人材派遣会社のZoho CRM設計:取引先・連絡先・活動の3つに絞る
人材派遣会社がZoho CRMを使うなら、取引先・連絡先・活動の3タブに項目を絞る設計が有効です。取引先に従業員数と派遣利用の2項目を持たせ、その組み合わせで顧客を優先度A〜Cに分けます。優先度別ビューの作り方、営業ルールの決め方、休眠顧客へのメール配信、案件獲得数が約120%になった支援実績まで整理しました。
人材派遣会社がZoho CRMを使うなら、項目は取引先・連絡先・活動の3つに絞ってください。 取引先に「従業員数」と「派遣利用」の2項目を持たせ、その組み合わせで顧客を優先度A〜Cに分けるところまでが初期設計です。
理由は、求人案件の獲得先が何十万社もあるからです。限られた営業チームで全社を回ることはできないため、どこに行かないかを決める仕組みが先に要ります。
この記事では、3タブの項目設計、優先度の分け方と営業ルール、休眠顧客へのメール配信、そして数字が動かないときの見直し方を整理します。
最初に作る項目は何か
Zoho CRMで一番シンプルに設計する場合、使うのは次の3つです。
取引先(営業先の情報)
- 取引先名
- 住所
- 電話番号
- 派遣利用 → 現在利用中・過去利用中・利用なし の選択式
- 従業員数 → 一定の区分での選択式
派遣利用と従業員数を選択式にすることが、あとの分類の前提になります。 自由入力にすると集計もビューでの絞り込みもできません。
連絡先(企業担当者の情報)
接触できて名刺交換できた方の情報を入れます。
- 姓
- 名
- メールアドレス
- 電話番号(部署の電話番号)
- 携帯番号(担当者の携帯電話番号)
- 役職名
- 決裁権(人材派遣の発注ができる人かどうか)
名刺から情報を入れる作業は、Zoho CardScannerを使うと手入力を減らせます。名刺データの扱い方は名刺管理アプリの記事で扱っています。
活動(営業活動の結果)
営業活動を行った結果を記録します。都度記録することが前提になるので、できるだけシンプルにしてください。
- 営業活動の内容:新規営業なのか、案件の対応なのか、どういった目的の営業なのかを記録します。選択式にしてください。
- ヒアリング内容:実際に聞けた内容を記録します。ここは自由入力が向きます。
項目を増やすほど入力されなくなります。営業判断に使わない項目は、この段階では作らないほうが結果的に早く定着します。
営業すべき顧客をどう決めるか
蓄積した情報を整理して、営業活動をすべき重要な顧客を明確にすることが、案件数を増やすための中心です。
判断に使うのは、取引先の「従業員数」と「派遣利用」です。従業員数は顧客の規模を測る指標で、多ければ規模の大きい会社ということで重要な顧客になります。派遣利用は競合他社を使っているかどうかを示すので、利用している場合は営業すべき重要な顧客といえます。
逆に、小規模で人材派遣サービスを利用していない企業は、優先順位を落として構いません。
| 従業員数 | 派遣利用 | 優先度 |
|---|---|---|
| 多い | あり | A |
| 多い | なし | B |
| 小さい | あり | B |
| 小さい | なし | C |
そのうえで、営業ルールを言葉で決めます。
- 優先度Aは毎月必ず営業活動を行う
- 優先度Bは余裕のあるときに営業活動を行う
- 優先度Cは訪問による営業活動は行わない
優先度ごとに取引先を抽出できるビューを、あらかじめZoho CRMに作っておいてください。 分類の項目を作るだけでビューを用意しないと、営業担当は結局これまでどおりのリストを見ます。行動を変えるのは分類ではなく、毎日開く画面です。
接触済みの顧客にどう再アプローチするか
営業活動を続けると、受注に至らなかった連絡先が溜まっていきます。ここに定期的にメールで情報を発信します。
Zoho CRMの場合は、同じZoho社のメール配信ツールであるZoho Campaignsが連携しやすく、CRM側の顧客情報をそのまま配信対象に使えます。連携の手順はZoho CampaignsとZoho CRMの連携にまとめています。

顧客の属性に応じてメールの内容を変えてください。
- 競合他社の派遣社員を利用している会社:自社スタッフの特長や研修制度など、乗り換える理由になる内容
- まったく派遣を利用していない会社:直接雇用ではなく派遣社員を使うこと自体のメリット
同じ内容を全員に送ると、どちらの層にも刺さらない文面になります。取引先の「派遣利用」で配信リストを分けるだけで、内容を分けられます。
数字はどのくらい動くか
当社が過去に支援した企業では、CRMを導入して1年後に営業担当1人あたりの案件獲得数が昨対比で約120%になり、20%の改善が出ています。1人あたりの案件獲得が月5件だった場合、翌年には6件になる水準です。
この改善が見られない場合は、Zoho CRMの設定ではなく手前が原因です。 情報の蓄積が止まっているか、優先度の設定が実態と合っていないかのどちらかなので、どちらに問題があるかを先に切り分けてください。
つまずきやすい点
1. 活動の記録が数週間で止まる
活動タブの入力項目が多いと、外出先で記録されなくなります。営業活動の内容を選択式にして、自由入力はヒアリング内容の1つだけに絞ってください。記録が止まると優先度の見直しもできなくなります。
2. 優先度は決めたが訪問先が変わらない
ルールを決めても、優先度別のビューが用意されていないと行動は変わりません。優先度Aだけを抽出したビューを作り、週次の営業会議でその画面を開く運用にすると変わります。
3. 従業員数を自由入力にしてしまう
「100名」「約100人」「100〜200」が混在すると、区分での抽出ができなくなります。最初に区分を決めて選択式にしてください。あとから直すには全件の書き換えが必要になります。
導入の順序そのものに迷う場合は、CRM導入の流れを先に読むと、どこまでを初期設計に含めるかの判断がしやすくなります。
トライエッジの人材派遣会社向けパッケージ
トライエッジでは、**人材派遣会社向けに上記の初期設計を済ませたパッケージ「Zoho CRM for 人材派遣会社」**を提供しています。一般的な派遣会社の営業チームが使う項目を設定した状態でお渡しするため、お申し込み後すぐに利用を始められます。
また当社は、CRMの「導入」よりもその後の「運用」が結果を分けると考えています。導入後の顧客優先度の設定や、営業担当の履歴入力のチェックなど、CRMの情報を使って営業生産性を上げるところまで支援しています。
まとめ
人材派遣会社のZoho CRM設計は、取引先・連絡先・活動の3つに絞り、取引先の従業員数と派遣利用で顧客を優先度A〜Cに分けるところから始めます。分類したら、優先度別のビューと訪問ルールまでセットで決めてください。
受注に至らなかった連絡先はZoho Campaignsで定期配信に回し、属性でメールの内容を分けます。数字が動かないときは、情報の蓄積か優先度の設定のどちらかを疑ってください。
Zoho CRMの機能と料金はZoho CRMの料金と機能、導入・運用の支援内容はZoho 導入・運用支援、CRM全般の設計はCRM構築・運用をご覧ください。ご相談はお問い合わせより承ります。
FAQよくあるご質問
Q. 人材派遣会社がZoho CRMで最初に作るべき項目は何ですか?
取引先・連絡先・活動の3つです。取引先には取引先名・住所・電話番号に加えて、派遣利用(現在利用中/過去利用中/利用なし)と従業員数を選択式で持たせます。連絡先には姓名・メールアドレス・電話番号・携帯番号・役職名・決裁権を入れます。活動には営業活動の内容(選択式)とヒアリング内容(自由入力)の2項目だけを置きます。
Q. 営業すべき顧客の優先度はどう決めますか?
取引先の従業員数と派遣利用の2項目を掛け合わせて3段階に分けます。従業員多かつ派遣利用ありが優先度A、従業員多で利用なしと従業員小で利用ありが優先度B、従業員小で利用なしが優先度Cです。優先度Aは毎月必ず営業活動を行う、優先度Bは余裕のあるときに行う、優先度Cは訪問による営業活動は行わない、というようにルールまで決めてください。
Q. 分類しただけで営業行動は変わりますか?
変わりません。優先度ごとに取引先を抽出できるビューをZoho CRM上にあらかじめ作り、営業担当が朝いちばんに開く場所に置いてはじめて行動が変わります。分類の項目を作るだけで運用ルールとビューを用意しないと、入力された従業員数や派遣利用の情報は誰にも使われないまま残ります。
Q. 接触したが受注に至らなかった顧客はどう扱いますか?
Zoho Campaignsと連携して定期的にメールを配信します。その際、顧客の属性でメールの内容を分けてください。競合他社の派遣社員を利用している会社には自社スタッフの特長や研修制度を、派遣をまったく利用していない会社には直接雇用ではなく派遣を使うメリットを訴求する、という具合です。
Q. Zoho CRMを入れると案件獲得数はどのくらい変わりますか?
当社が過去に支援した企業では、導入から1年後に営業担当1人あたりの案件獲得数が昨対比で約120%、つまり20%の改善になっています。1人あたり月5件だった場合に翌年6件になる水準です。この改善が見られない場合は、情報の蓄積か優先度の設定のどちらかに問題があります。
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出典・執筆:株式会社トライエッジ/向佐 望(CRMコンサルタント)。 2024年3月29日公開/2026年8月14日更新。