SFA / CRM基礎講座④:デシル分析で自社の優良顧客を把握する
デシル分析は、顧客を購買金額の高い順に10等分し、グループごとの購入比率や売上高構成比を算出する手法です。記事のアパレル店の例ではデシル1だけで売上の50%、上位20%で75%以上を占めました。顧客ごとの購入データさえあればExcelやスプレッドシートのピボット機能で実行できます。
デシル分析とは、顧客を購買金額の高い順に10等分し、グループごとの購入比率や売上高構成比を算出する分析手法です。 自社の売上がどの顧客層に偏っているかを、数字で確かめられます。
手順は4つだけです。顧客データを購買実績順に並べ、10等分してデシル1〜デシル10と名付け、グループごとに金額を集計し、全体に対する比率を出します。
顧客ごとの購入データさえあれば、ExcelやGoogle Spreadsheetのピボット機能で実行できます。専用ツールは必要ありません。
この記事では、デシル分析の定義、実際の集計手順、1,000人の顧客を持つアパレル用品店の例を使った結果の読み方までを解説します。

SFA / CRM基礎講座③:シェアオブウォレットの概念とマーケティング施策
なぜ顧客データを分析する必要があるのですか
施策を打つ前に、いま誰がどれだけ売上を作っているのかを把握しておく必要があるためです。
SFA / CRM導入の成果を最大限にするには、「顧客が持つ予算」と「顧客との取引状況」の2軸で顧客を分類し、それぞれのカテゴリごとにマーケティング施策を打つことが重要です。この2軸の考え方は基礎講座③:シェアオブウォレットの概念とマーケティング施策で解説しています。
こういった施策を打つ際にやっておくべきは、現在の顧客との取引がどうなっているのかを分析し把握することです。全体の取引のうち、どの顧客の売上がどのくらいの割合を占めているのかを把握することは、今後の施策を考える上で必要不可欠です。
その際によく使われる手法の1つが、デシル分析です。
デシル分析とは何ですか
顧客の過去の購買データをもとに取引金額の高い順に10等分し、それぞれのカテゴリの購入比率や売上高構成比を算出する分析手法のことです。
各グループの購入金額やその比率などを把握することによって、自社の注力すべきグループを明確にし、マーケティング施策に活かすことができます。
デシルとは、10分の1という意味のラテン語です。小学生のときに「デシリットル」という単位を使ったことがあるかと思いますが、そのデシルが語源となっています。
デシル分析はどのような手順で行いますか
手順は次の4つです。
- 顧客データを一覧化して並び替える:SFA / CRMなどに蓄積されている顧客データを一覧化し、購買実績の高い順に並び替えます
- 10等分してグループ名をつける:並び替えた顧客データを10等分し、最初のグループを「デシル1」、次のグループを「デシル2」と名付けます
- グループごとに集計する:それぞれのグループごとに購買実績を集計し、購買金額の合計を出します
- 全体に対する比率を計算する:各カテゴリの金額が全体に対してどのくらいの比率を占めるかを計算します
集計に必要なデータは、顧客IDと一定期間の購入金額の2列だけです。
実際の集計結果は、どう読めばよいですか
実際に集計した例で考えてみましょう。
あるアパレル用品店があり、1,000人の顧客がいるとします。1,000人が過去一年間で購入した累計金額を元にデシル分析を行います。すると下記のようになったとします。

このアパレル洋品店の場合、上位10%のデシル1だけで全体の50%の売上をあげていることになります。また、次のデシル2を入れると、上位20%で全体の75%以上の売上を占めており、デシル1とデシル2は、かなり重要な顧客群であるといえるでしょう。
また、下位のカテゴリーの購入金額の割合はかなり低く、デシル6〜デシル10までを合計しても、全体の3%にしかなりません。このお店の場合、かなり常連客の売上が高いということがわかります。
デシル1やデシル2のような常連客が自社から離反しないよう、このカテゴリーにはきめ細かく接客を行う必要があるかもしれません。売上の大半を一部の顧客が生むというこの偏りは、基礎講座①:導入の目的は優良顧客の発掘と育成で触れたパレートの法則そのものです。
分析結果をさらに深めるには、何を足せばよいですか
各カテゴリに、別の切り口のデータを重ねます。
- 購入頻度や平均購入金額を付け加えると、それぞれのカテゴリの特徴がさらに見えてきます
- 属性データ(BtoCなら年齢や地域、BtoBなら業種や従業員数)を付け加えて見るのも有効です
- 商材ごとにデシル分析をしてみるという分け方もあります
こうしてデシル分析をすることで、自社の現時点での優良顧客が誰なのかを明確にできるとともに、その他のグループがどういった状況にあるのかを把握して自社の課題を発掘することができます。
なお、顧客が今後いくらまで使えるのかという将来の余地は、購買実績だけでは見えません。その部分は基礎講座②:顧客のポテンシャルの考え方と収集方法で扱っています。
デシル分析で足りない部分は何ですか
「いつ買ったか」と「何回買ったか」が入っていないことです。
デシル分析は購買金額だけで顧客を10等分するため、計算が複雑ではなく手軽に行えるという利点があります。一方で、最後に購入してからどのくらい時間が経過しているか、どのくらいの頻度で購入しているかという購買行動の要素は反映されません。
そこを補うのが、最新購入日(Recency)・購入頻度(Frequency)・購買金額(Monetary)の3指標で顧客を採点する手法です。詳しくは基礎講座⑤:RFM分析で自社の顧客動向を把握するで解説しています。
まとめ
デシル分析は、顧客を購買金額の高い順に10等分し、グループごとの売上構成比を出す手法です。例のアパレル用品店では、デシル1だけで売上の50%、上位20%で75%以上を占め、下位5グループを合計しても3%でした。
顧客ごとの購入データさえあれば、ExcelやGoogle Spreadsheetのピボット機能などを使うことで簡単に行えますので、まずは過去1年分の購入金額を書き出すところから、ぜひやってみましょう。
顧客データの分析まで相談したい方へ
トライエッジでは、Zoho CRMの初期設計・運用後の支援だけでなく、顧客分析やマーケティング施策の立案もお手伝いしています。CRM導入の支援内容はCRM導入支援、Zoho CRMについてはZoho CRM導入支援をご覧ください。ご相談はお問い合わせより承ります。
FAQよくあるご質問
Q. デシル分析とは何ですか。
顧客の過去の購買データをもとに、取引金額の高い順に顧客を10等分し、それぞれのグループの購入比率や売上高構成比を算出する分析手法です。デシルとは10分の1という意味のラテン語で、小学校で習う「デシリットル」と同じ語源です。各グループの購入金額やその比率を把握することで、自社が注力すべきグループを明確にし、マーケティング施策に活かすことができます。
Q. デシル分析はどのような手順で行いますか。
4つの手順です。1つ目にSFA / CRMなどに蓄積されている顧客データを一覧化し、購買実績の高い順に並び替えます。2つ目にそのデータを10等分し、最初のグループを「デシル1」、次を「デシル2」と名付けます。3つ目に各グループの購買金額の合計を集計します。4つ目に各グループの金額が全体に対して占める比率を計算します。
Q. デシル分析にはどのようなツールが必要ですか。
顧客ごとの購入データさえあれば、ExcelやGoogle Spreadsheetのピボット機能などを使って簡単に行えます。専用の分析ツールを新たに導入する必要はありません。必要なデータは顧客IDと一定期間(たとえば過去1年間)の購入金額の2列だけで、まずはこの2列を書き出すところから始められます。
Q. デシル分析の結果は、どう読めばよいですか。
上位グループへの偏り方を見ます。記事で挙げた1,000人の顧客を持つアパレル用品店の例では、上位10%のデシル1だけで全体の50%の売上をあげており、デシル2を加えた上位20%で全体の75%以上を占めていました。一方でデシル6からデシル10までを合計しても全体の3%にしかなりません。この場合、常連客の売上が高い店だとわかります。
Q. デシル分析の結果を、どう施策につなげますか。
上位グループの離反防止を最優先にします。上位20%で売上の75%以上を占めるような分布であれば、デシル1・デシル2の顧客が離反した際の影響が大きいため、このカテゴリーにきめ細かく接客を行う必要があります。さらに各グループの購入頻度や平均購入金額、属性データ(BtoCなら年齢や地域、BtoBなら業種や従業員数)を加えると、グループごとの特徴が見えてきます。
RELATEDあわせて読みたい記事
出典・執筆:株式会社トライエッジ/森本 貴行(CRM/営業戦略)。 2024年4月8日公開/2026年8月14日更新。