BtoBビジネスにおけるアップセル・クロスセルを徹底解説!

Picture of Sanshiro Nakano

こんにちは。

トライエッジ代表の中野です。

 

みなさんの営業チームにおいて、アップセル・クロスセルは効果的に行われているでしょうか。

案外「うちの会社ではアップセルやクロスセルは完璧なんだよ・・・!」と言い切れる会社は少ないのではないかと思っています。

新規顧客の獲得は熱心だけれど、一度取引が始まった顧客への営業活動は、担当営業任せ・・・というようになっている会社さんは、多いのではないでしょうか。

 

今回のコラムでは、このように属人的になったり後回しになったりしがちな「BtoBビジネスにおけるアップセル・クロスセル」の重要性と、それらを効果的に活用する方法について掘り下げていきます。

営業マンが考えている様子-1

 

アップセル・クロスセルとは何か?

アップセルとは、既存の顧客に対して、より高機能や高価格の製品・サービスを提案する営業手法です。

ハンバーガー屋さんに例えると、ハンバーガーを注文したお客様に「チーズ」や「トマト」などのトッピングをおすすめするようなイメージです。

 

一方、クロスセルは、顧客が現在利用している製品・サービスに加え、関連する製品・サービスを提案する手法を指します。

これもハンバーガー屋に例えると、ハンバーガーにポテトをおすすめするようなイメージでしょうか。

 

両者は既存顧客の購入額を増やすという直接的な利益にもなりますが、より多くの選択肢を提示することは単純に顧客満足度を高めることに直結します。

 

また、これらの戦略は、新規顧客獲得のための広告やプロモーションと比べてコスト効率が良いのが一般的です。

一説には新規顧客を獲得するためには既存顧客への追加営業より5倍の労力がかかるとも言われていますので、新規獲得より、アップセル・クロスセルのほうがより効果的であると言えます。

 

ハンバーガー屋-1

 

既存顧客との関係強化におけるアップセル・クロスセルの役割

既存顧客との関係を深めて築くことは、BtoBビジネスにおいてとても重要なのは、誰しもご存知だと思います。

 

アップセル・クロスセルは、顧客に対して自社の製品やサービスを追加で提案することで、その関係を一層強める側面があります。

 

また、新たなサービスを提供することによって、顧客のさらなる課題を解決することになれば、当然のことながら顧客の自社への満足度は上がることとなります。

 

満足が上がることは、現在の契約が長期化することに繋がりますし、LTV(顧客生涯価値)の増加へのつながっていくことにもなります。

 

さらに、顧客へのアップセル・クロスセルを積極的に行おうとすると、大前提としてこれまでの関係性が良好でなければなりません。

アップセル・クロスセルを積極的に行うことは、結果として顧客の現在の満足度と向き合うことになり、顧客との関係性を高めていくのに重要な要因となっていくのです。

 

具体的なアップセル・クロスセル戦略のステップ

アップセル・クロスセル戦略を進めるの具体的なステップは下記のとおりです。

 

ステップ1:顧客データベースの構築

アップセル・クロスセルを行うに当たっては、


【どの顧客を優先してアプローチすべきか】

 

を明確にする必要があります。

なぜなら、全ての顧客に対して一律に営業活動を行うのは効率的ではないからです。

 

優先順位を決めていくわけですが、それにあたってやるべきこととしては、各顧客の財布の大きさ、言い換えるとポテンシャルを測る必要があります。

たとえばある会社に勤怠管理のソフトウェアを販売するとしましょう。

従業員10人の会社

従業員1000人の会社

では、どちらが予算が大きいでしょうか。

また、どちらが受注したときに取引額が大きくなるでしょうか。

 

当然のことながら、1000人の従業員数の会社のほうが、ポテンシャルも高く、優先すべき企業だと言えます。

 

今回は従業員数としましたが、自社の売りたい商品や顧客群によっても、ポテンシャルを測る指数は変わってきます。

 

そういったときに、おすすめの指標としては「◯◯の人数」です。


物流センター向けの商品であれば「物流センターに従事している従業員数」みたいになりますし、事務職派遣をしている会社であれば「事務業務に従事している従業員数」となります。

とはいえ、これらの情報は一般には公開されていないので、顧客と接点をもったときに個別にヒアリングしていく必要があります。

 

なので、初期としては情報が取得しやすい「売上高」「拠点の数」「従業員数」などがオススメです。

 

こういった「ポテンシャルを測る情報」は、通常の営業活動の中で得ていくものですが、その情報を蓄積するのがCRMということになります。

 

 

ステップ2:アプローチのルールの策定

 

既存顧客のデータが一元管理され、ポテンシャルがわかるようになったら、次にやるのは「営業活動のルール」となります。

 

たとえば、商品Aを使っている企業に対して商品Bを売りたい、としましょう。

そうなった場合は、Aのユーザー顧客に対して、クロスセルとしてBのアプローチをしていくわけですが、このときに決めるべきは

誰が

いつ

どうやって営業をするのか

という点です。

 

たとえば下記のような形でルールを決めるようなイメージです。

誰が→担当の営業マンが

いつ→Aの商品を導入してから半年後に

どうやって→直接訪問をして商品Bを担当者にプレゼンテーションをする

 

私が以前所属していた派遣会社では、すでに自社の派遣社員が就業している取引先に対しては下記のようなルールを設定していました。

誰が→担当の営業マンが

いつ→週に一回(顧客の従業員数が100名以下の場合は月に一回)

どうやって→直接顧客先に訪問し、追加での人材ニーズがないかどうかを直接ヒアリングする

 

その場合には手に入れるべきは「組織図」です。どういった部署が社内にあって、それぞれの役割がどういうものなのかを把握しましょう。

 

そのうえで「◯◯部の方と是非一度ご挨拶したいので、ご紹介いただけませんか」と頼んでみましょう。

 

 

ステップ3:結果の回収

 

ルールを決めたら、ルール通りに営業活動が行われているかを確認していく必要があります。

なぜなら、こういった営業ルールはその後きちんともれなく行われているかを確認していかないと、すぐに実行されなくなってしまうからです。

 

ここでも活躍するのがCRMです。

CRMに取引情報を蓄積しておけば、商品Aを購入半年後に商品Bを案内すべき顧客群を、システム上で管理でき、ヌケモレを防ぐことができます。

 

たとえば、アップセル・クロスセルを行うべき企業に対して、営業活動がなされていなかった場合は、営業チームにメールなどでお知らせが来る、というような使い方ができます。

 

 

アップセル・クロスセルを行うときの注意点

 

さて、アップセルやクロスセルを実践する際の注意点を2つご紹介します。

 

注意点1 関係の良好な顧客に対して行う

アップセル・クロスセルは、現在取引している商品やサービスに対して満足をしていないと、成功しないばかりか「この会社は今の商品すら満足に提供できないのに、さらに別のものを売りつけようとしてくる・・・」と思われて、かえって逆効果になります。

 

まずは顧客満足度を高めることに集中し、しっかりと信頼関係を築いたうえで実行しましょう。

 

 

 

注意点2 顧客の課題を把握したうえで提案する

すでに取引をしている顧客ですから、顧客の状況や抱えている課題などはしっかりと把握しておく必要があります。

 

この課題の把握が浅かったり間違っていたりすると「この会社は現在取引しているのに全然自分たちの事がわかってくれていない・・・!」というような印象を与えてしまい、こちらも逆効果になります。

 

追加の提案を行う際は、顧客の課題をより深く・正確に把握し、きちんとした提案を行えるようにしましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

このように、アップセル・クロスセルは、非常に効果的ですし顧客との関係性を深める意味でも重要な役割を果たしますが、一方でしっかりとした準備を行わないと、かえって顧客との関係を悪くしてしまうような危険もあります。

 

まずは自社の商品・サービスについて満足してもらうことが第1優先です。

これがしっかりと行われたら、その後アップセル・クロスセルを積極的に行ってみてください。

 

CRMの運用や営業の仕組み作りについて、私の会社でも多数ご支援をしています。ご相談したい方はぜひ問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

 

 

中野三四郎

 

執筆者  株式会社トライエッジ代表 中野三四郎

 

人材派遣会社に新卒入社後、一貫してマーケティング部門に従事。営業戦略の立案、SFA/CRMの企画開発・運用、顧客分析などを行う。その後、M&Aコンサルファームやメーカーの営業企画などを経て、株式会社トライエッジを設立。【著書】「営業は仕組みで9割決まる」


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