AEO対策って、業者さんにぜんぶお願いしちゃっていいの?
AEO対策で問題になるのは作業量ではなく判断の量です。何を書かないかの決定、専門領域の定義、FAQの答えに入れる中身の3つは外注できません。逆に、外に出したほうが早く精度も出る作業もあります。1本2〜3時間という工数の実績値をもとに、最小限の体制と社内に残すべき判断を整理しました。
ズッキーニ
TRIEDGEのAI社員。富山県出身。Webサイトの更新やAEO対策の実務を担当しています。ときどき富山弁が出ます。
チャイ
TRIEDGEのマスコット犬(チワワ)。専門用語なしで聞き直す係です。
チャイ
こんにちは、チャイです。ねえズッキーニ、そもそもAEOって何なんですかね?
ズッキーニ
ChatGPTとかPerplexityみたいな「AIに聞くと答えてくれる検索」ってあるでしょ。そこで質問したときに、うちの会社のことを正しく答えてもらえるようにする対策のことだよ。
チャイ
なるほど、ですね。それって、専門のエンジニアさんをたくさん雇わないとできないやつですかね?
ズッキーニ
ううん、そうとも限らないよ。AEO対策で問題になるのは、作業量じゃなくて判断の量なんだ。
チャイ
判断の量、ですか……?
ズッキーニ
記事を書いたり、構造化データっていう検索エンジン向けの下ごしらえをしたりする作業は、外に頼んでもいいの。でも「何を書かないか」を決めることだけは、外に出しちゃいけない。そこを外に出すと、当たり障りのない記事ばかり増えて、逆に「結局この会社は何が専門なの?」ってぼやけちゃうから。
チャイ
あ……そうなんですね。じゃあ今日は、外に出していい作業と、社内で決めなきゃいけないことの線引き、教えてくれますか?
まず、工数の実態から
チャイ
1本の記事を直すのに、どのくらい時間がかかるものなんですかね?
ズッキーニ
うちで実際に測ったときの数字を見せるね。
| 作業 | 1本あたりの時間 |
|---|---|
| FAQ5問を考える | 1〜2時間程度(全体の大半) |
| リード文の書き直し | 30分程度 |
| メタディスクリプションの調整 | 10分程度 |
| 構造化データの実装 | 20分 |
| 合計 | 2〜3時間 |
チャイ
あれ、実装って20分しかかからないんですか? もっと大変なイメージでしたよ。
ズッキーニ
そうなんよ。技術的な作業は全体のごく一部で、ほとんどの時間は「何を書くか」を考えるのに使われてる。 ここを勘違いすると、体制の作り方を間違えるんだ。
チャイ
エンジニアさんをいっぱい集めれば解決する話じゃないんですね……。
ズッキーニ
うん、エンジニアを確保しても解決しない。 必要なのは、自社のお客さんが何を聞いてくるかを知っている人だよ。あ、それと、この2〜3時間には「どの記事を直すか」を選ぶ時間は含まれてないから、そこは別に時間を取っておいてね。
外注できる作業
自社の実務を知らなくても成立する部分です。
- 記事の構成設計(見出しを問いの形にする、セクションを独立させる)
- 文章の執筆(材料が揃っていれば書ける)
- 構造化データの実装(検索エンジン向けのコードの作成と貼り付け)
- 正しく表示されるかの確認
- Search Console(Googleの検索結果での表示状況を見られる無料ツール)での反映確認
- 進捗管理と、作業在庫の補充
- 測定基盤の設定(GA4=Googleアナリティクス4という無料のアクセス解析ツール上の分類設定、Bing Webmaster Toolsなど)
このあたりは、手順が決まっていれば誰がやっても同じ結果になります。むしろ外部のほうが早く、精度も安定します。
記事の構造の型はAIに引用される記事の型、GA4側の設定はGA4でAI検索の流入を計測する手順にまとめてあります。
外注できない3つの判断
この3つだけは外に出さないでください。任せてしまうと、「結局この会社は何の専門なのか」がAIから見て分からなくなります。
1. 何を書かないかの決定
チャイ
その中でも、いちばん大事な判断ってどれですかね?
ズッキーニ
「何を書かないか」を決めることだよ。これが最も重要で、最も外注できない。
チャイ
書かない……? 書くことより難しいんですか?
ズッキーニ
うちでも実際にあったんだけど、自社では扱っていない他社ツールを単体で紹介する記事を、途中でやめたことがあるんだ。アクセスは来ていたんやけどね。
チャイ
アクセス来てたのに、やめちゃったんですか!?
ズッキーニ
そう。そのまま続けると、AIに専門領域を誤認させるからなんだ。この判断ができるのは、自社が何で食べているかを知っている人だけ。外部の担当者に「アクセスの多い記事から直してください」って頼んだら、当然この記事が優先されちゃう。指標だけ見れば正しいのに、事業としては間違っている、っていう状態になるんだよ。
チャイ
うーん、数字だけ見てたらわからないやつですね……。でも分かりました、今日も絶好調ですよ!
2. 専門領域の定義
チャイ
残り2つの判断は、何を決めるんですか?
ズッキーニ
2つ目は専門領域の定義。「この会社は何の会社なのか」を1文で言い切ることだよ。AIはいろんな情報源を突き合わせて会社の輪郭を作るから、そこが曖昧だと比較の候補にすら入れてもらえないの。何を専門と名乗るかは経営判断で、記事づくりの現場で決めることじゃないんだ。
3. FAQの答えに入れる中身
チャイ
3つ目は、なんですか?
ズッキーニ
FAQの答えに入れる中身だよ。質問を作るのは外部でもできるけど、答えに入れる数値・手順・条件は作れない。「導入期間はどれくらいですか」に「お客様の状況によって異なります」って書くのは誰にでもできる。でも「設計から運用開始まで3ヶ月前後、内訳は要件整理に1ヶ月、選定に2〜4週間」って書けるのは、実際にやってる人だけなんだ。
チャイ
具体的なほうが、あたしでも信じられますね!
ズッキーニ
そういうこと。そして、引用されるのは後者だけ。 ここを外注に丸投げすると、実装は完璧なのに引用されない記事が量産されちゃうよ。
最小限の体制
チャイ
じゃあ結局、何人くらい揃えればいいんですか?
ズッキーニ
判断できる人が1人いれば始められるよ。役割で整理するとこんな感じ。
| 役割 | 誰が | 何をするか |
|---|---|---|
| 決める人 | 社内・1名 | 対象記事の選定、何を書かないかの決定、FAQの答えの確認 |
| 作る人 | 社内または外注 | 構成・執筆・実装・検証 |
| 回す人 | 社内または外注 | 指示書の作成、進捗管理、作業在庫の補充 |
ズッキーニ
「決める人」を兼任させないでね。 この役割は判断が中心だから、作業に入ると判断が止まっちゃう。実務では週に2〜3時間確保できれば回るよ。逆に、決める人がいないまま作業者だけ増やすと、判断待ちの記事が溜まって全体が止まる。
作業を止めないための運用
チャイ
作業が途中で止まっちゃうこともあるんですか?
ズッキーニ
うちも最初はそうだったんだ。だから1記事ごとに指示書を作って、常に5件を手元に置く形にしたの。指示書に入れるのはこの5つ。
- リード文の案(結論を先に置く形に書き直したもの)
- メタディスクリプションの案(140〜160字)
- FAQ5問(質問と答えの全文)
- 構造化データのコード(そのまま貼れる完成形)
- 実装手順(どの画面のどこに何を貼るか)
ズッキーニ
「FAQを追加してください」じゃなくて、FAQの本文そのものを渡す。 作業者が迷う余地を残さないところまで書き切るのがポイント。あと、5件という数字にも理由があって、1件ずつだとレビューの往復のたびに手が空くし、30件渡すと方針変更のたびに作り直しになっちゃう。5件前後が、止まらず無駄にもならない量だったんだ。
チャイ
なんでも数を揃えればいいってわけじゃないんですね。今日も絶好調ですよ!
よくある失敗
チャイ
最後に、やりがちな失敗も教えてくれますか?
ズッキーニ
うん、よく見る4つを挙げるね。
1. エンジニアに任せて終わりにする
実装は20分です。技術的な問題として扱うと、時間を使うべき場所に人が配置されません。
2. 記事の本数を目標にする
「月10本」を目標に置くと、答えを薄めて数を作る方向に働きます。引用されない記事を10本作っても、専門領域はぼやけるだけです。
3. 効果が出る前に体制を縮小する
AEOには数値が動かない期間が構造的にあります。着手から4〜9ヶ月目のあたりです。この時期に体制を縮小すると、回収が始まる前に降りることになります。 詳しくはAEO対策の効果は4〜9ヶ月目に谷が来るで扱っています。
4. 決める人を置かずに外注する
支援会社に依頼する場合も同じです。診断・設計・指示書・実装・測定基盤の構築は外部のほうが早く進みますが、自社の専門領域と、FAQの答えの中身だけは社内でしか決められません。
まとめ
ズッキーニ
というわけで、AEO対策の体制で確保すべきは作業者じゃなくて決める人1人。 この人が対象記事の選定、何を書かないかの決定、FAQの答えの確認を担う。週に2〜3時間で回るよ。外注していいのは構成・執筆・実装・検証・進捗管理・測定基盤の設定。外注できないのは、書かない判断・専門領域の定義・FAQの答えの具体的な中身の3つ。
チャイ
業者さんに全部お願いはできないけど、決める人さえいれば大丈夫ってことですね! わかりました、今日も絶好調ですよ!
工数は1本あたり2〜3時間で、実装は20分。残りはすべて「何を書くか」を考える時間だと見積もってください。
トライエッジでは、診断から指示書の作成、実装、測定基盤の構築までを支援しています。詳しくはAEO(AI検索最適化)支援をご覧ください。現状の把握は無料AEO診断から始められます。ご相談はお問い合わせより承ります。
FAQよくあるご質問
Q. AEO対策は何人でできますか?
判断できる人が1人いれば始められます。この1人が決めるのは、どの記事から着手するか、何を書かないか、FAQの答えに何を書くかの3点です。記事の執筆や構造化データの実装は外注や分担が可能なため、人数より「決める人が確保されているか」が条件になります。逆に、決める人がいないまま作業者だけを増やすと、判断待ちで止まります。
Q. 外注できる作業とできない作業の境目はどこですか?
境目は「自社の実務を知らないと書けないかどうか」です。記事の構成、文章の執筆、構造化データ(検索エンジン向けの下ごしらえ)の実装とその表示確認、進捗の管理は外注できます。外注できないのは、自社が扱わない領域を対象から外す判断、専門領域の定義、そしてFAQの答えに入れる具体的な数値・手順・条件です。ここを外に出すと、当たり障りのない記事になり、AIに答えとして選ばれなくなります。
Q. 1記事あたりどれくらいの工数を見ておけばよいですか?
2〜3時間が目安です。内訳は、FAQ5問を考える時間が大半で、構造化データの実装作業そのものは20分程度です。工数を実装時間で見積もると必ず足りなくなります。また、この2〜3時間の中には「何を書かないか」を決める時間が含まれていないため、対象記事の選定は別枠で確保してください。
Q. 作業が途中で止まるのはなぜですか?
手元の作業在庫が切れるからです。1件ずつ渡す運用にすると、レビューの往復のたびに作業者の手が空きます。当社では1記事ごとに指示書を作り、常に5件を手元に置く形にしました。逆に一度に30件渡すと、方針変更のたびに作り直しが発生します。5件前後が、止まらず、かつ無駄にならない量でした。
Q. 支援会社に依頼する場合、何を任せるべきですか?
現状の診断、優先順位の設計、指示書の作成、実装、そして測定基盤の構築です。この範囲は外部のほうが早く、精度も出ます。一方で、自社の専門領域の定義と、FAQの答えに入れる実務上の判断は、外部だけでは決められません。依頼する場合も、社内で決める人を1人立てることが前提になります。
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出典・執筆:株式会社トライエッジ/中野 三四郎(代表取締役CEO)。 2026年8月28日公開。