営業企画部とは?役割・必要な理由・向いている人材を解説
営業企画部は、営業戦略の立案、営業数値の集約と発信、営業組織のDX推進を担う参謀組織です。日本企業では組織そのものが無い、あるいは営業責任者が兼任している例が多く見られます。2,000人規模の営業組織を統括する営業企画部にいた経験から、役割と必要性、向いている人材、営業事務との違いを整理します。
営業企画部とは、営業チームを支援する参謀組織です。 担うのは主に3つで、営業戦略の企画立案、営業数値の集約と社内への発信、そして営業組織のDX推進です。近年は「セールスオペレーション」と呼ばれることもあります。
営業担当者が数名の会社でも、この役割を担う人は必要です。 部署として置く必要はありませんが、数字を見て課題を見つけ、対策を決める人がいない組織は、営業活動が個人の勘と経験だけで進みます。
この記事では、営業企画の役割と必要性、向いている人材を整理します。書いているのは、2,000人規模の営業組織を統括する営業企画部に在籍していた経験を持つ者です。
営業企画部は何をする組織か
私はこれまで様々な会社のBtoBマーケティング支援や営業支援を行ってきましたが、この「営業企画」という組織が弱い会社が多いという印象を持っています。
営業部門にとってブレーンにあたる重要な機能でありながら、日本の営業組織では「チーム自体がない」「現場の営業責任者が兼任している」というケースが多く見られます。
具体的に担うのは次の4つです。
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 戦略立案 | 市場動向と競合を分析し、営業戦略を決める。新規獲得と既存拡大の目標設定を含む |
| 予算とKPIの管理 | 営業活動の予算を配分し、KPIを設計して進捗を定期的に見る |
| 数値の集約と発信 | 顧客データ・営業活動データを集め、組織全体に共有する |
| 営業チームの支援 | 教育、ツールの提供、営業プロセスの改善を通じて生産性を上げる |
スポーツチームでいえばコーチにあたります。チームが勝つために、メンバーを育て、戦術を考える役割です。
したがって営業企画のミッションは「チームを勝利に導くこと」であり、勝利とは目標の達成に他なりません。営業組織が目標を達成すれば営業企画は役割を果たしたことになり、未達であれば果たしていないということになります。
なぜ営業企画が必要なのか
企業風土や商材の特性にもよりますが、BtoBビジネスを行う多くの企業にとっては必要だと考えています。
理由は、データを正確に把握できるかどうかで打てる手が変わるためです。
私が新卒で入った会社では、営業企画が2,000人を超える営業組織を統括していました。この組織は、会社のすべての顧客データと営業活動データを、即時に、正確に把握していました。
データが正確に見えると、成果を上げている担当者と伸び悩んでいる担当者の違いが一目で分かります。違いが分かれば、対策も即座に打てます。逆にデータが揃っていなければ、「頑張っているはずなのに数字が出ない」という状態の原因を特定できません。
営業DXという言葉が使われるようになりましたが、その土台はここです。 ツールを入れることではなく、データを判断に使える状態にすることが本体です。
CRMやSFAの整備が営業企画の最初の仕事になることが多いのは、このためです。進め方はCRM導入の流れにまとめています。
営業企画と営業事務の違い
混同されやすいので整理します。目的が違います。
- 営業事務:営業担当者の作業を代行し、業務が滞りなく回ることが目的
- 営業企画:営業組織が目標を達成することが目的。そのために仕組みを変える
前者は実行の支援、後者は判断の支援です。どちらも必要ですが、営業事務の担当者に営業企画を兼任させると、目の前の作業が優先されて、数字を見て仕組みを変える時間が取れなくなります。
どんな人が営業企画に向いているのか
鍵になるのは「数字」と「コミュニケーション」の2つです。
1. 数字
営業企画は営業活動の状況を数値で見て、課題を発見し、対策を講じます。数字を読めなければ分析ができず、課題も見つけられません。数字に対してアレルギーを持っていないことが前提になります。
高度な統計の知識が必要というわけではありません。増減の理由を数字で説明しようとする姿勢があるかどうかです。
2. コミュニケーション
営業企画は営業組織だけでなく、システム部門や業務部門とも緊密に連携します。各組織の結節点となり、組織全体を動かしていく役割です。
施策ごとに「なぜやる必要があるのか」を説明し、周囲の協力を得ながら進める必要があります。正しい施策を立案できても、現場が動かなければ結果は変わりません。ここが営業企画の難しさであり、コミュニケーション力が不可欠と言える理由です。
シリーズ記事のご案内
営業企画の具体的な役割については、5回に分けて解説しています。
- 第1回:現場の視点―営業企画の原点となる企画力―
- 第2回:データの舞台裏―営業企画における分析力―
- 第3回:実践の原点―失敗を恐れず営業組織とぶつかる実行力―
- 第4回:テクノロジーの前線―ITを駆使する営業企画のDX推進力―
- 第5回:成功の結節点―関係組織をまとめ上げるコミュニケーション力―
まとめ
営業企画部は、営業戦略の立案、数値の集約と発信、営業組織のDX推進を担う参謀組織です。専任の部署が無くても、この役割を担う人は必要になります。
必要なのは、まず顧客データと営業活動データを正確に把握できる状態です。ここが整わないまま施策を増やしても、効果を検証できません。
向いているのは、数字に抵抗がなく、他部門を巻き込んで動かせる人です。
トライエッジでは、営業データの整備からCRMの設計・運用定着までを支援しています。詳しくはCRM構築・運用をご覧ください。営業企画の立ち上げや、いまの体制で何から手をつけるべきかのご相談はお問い合わせから承ります。

執筆者
株式会社トライエッジ代表 中野三四郎
人材派遣会社に新卒入社後、一貫してマーケティング部門に従事。営業戦略の立案、SFA/CRMの企画開発・運用、顧客分析などを行う。その後、M&Aコンサルファームやメーカーの営業企画などを経て、株式会社トライエッジを設立。【著書】「営業は仕組みで9割決まる」
FAQよくあるご質問
Q. 営業企画部とはどんな組織ですか?
営業チームを支援する参謀組織です。担うのは主に3つで、営業戦略の企画立案、営業数値の集約と社内への発信、営業組織のDX推進です。営業担当者が自ら売るのに対して、営業企画は「営業組織が目標を達成する仕組み」を作ります。近年は「セールスオペレーション」と呼ばれることもあります。
Q. 営業担当者が少ない会社にも営業企画は必要ですか?
必要です。ただし専任の部署を作る必要はなく、役割を担う人がいれば足ります。数字を集めて課題を見つけ、対策を決める人が誰もいない状態だと、営業活動が個人の勘と経験だけで進むことになります。人数の多寡ではなく、この機能が誰かに割り当てられているかどうかが問われます。
Q. 営業企画と営業事務は何が違いますか?
目的が違います。営業事務は営業担当者の作業を代行し、業務が回ることを目的とします。営業企画は営業組織が目標を達成することを目的とし、そのために戦略を立て、数値で課題を特定し、仕組みを変えます。前者は実行の支援、後者は判断の支援です。
Q. 営業企画にはどんな人が向いていますか?
鍵は「数字」と「コミュニケーション」の2つです。営業活動の状況を数値で見て課題を発見するため、数字に苦手意識がないことが前提になります。加えて、営業部門だけでなくシステム部門や業務部門とも連携し、各組織の結節点として全体を動かす役割を担うため、なぜやる必要があるのかを説明して協力を得る力が必要です。
Q. 営業企画は何から始めればよいですか?
顧客データと営業活動データを、正確かつ即時に把握できる状態を作ることからです。ここが整うと、成果を上げている担当者と伸び悩んでいる担当者の違いがデータで見え、対策を打てるようになります。逆にここが無いまま施策だけを増やしても、効果を検証できません。CRMやSFAの整備が最初の仕事になることが多いのはこのためです。
出典・執筆:株式会社トライエッジ/伊能 藍子(CRM 導入・運用支援)。 2024年4月19日公開/2026年8月14日更新。