ビザ・在留資格の情報サイトを、記事326本ごと作り直しました
外国人の在留支援を行う一般社団法人様のビザ・在留資格の情報サイトを作り直した記録です。公開記事326本を1本残らず移して706ページを構築し、見出し1,583本すべてを問いの形に置き換えました。間違えられない法律情報を扱いながら、どこまでを機械に任せ、どこから先を人が判断したかを公開しています。
この事例について
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 外国人の在留支援を行う一般社団法人様が運営する、ビザ・在留資格の情報サイト |
| 進め方 | 既存サイトの部分改修ではなく、静的サイトジェネレータでの作り直し |
| 移行した記事 | 326本(旧サイトの公開記事すべて。旧URLは301リダイレクトで継続) |
| 構築したページ | 706ページ(2026年9月時点) |
| 対応言語 | 日本語・英語(記事326本ずつ)/ベトナム語・中国語・ポルトガル語・インドネシア語(トップページ公開済み、記事は進行中) |
| リダイレクト | 425本 |
| 公開 | 2026年9月 |
ビザ・在留資格の情報サイトを作り直しました。旧サイトの公開記事326本を1本残らず移行し、あわせてサイト名とドメインも、内容が一目で分かるものへ改めています。
法律の内容を扱うサイトです。数字を1つ取り違えるだけで、読む方の手続きが止まります。この事例は、間違えられない情報を扱いながら、326本という量をどう機械で処理したかの記録です。
なお、旧サイトも当社が以前に構築したものです。記事の内容は充実しており、これまで多くの方に読んでいただいてきました。
なぜ、部分改修ではなく作り直したのか
旧サイトの記事は、ほぼすべてが「相談事例」の形をしていました。読者からの質問があり、行政書士が答える。中身としては、AI検索にとって理想的な素材です。
問題は、その中身が構造として書かれていなかったことです。
旧サイトの記事326本には、見出しが2,725個ありました。そのうち問いの形になっていたものは0個です。実際に並んでいたのは、こういう見出しでした。
質問内容)
行政書士からの回答)
1. 【手段A】日本在住の「共同代表」または「代理人」を一時的に立てる(最推奨)
「行政書士からの回答)」という見出しは、どの記事にも同じ文字列で入っています。この見出しを引用しても、何の答えにもなりません。
URLも同じでした。325本が「区分+連番」の形式で、URLからは中身が分かりません。
さらに、166本の記事に、見出しだけあって中身が無い箇所が合計551個ありました。CMSの編集画面では気づけない状態です。
これを1ページずつ直すと、326本×平均8個の見出しを手作業で書き換えることになります。テンプレートから作れば1回で済みます。だから作り直しました。
何を変えたのか
文章量はほとんど変えていません。 旧サイトの記事は平均2,072字、作り直した記事は平均2,064字です。変えたのは、情報の持ち方だけです。
見出し1,583本を、すべて問いの形にしました。 そしてそのすべてに、直下で答えを1文で言い切る段落を置いています(1,583本中1,583本・100%)。この「問い+1文の答え」が、AIに引用されるときの単位になります。
(旧)行政書士からの回答)
(新)学歴と実務経験、どちらが必要ですか?
→ どちらか一方で構いません。大学卒業以上か、10年以上の実務経験です。
記事タイトルも問いの形に寄せました。 旧サイトはおよそ半分(45.6%)でしたが、作り直した後は85.6%(326本中279本)です。残りは「〜を知りたい」など、問いの形にすると不自然になるものです。
FAQを1,207問、記事の中に置きました。 1記事あたり平均3.7問です。本文に答えがある質問だけで作っています。 本文に無い質問を構造化データにだけ書くのは規約違反にあたるためです。
構造化データを全706ページに入れました。 JSON-LDのブロックが2,013個、その中の型の定義が11,192件入っています。運営団体・監修する行政書士の先生方・記事・FAQ・パンくずが相互に参照し合う、1つのグラフになっています。
URLを、内容が分かる形に付け替えました。 旧URLは区分名と連番の組み合わせで、中身が読み取れませんでした。これを、在留資格名と論点がそのまま読める形に改めています。
日本語の記事326本に、ふりがなを付けました。 読者の多くが日本語を学習中の外国人の方です。初期表示はOFFにし、ボタンで出せるようにしています。形態素解析で自動判定しているため、記事が増えても手間は増えません。
多言語を、同じ構造で用意しました。 日本語と英語は326本ずつ完成しています。ベトナム語・中国語・ポルトガル語・インドネシア語はトップページを公開済みで、記事は同じ仕組みで順次追加しています。言語が切り替わっても、見出しの数もFAQの数も変わりません(機械で数えて確かめています)。
出典:本番リポジトリの実測(2026年9月時点)。見出し数・FAQ数・構造化データの件数は、いずれもビルド時の自動集計によるものです。
いちばん難しかったのは、法律の内容に手を出さないことでした
移行の作業そのものは機械で処理できます。判断が要ったのは、書き換えてよい所と、絶対に触ってはいけない所の線引きでした。
原則は1つだけ決めました。条件・年数・金額・在留資格の名前は、原文どおりにしか書かない。 判断が要るものは自分たちで直さず、すべて記録に残して行政書士の先生方へ回す。
その結果、確認が必要な箇所は699件になりました。ただし、699件すべてを先生方にお聞きしたわけではありません。
- 公的資料で片づいたもの:出入国在留管理庁などの一次資料に当たって解決
- 編集方針で片づいたもの:表記の統一など、法律の中身に関わらないもの
- 実務のご判断が要るもの:ここだけを質問票にまとめてお送りしました
初回の184件では、177件を先生方に聞かずに片づけ、お伺いしたのは7件だけです。この進め方で、4回の質問票のやりとりで699件すべてを解決済みにしています。
このうち、機械で見つけて一律に直したものが特に多くありました。
| 原文 | 直したあと | 件数 |
|---|---|---|
| 入国管理局 | 地方出入国在留管理局 | 100本 |
| 入管庁 | 出入国在留管理庁 | 19本 |
| 当事務所 | 落とす(運営は一般社団法人であって事務所ではないため) | 15本 |
| 外国人登録/外国人登録原票 | 落とす(2012年に廃止された制度) | 10本 |
| 20歳以上(帰化の能力要件) | 18歳以上 | 1本 |
制度改正の取りこぼしも機械で見つけました。 経営管理ビザの資本金要件は令和6年9月1日の見直しで500万円から3,000万円に変わっています。ところが旧サイトには、改正前を前提にした記事と改正後を前提にした記事が19本混在していました。そのまま移していれば、誤った情報を新サイトに引き継ぐところでした。
なお、こちらの指摘が誤っていたものが2件ありました(届出義務違反は罰金であって過料ではない、特定技能1号の在留期間は3年もあり得る)。いずれも先生方にお伝えする前に、公的資料で気づけています。
今回は、1本も捨てていません
私たちは自社サイトを作り直したとき、流入の過半を占めていた記事をあえて移しませんでした。会社の輪郭がぼやけるからです。
今回は逆で、公開されていた326本を1本残らず移しました。 旧サイトの記事はすべて在留資格という1つのテーマの中にあり、捨てて輪郭がはっきりするものが無かったためです。移さない判断が正しいのではなく、テーマが揃っているかどうかで結論が変わります。
そのかわり、移す対象の数え方には注意が要りました。 旧CMSからのエクスポートには337本のファイルが入っていましたが、実際に公開されていたのは326本です。差の11本は未公開の下書きでした。エクスポートだけを見て「これが公開記事だ」と判断すると、下書きを新サイトで公開してしまいます。公開状態は本番のサイトマップで数えて確かめました。
移行にあわせて、旧URLから425本の301リダイレクトを用意しています。記事の転送376本は移行データから自動生成しているため、書き漏らしが起きません。
目視で確かめようとしないこと
この案件で起きた問題は、すべて「見れば分かるはず」のものでした。
- 記事の冒頭に置いた「答え」と、本文の「3つの条件」で、3つ目の中身が食い違っていた
- 英訳の中に「令和8年4月10日」が日本語のまま残っていた
- 中国語の字形が混ざっていないかを目で確かめようとして、日本語の「会」「点」を誤って弾き、日本語ページ8枚を落とした
どれも、読んで気づける量ではありません。 326本×6言語を目で見て確かめることはできないからです。
そこで検査を5本用意し、公開前に全部通す運用にしました。字数とFAQの数、使ってはいけない表記、記事の中の食い違い(条番号・日付・金額・在留資格名)、訳文と原文の食い違い、そしてサイト全体8項目(内部リンク・lang属性・hreflang・JSON-LD・title/description・h1・中韓字形・書きかけの痕跡)です。
2026年9月時点で、706ページすべてが全項目を通過しています。
もう1つ、この過程で分かったことがあります。英訳のとき、チェッカーが日付を拾うからという理由で、英文の中に和暦が日本語のまま残されていました。直すべきはチェッカーの方でした。 和暦と西暦を突き合わせられるようにしたら、訳文を自然な英語で書けるようになりました。検査は手段で、読者が読みやすいことが目的です。
計測は、過去とつなげたまま移しました
サイトを作り直すと、計測は切れます。今回はホスティングも旧CMSから静的ホスティングへ移したため、CMSの連携機能で配信されていたタグは移行と同時に全部止まります。ヘッダーのHTMLには書かれていないので、気づけません。
そこで、旧サイトの実配信タグを移行前にHTMLから採取しました。
そのうえで、GA4はプロパティを作り直さず、ストリームURLだけを新ドメインに変更しています。過去のデータとの連続性を保つためです。
計測IDは、サイト全体で1つのファイルにしか書かない設計にしました。IDをHTMLに直接書くと、変えるときに706ページを探し回ることになるからです。
この事例から言えること
記事の中身がよくても、構造になっていなければAIには引用されません。 旧サイトの記事は、行政書士が実際の相談に答えた、内容としては十分なものでした。足りなかったのは、「どの問いに、どこが答えているか」が機械に分かる形になっていなかったことだけです。
そして、量があるものほど機械に任せる範囲を広げないと終わりません。 326本×6言語を人が読んで確かめることはできません。人が判断したのは「触ってよいか、いけないか」の線引きだけで、あとは全部数えさせています。
同じ進め方を Webサイト構築(AEO対応) としてご提供しています。金額は料金ページに公開しています。
よくある質問
Q. なぜ既存サイトを直さず、作り直したのですか?
直す量が、作り直す量を超えていたためです。旧サイトの記事326本には見出しが2,725個ありましたが、問いの形になっていたものは0個でした。URLも325本が連番で、内容が分かりません。これを1ページずつ直すと326本ぶんの手作業になります。テンプレートから作り直せば1回で済み、記事はそのテンプレートに流し込むだけです。
Q. 記事326本は、どうやって移したのですか?
変換スクリプトで機械的に処理しました。旧CMSのエクスポートから本文・見出し・公開日・公開状態を取り出し、記事1本ずつをJSONにしたうえで、そこからHTML・一覧・サイトマップ・301リダイレクトを自動生成しています。旧URLからの転送は425本あり、そのうち記事の376本は移行データから自動で作られるため、書き漏らしが起きません。
Q. 法律の内容を、勝手に書き換えたりしませんでしたか?
していません。条件・年数・金額・在留資格の名前は原文どおりにしか書かない、というルールで進めました。判断が要る箇所は自分たちで直さず、699件すべてを記録に残し、監修いただいている行政書士の先生方の確認に回しています。ただし、そのうち大半は出入国在留管理庁などの公的資料と編集方針で片づきました。初回の184件では、先生方にお伺いしたのは7件だけです。
Q. 旧サイトの記事で、移さなかったものはありますか?
公開されていた326本は、1本も捨てずに移しました。旧サイトの記事がすべて在留資格という1つのテーマの中にあり、捨てて輪郭がはっきりするものが無かったためです。ただし、旧CMSのエクスポートに入っていた337本のうち11本は未公開の下書きだったため、これは移していません。エクスポートの本数と公開されている本数は一致しません。
Q. 公開後の検索順位やAIでの引用は、どうなりましたか?
2026年9月に公開したばかりのため、まだ測れる期間が経っていません。公開前の検索順位・表示回数を記録してあり、切替後の推移と突き合わせていきます。効果が出たかどうかは、数字が揃った時点でこのページに追記します。