展示会のアフターフォロー:名刺の振り分けと、誰がいつ動くかの設計
展示会で交換した名刺は、すぐ商談化するA、今後商談化するB、可能性が低いCの3つに振り分けてからフォローすると商談化率が上がります。ニーズの濃淡と自社ターゲットの企業要素という2軸、セグメントごとの担当と手段、ニーズの高まりを見分ける4つの指標、出展前に決めておく項目まで整理します。
展示会で交換した名刺は、振り分けてからフォローすると商談化率が上がります。 来場者の多くは情報収集が目的で、決裁権を持たない担当者が来ていることも多いためです。
振り分けは3つで足ります。すぐ商談化する可能性が高いA、今後商談化する可能性が高いB、可能性が低いCです。 細かく分けるほど運用が止まります。
そして決めるのは分類だけではありません。 各セグメントを誰が担当し、どの手段でフォローするかまで決めて、はじめて仕組みになります。
なぜ展示会の名刺はそのままでは商談にならないのか
展示会は多くの来場者と接することができる貴重な機会ですが、必ずしもすぐに商談化するケースばかりではありません。理由は大きく2つです。
- 来場者のほとんどは情報収集を主な目的としている
- 決裁権のない担当者が来場するケースが多く、その後の社内検討で情報が共有されてはじめて商談化の可能性が浮上する
ただし、これを理由に展示会への出展が効果的でないと断言するのは早計です。 今すぐ商談化しない来場者も、**その後のアプローチ次第で将来的に商談につながり契約に至る可能性がある、大切な「見込み客」**だからです。
展示会以降はメールなどを活用して有益な情報を提供し、接触を継続できるアフターフォロー体制を構築することが、商談化につながります。
名刺をどう振り分けるか
来場した見込み客のほとんどはすぐに商談化しませんが、中には**すでにニーズが顕在化した「今すぐ客」も少数ながら存在します。そして、すぐに商談化しない見込み客の中にも「ニーズの濃淡」**があります。
一括りにして接触を図るのではなく、基準を設けてセグメンテーションすることで、アフターフォローを仕組み化しやすくなります。
振り分けの軸は2つです。
- ニーズの濃淡(導入時期や具体的な困りごとに言及があったか)
- 自社がターゲットとする企業要素(業種、企業規模など)
この2軸を掛け合わせて、3つに分けます。
| セグメント | 定義 |
|---|---|
| A | すぐ商談化する可能性が高い見込み客 |
| B | 今後、商談化する可能性が高い見込み客 |
| C | 今後、商談化する可能性が低い見込み客 |
セグメンテーションの目的は、どのようなアフターフォローを実施するかを明確にすることにあります。 そのため、あまり細かく分ける必要はありません。分類を増やすほど、施策を用意する手間が増えて運用が止まります。
そして、基準とセグメントごとのフォロー施策は、出展前に決めておいてください。 会期後に決め始めると、その検討期間がそのままフォローの遅れになります。
セグメントごとに誰が、何をするか
分類と同時に決めるのが、担当と手段です。
| セグメント | 担当 | 手段 | 頻度 |
|---|---|---|---|
| A | 営業またはインサイドセールス | お礼メール+電話でのアポイント打診 | 個別対応 |
| B | マーケティング(一括) | ステップメール、メルマガ | 中長期で継続 |
| C | マーケティング(一括) | 通常のメルマガに合流 | 定期配信のみ |
Aセグメントへのアプローチ
すぐに商談化する可能性が高い見込み客には、直ちにフォローを行います。
お礼メールはもちろん必要ですが、それに加えて電話でアポイントを獲得するのがよいでしょう。Aセグメントの見込み客は検討レベルが高く、競合他社の情報も積極的に収集していることが考えられます。お礼メールと併せて有益な情報提供の打診を電話で行うなど、手厚いフォローを行うことで、機会損失を回避します。
架電側の体制の作り方はインサイドセールスにまとめています。
B・Cセグメントへのアプローチ
展示会で獲得した名刺の中で圧倒的に多いのが、ここに該当する見込み客です。
今すぐ商談化に至る可能性は低いものの、商談化に至るか否かは、その後のフォローアップの影響が占める割合が非常に大きい部分です。一方で対象となる人数が多いため、全員へのフォローを手動で行ったり、担当者ごとに個別対応をしていては効率的とはいえません。
そこで有効なのが、メールマーケティングを活用した一括でのフォローアップ施策です。有益な情報を提供するメルマガやステップメールで中長期的なフォローアップを行い、継続的なコミュニケーションを通じて信頼関係を構築し、興味を惹き付けていきます。
このとき、売り込みの頻度には注意が必要です。 早く商談に結びつけたいという営業担当者の気持ちは理解できますが、信頼関係を築く前に過剰な売り込みを行うと、見込み客の離脱(メルマガの配信停止希望など)を引き起こしかねません。
まずは見込み客が求めている情報を想像し、中長期的な視点で配信します。その中でニーズの高まりを見逃さずキャッチし、適切なタイミングでの商談機会の創出を心がけてください。
1通目をいつ出すか、件名と本文に何を書くかといった具体的な文面は、展示会後のステップメールに用意しています。
ニーズの高まりをどう見分けるか
見込み客へのメルマガ、送りっぱなしになっていないでしょうか。
今すぐでない見込み客を商談化まで繋げるには、配信後にメールの開封と、本文中にあるURLのクリックの有無をチェックすることが非常に重要です。これらがニーズの高まりを判断するための重要な指標になります。
また、自社のウェブサイトで閲覧されたページや、ダウンロードされた資料も同様にニーズを判断する際の指標となります。見るのは次の4つです。
- メールの開封
- 本文中のURLのクリック
- 自社サイトで閲覧されたページ
- ダウンロードされた資料
この反応を点数として積み上げ、一定以上になった相手を営業へ渡すという設計にすると、判断が担当者の感覚に依存しなくなります。配点としきい値の決め方はスコアリングで扱っています。
出展前に何を用意しておくか
ニーズを高めるためのコンテンツと、ニーズが高まったと判断できるコンテンツを、展示会の出展前に用意しておくことをおすすめします。
後者がないと、反応を見ようにも見る対象がありません。たとえば導入事例や料金の説明ページは、閲覧されたこと自体が検討段階の進行を示します。
実際に仕組化をしているBtoB製造業でのお客様事例を公開しておりますので、以下の記事を参考にしてください。

【事例付き】展示会で獲得したリードの管理方法
2023-03-28
仕組み化とは具体的に何をすることか
展示会に出展しての見込み客獲得には、多くのリソースが投入されます。商談機会を逃さないためにも、継続的なフォローアップを仕組み化しておくことで、展示会施策の費用対効果の向上にも繋がります。
出展前に決めておくのは次の4つです。
- 振り分けの基準(ニーズの濃淡と企業要素を、どの条件でA・B・Cに割り当てるか)
- 名刺のデータ化と取り込みの担当者と期限
- セグメント別のフォロー施策の中身
- どの展示会で獲得したかを記録する項目
4つ目が最も見落とされます。 この記録がないと、数ヶ月後に生まれた商談を展示会と結びつけられず、出展そのものの費用対効果が計算できません。指標の置き方と計算方法は展示会のKPI設定にまとめました。
まとめ
展示会のアフターフォローは、名刺を振り分けるところから始まります。ニーズの濃淡と自社ターゲットの企業要素の2軸で、A・B・Cの3つに分けてください。
分類と同時に、誰が担当し、どの手段でフォローするかを決めます。Aは営業が個別に、B・Cはマーケティングが一括でメール配信を行うのが基本形です。
そして、配信後の開封・クリック・サイト閲覧・資料ダウンロードでニーズの高まりを検知し、タイミングを逃さず商談機会を作ります。この4点を出展前に設計しておくことが、仕組み化の中身です。
株式会社トライエッジでは、HubSpotやZoho CRMを用いたSFA/CRM/MAの導入・運用支援を行っています。システム導入が目標となる通常のサービスとは異なり、導入後の運用からお客様の成果につながるまでを支援する伴走型サポートです。詳しくはCRM構築・運用をご覧ください。ご興味のある担当者様は、お気軽にお問い合わせください。
FAQよくあるご質問
Q. 展示会で交換した名刺はいくつに分ければよいですか?
3つで足ります。すぐ商談化する可能性が高いA、今後商談化する可能性が高いB、可能性が低いCです。振り分けの軸は2つで、ニーズの濃淡に加えて、業種や企業規模といった自社がターゲットとする企業要素も加味します。目的はどのフォローを実施するかを決めることなので、これ以上細かく分ける必要はありません。
Q. 展示会で名刺を交換してもすぐ商談にならないのはなぜですか?
理由は2つあります。1つ目は、来場者のほとんどが情報収集を主な目的としていること。2つ目は、決裁権のない担当者が来場するケースが多く、その後の社内検討で情報が共有されてはじめて商談化の可能性が浮上することです。すぐ商談化しないこと自体は前提であり、出展が効果的でないという判断にはなりません。
Q. すぐ商談化しない見込み客はどうフォローすればよいですか?
メールマーケティングで一括してフォローします。展示会で獲得した名刺の大半がここに該当し、人数が多いため全員へ手動で対応するのは現実的ではありません。注意点は売り込みの頻度で、信頼関係を築く前に過剰な売り込みを行うと、配信停止などの離脱を招きます。まず相手が求めている情報を中長期で配信してください。
Q. 見込み客のニーズが高まったことはどう判断しますか?
指標は4つです。メールの開封、本文中のURLのクリック、自社サイトで閲覧されたページ、ダウンロードされた資料。メルマガを送りっぱなしにせず、配信後にこの反応を確認してください。判断に使うには、ニーズを高めるためのコンテンツと、ニーズが高まったと判断できるコンテンツを、展示会の出展前に用意しておく必要があります。
Q. 展示会のアフターフォローを仕組み化するには何が必要ですか?
出展前に決めることが4つあります。1つ目は振り分けの基準、2つ目は名刺のデータ化と取り込みの担当者と期限、3つ目はセグメント別のフォロー施策の中身、4つ目はどの展示会で獲得したかを記録する項目です。4つ目がないと、数ヶ月後に生まれた商談を展示会と結びつけられず、費用対効果が計算できません。
出典・執筆:株式会社トライエッジ/中野 三四郎(代表取締役CEO)。 2024年4月8日公開/2026年8月14日更新。