【第1回】現場の視点―営業企画の原点となる企画力―

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営業企画の業務とはなにか。
まず最初に思いつくのは、そのチーム名にもなっている「企画」ではないでしょうか。
営業企画チームにとっての「企画」というのは、チームを目標達成に導くための施策を立案することにほかなりません。この施策を「企画」することが営業企画の中心と言っても良いでしょう。

この「施策を立案する」という部分ですが、文字で表すと簡単ですが、チームを目標に導くような施策を見つけ出し、実行するのは容易ではありません。しかし、これを行わなければ、営業企画とは名ばかりのチームになってしまいます。

今回はその戦略を立案し、チームを勝利に導くための「企画」を「立案」するためのステップをご紹介しましょう。

(前回の記事 プロローグ:営業企画部 ―組織を成功に導く専門家集団とは―

この記事の目次

前提としての考え方

こういった戦略の企画立案で考えなければいけないのは「施策は100発100中にはならない」という点です。
どんな施策も、事前に入念な準備をして練りに練ったものだったとしても、必ず成功するとは限りません。必ず成功するどころか、失敗する可能性のほうがはるかに高いとも言えます。

私の過去の経験上、成功するイメージとしてはこんな感じです。

大成功:とても成果が出た 5%
成功:まぁまぁの成果が出た 25%
失敗:実行したが成果が出なかった 70%

歴戦のマーケターなら、もうちょっと良い成功率になるかもしれませんが、いずれにしても50%以上の成功にはならないと思います。

このように、BtoBにおける施策は、大抵が失敗する、もしくはやったけれど効果が出ない、という結果に終わります。

従って、施策は一定レベルで考えたら「まずは実行してみて効果があるかどうかを見極める」という流れが非常に重要です。失敗をすることのほうが多いわけですから、まずはどんどんやってみる。こういう方向で考えていきましょう。

課題を明確にしよう

何らかの施策を実行するときは、「何の課題をなぜ解決するのか」を明確にしましょう。


その際には

  • 現状の把握
  • 課題の明確化
  • 理由の明確化
  • ゴール設定

という点を押さえると効果的です。

たとえば、商談の受注率をもっと高めるための施策を行う場合を想定してみましょう。
その場合考えるべきは、

  • 現状の把握:受注率15%
  • 課題の明確化:本来の想定より低く、理想との乖離がある
  • 理由の明確化:全営業プロセスで受注率が最も悪く、改善することによって、営業パーソンの生産性を高めることができる
  • ゴール設定:受注率30%になったら理想

というような流れです。
このような課題を明確にしておかないと、いざ施策を実施したときに内容がブレることになります。

営業現場の視座

営業施策を実行するときに気をつけなければいけないのは、営業現場との乖離がないかどうか、という部分です。

たとえばこんな例があります。

私の過去のクライアントで派遣会社があったのですが、その派遣会社では登録に来るスタッフのうち30%程度に仕事紹介をして就業をしてもらっていました。

つまり数字上は70%程度には仕事を紹介できなかったのですが、これに目をつけたマーケティングチームが「この70%にも頑張って仕事紹介をする」という施策を立てたのです。

仕事を紹介できない70%には、紹介できないだけの理由があるのですが、その現状を無視してマーケティングチームは無理な指示を出したのです。

その残りの70%のスタッフにどうにか仕事を紹介する、ということに営業チームが注力した結果、これまでの30%のスタッフやクライアントへのフォローが疎かになり、結果として数字を大きく落とした、という状況になりました。

なぜこのようなことが起きるかというと、現場で起こっていることを施策を出す担当者が把握できていないからです。

施策はたくさん作って、どんどん実行していく

現場から乖離した施策は行ってはならない、と言いましたが、とはいえ失敗を恐れては施策は打てません。

ここで重要なのは現場の視点を持ちつつ、まずは小規模で試してみる、ということです。

たとえば、100人の営業担当者がいる場合、5人くらいの営業チームで新施策を1ヶ月〜2ヶ月程度やってみて、効果を検証する、というようなやり方が理想かと思います。

また、営業現場に負荷のかからない施策から優先的にやっていくことも効果的です。
たとえば、休眠顧客にダイレクトメールを送ってニーズを掘り起こす、といった施策は、営業チームにとっては追加で負荷がかからず、比較的実施しやすいパターンと言えるでしょう。

結果は必ず数字で回収する

施策を行った結果は数字で回収することが重要です。


ですので、どこまで行けば成功と言えるのか、という部分も数字で事前に示しておく必要があります。

「現状15%の受注率」を改善する場合は、新たな施策を打った結果が何%だったのかをしっかりと回収しましょう。

結果が20%だったのか、25%だったのか、あるいは10%だったのか、がわからないと施策の効果がわかりませんし、次の施策は打てません。

失敗はくよくよしない

結果としてほとんど改善しなかったとしても、それは「効果の無い施策が一つ見つかった」という認識をして、次の施策に取り掛かることが重要です。

営業企画の施策は、外れることが半分以上です。うまくいかなかったとしても落ち込む必要はありません。

3つの施策を打って1つ当たればOKくらいの気持ちでいるのが重要です。

まとめ

営業企画の企画力、という点について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


マーケティングの施策はとにかく課題を見つけ、その仮説を立て、そして実行して結果を回収する、というサイクルをいかにたくさん回せるか、というのが重要です。


勇気をもってどんどん企画を立て、施策を実行していきましょう。

本シリーズついて

営業組織が目標達成を果たすために、営業企画は様々な役割を果たしていくことになります。
本シリーズでは営業企画の具体的な役割を事例などを活用しながら解説していきます。

 

<営業組織の舞台裏(全5回)>

次回の記事もお読みいただけたら幸いです。

また、営業企画について課題を感じている方は、下記問い合わせフォームよりぜひご相談ください。

 

中野三四郎

 

執筆者  株式会社トライエッジ代表 中野三四郎

 

人材派遣会社に新卒入社後、一貫してマーケティング部門に従事。営業戦略の立案、SFA/CRMの企画開発・運用、顧客分析などを行う。その後、M&Aコンサルファームやメーカーの営業企画などを経て、株式会社トライエッジを設立。【著書】「営業は仕組みで9割決まる」


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