3〜5社選ぶ

自社を含め、顧客が実際に比較検討している相手を選びます。社内で競合と認識している会社と、顧客が比較している会社が違うことがあります。

ステップ2:顧客が比較している評価軸を洗い出す

既存顧客や失注した相手へのヒアリング、アンケートで集めます。「他社と比べて何を見て決めましたか」という聞き方が、そのまま軸の候補になります。

ステップ3:相関の低い2軸を選ぶ

洗い出した候補から、内容が重ならない2つを選びます。候補が多い場合は、軸の組み合わせを変えて複数の図を作っても構いません。

ステップ4:各ブランドを顧客に評価してもらう

それぞれの軸について、各ブランドがどのあたりに位置すると感じるかを回答してもらいます。

ステップ5:平均値を取って配置する

回答の平均値をもとに図に配置します。回答のばらつきが大きい項目は、認識が固まっていないというそれ自体が結果です。 平均値だけを見て「中間に位置している」と判断しないでください。

空白を狙う前に確認すること

知覚マップ上に空白があるからといって、そこにポジショニングした商品・サービスが必ずしも他社製品に勝てるとは限りません。

空白には2つの可能性があります。競合がいない有望な市場である可能性と、そもそも顧客ニーズがない領域である可能性です。「安くて機能が多い」という象限が空いているのは、その組み合わせで事業が成立しないためかもしれません。

狙う前に確認すべきことは2つです。

1. その位置を求める顧客が実在するか

ヒアリングで「そういう選択肢があれば選ぶか」を確認します。そこに顧客からのニーズがあるかどうかは、知覚マップ以外の分析やヒアリングと組み合わせて検討する必要があります。

2. 自社の体制でその位置を実現できるか

図の上で移動させるのは簡単ですが、実際にその位置に立つには、製品、価格、提供体制の変更が伴います。

使うときによくある間違い

1. 売り手の主観で配置する

社内の認識で図を作ると、確認したかったずれがそのまま図にも反映されず、意味のない図ができます。

2. 自社が強い軸を選ぶ

自社が有利に見える軸を選べば、自社は良い位置に配置されます。しかしそれは、顧客がその軸で選んでいる場合にだけ意味を持ちます。

3. 一度作って終わりにする

顧客の認識は、競合の新製品投入や市場環境の変化で動きます。年に1回程度の定点観測に加え、新製品の投入時、価格改定時、競合の大きな動きがあったタイミングで見直してください。CRM上に蓄積した顧客の声やアンケート回答を軸の見直しに活用すると、更新の負荷を抑えられます。 顧客の声を集めて残す仕組みは顧客情報の一元管理:システム選定と、集めたデータの3つの使い道で扱っています。

まとめ

知覚マップは、顧客が認識している各ブランドの相対的な位置を2軸で示した図です。売り手が考えるスペックの優劣ではなく、顧客の頭の中の位置関係を映すため、意図とのずれを見つけられます。

軸は、顧客が実際に比較している評価軸から選びます。自社が訴求したい軸を選ぶと、確認したかったずれが図に現れません。そして空白は勝機とは限らず、狙う前に顧客の実在と自社の実現可能性を確認する必要があります。

ポジショニングを含む戦略全体の組み立て方はBtoBマーケティング戦略の立て方、チャネルの設計はマーケティングの4P「Place」とは?で扱っています。マーケティング関連用語は用語集にまとめています。

顧客の声を蓄積して定期的に見直せる状態にするためのCRM設計はCRM構築・運用をご覧ください。ご相談はお問い合わせから承ります。

FAQよくあるご質問

Q. 知覚マップとは何ですか?

ターゲット顧客が認識している各ブランドの相対的な特徴を、縦横2軸の位置関係を用いて示した図です。パーセプションマップとも呼ばれます。自社と競合が顧客の頭の中でどのような距離感に置かれているかを可視化するもので、売り手側が考える製品スペックの優劣とは別の視点を与えてくれます。高品質・高価格で売っているつもりが中価格帯の無難な選択肢と見られている、といったずれを見つけられます。

Q. 知覚マップはどう作ればよいですか?

5ステップです。1つ目に自社を含む比較対象のブランドを3〜5社選びます。2つ目に、顧客が購買を検討するときに実際に比較している評価軸をヒアリングやアンケートで洗い出します。3つ目に、その中から相関の低い2軸を選びます。4つ目に、各ブランドを顧客に評価してもらいます。5つ目に、平均値を取って図に配置します。売り手側だけで配置を決めると、確認したかったずれが図に反映されません。

Q. マップの2軸には何を設定すればよいですか?

顧客が購買を検討する際に実際に比較している評価軸を選びます。価格の高低、機能の多さ、専門性の高さ、サポートの手厚さ、導入のしやすさなどが代表例です。自社が訴求したい軸ではなく、顧客が判断基準にしている軸を選ぶことが重要で、軸の選定自体を顧客ヒアリングやアンケートで決めるのが確実です。また、2軸の内容が近いと全ブランドが対角線上に並び、比較の情報量が減ります。

Q. 知覚マップに空白があれば、そこを狙うべきですか?

必ずしもそうとは言えません。マップ上に空白があるからといって、そこにポジショニングした商品・サービスが他社製品に勝てるとは限らないためです。空白は競合がいない有望市場である可能性と、そもそも顧客ニーズがない領域である可能性の両方があります。狙う前に確認すべきことは2つで、その位置を求める顧客が実在するか、そして自社の体制でその位置を実現できるかです。

Q. 知覚マップはどのくらいの頻度で見直すべきですか?

顧客の認識は競合の新製品投入や市場環境の変化で動くため、一度作って終わりにせず定期的に更新する必要があります。年に1回程度の定点観測に加え、新製品の投入時、価格改定時、競合の大きな動きがあったタイミングでは都度見直すことをおすすめします。CRM上に蓄積した顧客の声やアンケート回答を軸の見直しに活用すると、更新の負荷を抑えられます。

出典・執筆:株式会社トライエッジ/森本 貴行(CRM/営業戦略)。 2024年4月8日公開/2026年8月14日更新。

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