【第4回】テクノロジーの前線―ITを駆使する営業企画のDX推進力―

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営業企画部のミッションの一つとして「ITを活用した営業組織のDX推進」というものがあります。様々な分野でのDXが叫ばれている昨今ですが、このミッションはある意味最も重要なものと言えるかもしれません。

営業組織に関わるITツールは、以前ならばシステム会社などにお願いをして個別に開発をする必要がありましたが、現在では様々なSaasツールが出ており、ウェブ上で登録をすればその日から使えるようなものばかりです。

一方で、日本の営業組織はまだまだDXが遅れているとも言われています。今回はその営業企画の重要ミッションの一つ、営業DXについて解説をしていきます。

(前回の記事 【第3回】実践の原点―失敗を恐れず営業組織とぶつかる実行力―

この記事の目次

営業組織のIT化はなぜ必要なのか

営業組織のDX推進を考えるうえで重要なのは「なぜ営業組織にDXが必要なのか」という観点の確認です。

営業組織は会社全体の売り上げを作っている部署であり、企業にとって最重要な部門でもあります。この部門が好調か不調かによって会社全体の業績が左右されることも珍しくありません。
一方で、営業部門というのは、仕事という意味での人気ではあまり高くはありません。
きついノルマ、目標達成のプレッシャー・・・営業職というものに対してネガティブなイメージを持つ人も少なくないのです。
日本全体では少子高齢化によって労働人口の減少が課題となっています。

これまでの営業組織では、生産性を上げるためには「頑張って優秀な営業担当者を採用する」というのが、もっともポピュラーな解決方法でしたが、そういったことは今後ますます難しくなっていくことが予想されます。

こうなってくると、営業組織は「優秀な営業担当者を採用する」という観点から「現時点では優秀ではないが、普通の営業担当者の生産性をなんとかして向上させる」という観点に変わっていかざるを得ません。

ここで重要なのがITです。ITを活用することによって、営業担当者のボトムアップを図ることが可能となります。

セールステックの知識を常に追っていこう

セールス・マーケティングの領域においては、さまざまなITツールが存在していますが、昨今ではAIの活用などが進んでおり、機能が日々進化しています。
また、新しいツールの開発も進んでおり、日進月歩と言える状況にあります。

営業企画の重要なミッションとして、こういったテクノロジーがどのような状況にあるのか、どんなツールが存在しているのかを、定期的に見ていく必要があります。情報は自分から取りに行く、という姿勢が必要です。
セールステックの情報は
・専門サイト
・展示会
などで得ると良いと思います。定期的にこういった情報源を自ら見に行きましょう。

DX化のステップ

営業組織のDX化を行うにあたっては「営業組織の何の課題を解決するのか」という点をまず押さえます。

一般的には
①業務効率の向上
②受注・売上を増加
の二点が成果指標としては見ていく項目と言えます。

メールの送受信、契約文書の締結といった顧客とのコミュニケーションをIT化するようなものもあれば、名刺管理や顧客データ管理などといった、事務作業を効率化するようなものもあります。

解決するべき課題・機能・価格などを検討しながら徐々に導入をしていきましょう。

あまりDXが進んでいない営業組織では、ツールの難易度が低いものからシンプルに導入を図っていくことがおすすめです。

メールやスケジュールのクラウドツールであるGoogle WorkspaceやOffice365などから進めていくのが良いでしょう。

DX化を進めていく際のコツ

ITツールを活用したDXには、いくつかコツがあります。
私が過去に経験した中からご紹介しましょう。


使う機能は限定的に

ITツールには様々な機能が存在しています。
ただ、そういった機能は「絶対に必要なもの」と「活用できれば便利なもの」に分けられます。導入時は、機能の中でどれが「絶対に必要なもの」なのかを見極める必要があります。
そのうえで、導入時はその「絶対に必要なもの」だけに絞って、運用をスタートするとよいでしょう。

 

研修とマニュアルは全員に

使い方の研修や操作マニュアルはきちんと準備しておく必要があります。
たまに「システムにマニュアルは必要ない」「研修などしても無駄だ」といった声もありますが、研修とマニュアルは必要不可欠です。
なぜかといえば、営業現場に「使用方法がわからない」という言い訳をさせないためです。全営業担当者に研修を実施し、その場で「質問があればしてください」と聞きましょう。そして必要な機能を明確にしたマニュアルも配れば、運用が始まったときに「使い方がわからないから利用できない」といったケースを防ぐことができます。


ヘルプデスクを明確に

使用方法がわからない場合、どこに聞けばいいのかを明確にしておきましょう。
電話番号・メールアドレスなどを明示し、営業担当者が困ったときにすぐに聞ける状態にしておくことが重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
ITツールを活用した営業DXは、営業企画の重要なミッションの一つです。
常に感度を高く持ち、テクノロジーの動向を定期的に見ていきましょう。

また、導入をするときは、一度に多くのツールをいれるのではなく、必要度が高く、難易度が低いツールから始めていくことがおすすめです。

本シリーズついて

営業組織が目標達成を果たすために、営業企画は様々な役割を果たしていくことになります。
本シリーズでは営業企画の具体的な役割を事例などを活用しながら解説していきます。

次回は早いもので最終回です。ぜひお読みいただけたら幸いです。

また、営業企画について課題を感じている方は、下記問い合わせフォームよりぜひご相談ください。

 

中野三四郎

 

執筆者  株式会社トライエッジ代表 中野三四郎

 

人材派遣会社に新卒入社後、一貫してマーケティング部門に従事。営業戦略の立案、SFA/CRMの企画開発・運用、顧客分析などを行う。その後、M&Aコンサルファームやメーカーの営業企画などを経て、株式会社トライエッジを設立。【著書】「営業は仕組みで9割決まる」


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