凡人でも1年で9kg痩せた話。その本質は、優れた「KPI管理」にあり。

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こんにちは、トライエッジの中野です。


「1年で9kg痩せたんです」

このようにお話しすると、大抵の方はこう返してきます。
「すごいですね!どんな厳しいトレーニングをされたのですか?」
「やはり、糖質制限とか食事を徹底したのでしょうか?」と。

 

皆様、なにか特別なこと、ストイックな努力を想像されるようです。しかし、私の答えはその真逆でした。
特別な運動は一切していません。ジムにも通っていません。 厳しい食事制限もしていません。ラーメンも食べますし、お酒も飲みます。
私がやったことは、驚くほどシンプルです。「毎日、朝と夜の2回、体重計に乗る」
ただ、それだけでした。


「え、それだけで痩せるのですか?」と疑問に思われるでしょう。ですが、これこそが、私が専門とするマーケティングの世界で最も重要視される「数値管理」、つまり「KPI管理」そのものだったのです。


今回は、私が9kgのダイエットに成功した「測るだけダイエット」の本質と、それがビジネスや目標達成全般にいかに重要であるかについてお話ししたいと思います。

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執筆者:中野 三四郎 人材派遣会社に新卒入社後、一貫してマーケティング部門に従事。営業戦略の立案、SFA / CRMの企画開発・運用、顧客分析などを行う。 その後、M&Aコンサルファームやメーカーの営業企画などを経て、株式会社トライエッジを設立。
青山学院大学 国際マネジメント研究科 卒
著書:「営業は仕組みで9割決まる-「仕組み」で常勝営業チームをつくる方法 Udemyで3千名の受講生にマーケティングの入門講座を提供

 

私を9kg減量させた「朝晩簡単ダイエット」という名のKPI管理ツール

私が使ったのは、オムロンの体組成計と、それと連動する「OMRON connect」というスマートフォンアプリです。このアプリの中に「朝晩簡単ダイエット」という、まさに私が実践したメニューがあります。
OMRON connect 朝晩簡単ダイエット

この機能の仕組みは、実に巧妙です。
1.朝、起床後に体重を測ります。
2.アプリが、その日の「夜の目標体重」を自動で設定してくれます。
3.その目標体重を超えないように、1日の食事や活動を“意識”して過ごします。
4.夜、就寝前に再び体重を測り、結果を確認します。
たったこれだけです。

 

食事の内容に「これを食べてはいけない」という制限はありません。重要なのは、朝測定した体重から算出される「夜の目標体重」というKPI(重要業績評価指標)をクリアすることだけなのです。


例えば、朝の体重が75.0kgだったとします。するとアプリは「今日の夜は75.5kgまでに抑えましょう」といった具合に、具体的な数値目標を提示してきます。(※実際の目標値のロジックはアプリに準じます)


この「+0.5kg」という猶予がミソです。日中の食事や水分摂取で、体重は自然と増えます。その増加分を、この範囲内に収める。このゲームを毎日繰り返していくのです。

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実際のアプリ画面

なぜ「測るだけ」で痩せるのか?マーケターが紐解く3つの理由

さて、ここからが本題です。なぜ、このシンプルなルールを守るだけで、長期的に体重が落ちていくのでしょうか。それは、この仕組みが、成果を出すためのマーケティング・フレームワークそのものだからです。


1. 「KGI」と「KPI」の明確な設定
ビジネスの世界では、目標達成のためにKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)とKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定します。
・KGI:最終的に達成したいゴール(例:年間売上1億円)
・KPI:KGIを達成するための中間指標(例:月間Webサイトアクセス数、商談化率)
これを私のダイエットに当てはめてみましょう。
・KGI:9kg痩せる(理想体重になる)
・KPI:その日の夜の目標体重
多くのダイエットが失敗するのは、このKPI設定が曖昧だからです。「なんとなく痩せたい」という漠然としたKGIを掲げ、「なんとなく食事を減らす」「なんとなく運動する」という曖昧な施策に終始してしまいます。


しかし、「朝晩簡単ダイエット」は、「夜の目標体重」という、極めて具体的で、達成可能で、測定可能なKPIを毎日自動で設定してくれるのです。ゴールが明確だからこそ、そこに向かうための行動が自然と生まれます。


「今日の夜は75.5kgか。なら、昼はカツ丼じゃなくて蕎麦にしておこう」「少し食べ過ぎたから、一駅手前で降りて歩いて帰ろうか」。


このように、具体的な数値目標(KPI)が、日々の行動(施策)を最適化します。これは、Webサイトのコンバージョン率を上げるために、日々のアクセス数や直帰率をチェックし、改善策を打つのと全く同じ構造です。


2. 超高速で回せる「PDCAサイクル」
ビジネスの基本であるPDCA(Plan-Do-Check-Action)。しかし、多くの現場でこのサイクルがうまく回らないのは、Check(評価)からAction(改善)までのスパンが長すぎるからです。月次レビューや四半期レビューでは、手遅れなことも少なくありません。


ところが、このダイエット法はPDCAサイクルを「1日」という驚異的な短期間で回すことができます。
・Plan(計画):アプリが夜の目標体重(KPI)を提示します。
・Do(実行):1日の食事や活動を意識して過ごします。
・Check(評価):夜に体重を測り、目標を達成できたか確認します。
・Action(改善):
└【目標達成】→「このペースで明日も頑張ろう」と行動を継続・強化できます(成功体験の定着)。
└【目標未達】→「なぜ超えた?昼のラーメンか?夜の飲み会か?」と原因を即座に振り返り、「明日は少し調整しよう」と翌日の行動を修正できます。


「食べ過ぎたな」という感覚的な反省ではありません。「目標を300gオーバーした」という定量的な事実が、翌日の行動の精度を劇的に高めるのです。飲み会で目標を大幅にオーバーしたとしても、パニックになる必要はありません。

その事実を受け止め、「明日と明後日でリカバリーしよう」と、冷静に次の計画を立て直せます。
この「即時フィードバック」と「翌日からの軌道修正」こそが、挫折を防ぎ、長期的な成功をもたらす鍵だったのです。


3. 「レコーディング」による行動変容の誘発
ただ記録するだけで行動が変わることを「レコーディング・ダイエット」と呼ぶことがありますが、この本質は「意識化」にあると考えています。


毎日2回、自分の体重という現実と向き合うことで、「自分は今、ダイエット中である」という意識が常に頭の片隅に存在するようになります。


この無意識レベルでの意識化が、日常の些細な選択に影響を与えます。
・エレベーターではなく、階段を使ってみる。
・定食のご飯を、半分残してみる。
・ジュースではなく、お茶を選ぶ。
一つ一つは小さな行動です。

しかし、この小さな選択の積み重ねが、1ヶ月、半年、1年という期間で、とてつもなく大きな差を生みます。

9kgという結果は、この日々の小さな行動変容の集積に他なりません。


数値管理なき施策の成功はありません。これは私が常々、クライアントにもお伝えしていることです。Webマーケティングであろうと、営業活動であろうと、そして自身の健康管理であろうと、この原則は変わらないのです。

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結論:すべての目標達成は「何を測るか」から始まります

約1年をかけて、私は9kgの減量に成功しました。特別な努力をしたわけではありません。ただ、「毎日2回体重を測り、KPIを追いかける」という仕組みを導入しただけです。
この経験を通じて、私は改めて確信しました。


何かを成し遂げたいと願うなら、根性論や精神論に頼る前に、まずは「何を、どのように測るか」という“計測の仕組み”を設計すべきだ、ということです。


・仕事で成果を出したいなら、日々の行動と結果を数値で追うKPIは何でしょうか?
・スキルアップしたいなら、学習時間やアウトプット量をどう計測しますか?
・貯金をしたいなら、毎日の支出をどう可視化し、管理しますか?

 

あなたが今、達成したいと思っている目標は何でしょうか。 そして、その進捗を測るための「体重計」の役割を果たすものは、何でしょうか。
優れたKPI管理は、凡人をも目標達成へと導いてくれる、最もパワフルなツールの一つです。まずは、あなただけの「体重計」を見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。



 

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