AEOの効果測定:クリックが増えないのに成果は出ているのか
AI検索では回答を読んだ時点で完結するため、クリックが発生しません。当社の実測でも、AI由来のクエリは順位1〜6位でクリックは0でした。ツールを使わずSearch Consoleだけで確認する方法、クリックに代わる4つの指標、経営陣への説明の仕方までを実データとともに整理します。
AI検索では、ユーザーが回答を読んだ時点で用が済むため、クリックが発生しません。従来の指標では、成果が出ていても何も起きていないように見えます。
当社サイトの実測でも、AI検索由来と思われるクエリは平均順位5.9〜10.4位に対してクリックは0でした。
この記事では、実測データを示したうえで、何を指標に置くか、そしてツールを入れる前に無料でできる確認方法を整理します。
まず実測データを見る
当社サイト(triedge.co.jp)のSearch Consoleで、2026年5月16日〜8月13日に記録された数字です。
| クエリの形 | 語数 | 表示 | クリック | 平均順位 |
|---|---|---|---|---|
| 「〜を比較して。」型の自然文 | 9 | 25 | 0 | 10.4位 |
| 「〜はどれですか?」型の自然文 | 7 | 8 | 0 | 5.9位 |
| 「aeo対策」などの通常キーワード | 31 | 179 | 0 | 17.6位 |
自然文のクエリは、通常のキーワードより順位が良いにもかかわらず、表示回数が1桁台です。 「〜はどれですか?」型では、7語のうち3語が1位でした。
ここから2つのことが分かります。
1. 表示回数順のレポートでは、絶対に見つかりません
表示1〜8回のクエリは、数百件の一覧の最下部に並びます。順位が1位でも、上から見ていく限り気づけません。多くの企業が「AI検索の影響はまだ小さい」と判断するのは、この並び順が理由です。
2. クリックは成果の指標になりません
順位1位でもクリックは0です。ユーザーはAIの回答を読んで完結しています。クリック数を追う限り、この取り組みは常に「効果なし」と評価されます。
何を指標に置くか
クリックの代わりに、4段階で見ます。
| 段階 | 指標 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 1 | 言及率 | 登録した質問のうち、自社が回答に出た割合 |
| 2 | 引用元 | 自社のどのページが参照されたか |
| 3 | AI検索からの流入 | 回答を読んだあと、実際に来た人の数 |
| 4 | 指名検索・問い合わせ | 名前を覚えて戻ってきた人の数 |
主指標は1の言及率です。 「押さえたい質問が20個あり、そのうち何個で自社が出たか」を数えます。20個中3個なら15%、これが月ごとにどう動くかを見ます。
2の引用元は、次に何を直すかを決めるために使います。特定のページばかり引用されている場合、他のページの書き方に問題があることが分かります。
3は補助的な指標です。後述のとおり、この数字は実態より小さく出ます。
4は最終的な確認です。ここは時間がかかります。
ツールを使わずに確認する方法
有料ツールを契約する前に、無料でできることが2つあります。
方法1:Search Consoleを絞り込む
Search Consoleの検索パフォーマンス画面で、クエリに次の文字列を含むもので絞り込みます。
- 「。」(句点。通常の検索語には入りません)
- 「ですか」
- 「比較して」
- 「教えて」
- 「おすすめ」
句点を含むクエリは、ほぼすべてAIへの入力です。 検索窓に「。」を打つ人はまれだからです。
この絞り込みで出てきたクエリを見ると、自社がどんな質問で拾われているかが分かります。 当社の場合、この方法で「他社4〜5社と並べて比較を依頼する」形のクエリが見つかりました。
表示回数が少なくても、順位を確認してください。 1〜6位で拾えている質問は、すでに土俵に載っている証拠です。
方法2:実際にAIへ投げて記録する
見込み客が聞きそうな質問を15〜25個書き出し、ChatGPT・Perplexity・Google AI Overviewsに実際に入力します。記録するのは3つです。
- 自社が回答に登場したか
- 登場した場合、どのような文脈で語られたか
- 登場しなかった場合、代わりにどこが引用されたか
手作業ですが、最初の1回はこれをやる価値があります。 「どの質問で負けているか」と「誰に負けているか」が具体的に分かるためです。ツールは、この作業を自動化して継続するためのものです。
無料で1回分の診断だけを受ける方法もあります。ツールの選び方はAEOツール比較にまとめました。
AI検索からの流入を確認する
アクセス解析の参照元で確認できます。GA4であれば、次のドメインからの流入を絞り込みます。
- chatgpt.com
- perplexity.ai
- copilot.microsoft.com
- gemini.google.com
ただし、この数字は言及されている量に比べて必ず小さく出ます。 回答内で完結するケースが多いためです。
流入がほぼゼロでも、「言及されていない」とは限りません。 逆に、流入があった場合は質の高い訪問である可能性が高くなります。AIが推奨したうえで、それでも詳しく知りたいと判断して来た人だからです。
経営陣にどう説明するか
実務で最も困るのがここです。「順位は良いがクリックは0」という報告は、そのままでは通りません。
説明の順番を変えると伝わります。
- AI検索では、ユーザーが回答を読んだ時点で用が済むため、クリックは発生しない(前提の共有)
- 押さえたい質問◯個のうち、現在◯個で自社が言及されている(現状)
- 言及されていない◯個では、代わりに競合A社・B社が引用されている(課題)
- その質問に答える記事を用意すれば、比較の候補に入る(打ち手)
クリック数の代わりに「言及率」という数字を最初に提示することが要点です。 数字がないまま「AI検索は重要です」と説明しても判断材料になりません。
BtoB特有の事情についてはBtoB企業のAEO対策で扱っています。
測定を始める順番
- 見込み客がAIに聞きそうな質問を15〜25個書き出す
- Search Consoleを「。」で絞り込み、すでに拾えている質問を確認する
- 書き出した質問を実際にAIへ投げ、言及率を出す
- 言及されていない質問について、代わりに引用されているサイトを記録する
- 月に1回、同じ作業を繰り返して推移を見る
1を飛ばすと、以降がすべて成立しません。 測る対象が決まっていないためです。5の手間が負担になった段階で、はじめてツールの検討に進んでください。
まとめ
AI検索ではクリックが発生しないため、従来の指標では成果が見えません。当社の実測でも、順位1〜6位のクエリでクリックは0でした。
見るべきは言及率です。押さえたい質問のうち何個で自社が出たかを数え、その推移を追います。引用元と流入は補助指標、指名検索と問い合わせは最終確認に使います。
そして、始めるのにツールは要りません。Search Consoleを「。」で絞り込み、想定質問を実際にAIへ投げるところまでは無料でできます。表示回数順のレポートでは埋もれている数字が、それだけで見えるようになります。
トライエッジではAI検索での可視化と改善を支援しています。詳しくはAEO(AI検索最適化)支援をご覧ください。現状の把握は無料AEO診断から始められます。ご相談はお問い合わせより承ります。
FAQよくあるご質問
Q. AEOの効果はどうやって測ればよいですか?
4段階で見ます。1つ目は言及率(登録した質問のうち、自社が回答に出た割合)。2つ目は引用元(自社サイトのどのページが参照されたか)。3つ目はAI検索からの流入(ChatGPTやPerplexityを参照元とするアクセス)。4つ目は指名検索と問い合わせです。クリック数だけを見ると、成果が出ていても変化が見えません。
Q. AI検索からの流入はどこで確認できますか?
アクセス解析の参照元で確認できます。GA4であれば、chatgpt.com、perplexity.ai、copilot.microsoft.com、gemini.google.com といったドメインからの流入を絞り込みます。ただしAI検索では回答内で完結することが多いため、この数字は言及されている量に比べて小さく出ます。流入がゼロに近くても、言及されていないとは限りません。
Q. ツールを使わずに現状を確認する方法はありますか?
あります。Search Consoleのクエリ一覧を「。」や「ですか」「比較して」といった文字列で絞り込むと、AI検索由来と思われる自然文のクエリが抽出できます。表示回数順に並べたレポートでは最下部に埋もれているため、この絞り込みをしないと気づけません。もう一つは、想定する質問を実際にChatGPTなどへ投げて記録する方法です。
Q. なぜクリックが増えないのに成果と言えるのですか?
ユーザーが回答を読んだ時点で、自社名と評価が相手の記憶に残るためです。特にBtoBでは、AIで候補を絞ってから比較検討に入るため、候補リストに載るかどうかが後の商談機会を左右します。クリックは相手がサイトに来た記録であって、認知されたかどうかの記録ではありません。
Q. 測定を始めるのに何から手を付ければよいですか?
見込み客がAIに聞きそうな質問を書き出すことです。この一覧がないと、何を測ればよいかが決まりません。書き出したうえで実際にAIへ投げ、自社が出るか、出ないなら代わりにどこが引用されているかを記録します。ここまでは無料でできます。継続的に自動で追う必要が出た段階で、ツールの検討に進んでください。
出典・執筆:株式会社トライエッジ/中野 三四郎(代表取締役CEO)。 2026年8月14日公開。