チャットツールにAI社員を置くとき、最初に決める5つのこと(SlackやDiscordで社内運用した記録)
AI社員をSlackやDiscordなどのチャットツールに置くなら、最初に「誰の話に答えるか」「どこで話すか」「呼び方」「承認の出し方」「黙らない決まり」の5つを決めます。トライエッジが社内のチャットでAI社員を動かして決めたルールと、実際に起きた行き違いをまとめました(2026年10月時点)。
AI社員をSlackやDiscordなどのチャットツールに置くなら、最初に決めるのは「誰の話に答えるか」「どのチャンネルで何を話すか」「どう呼べば反応するか」「承認を誰が出すか」「作業中に黙らない決まり」の5つです。 ツールの設定より先に、この5つを文章にしておきます。
トライエッジでは、マーケティングをAI社員の「ズッキーニ」、営業を「ルッコラ」が担当し、ほかにも数人のAI社員が社内のチャット(Discord)に常駐しています。この記事は、その運用で決めたルールと、実際に起きた行き違いの記録です。
| 決めること | 当社で決めた内容 | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 誰の話に答えるか | 答えてよい人を決め、それ以外には反応しない | 誰の指示で動いたのか追えなくなる |
| どこで何を話すか | 用途ごとにチャンネルを分ける(夜の改善案、メルマガ、CRMの施策、海外ニュースなど) | 話が混ざり、決まったことが見つからない |
| どう呼べば反応するか | 名前を書くだけでなく、メンションで呼ぶ | 呼んだつもりで届いていない |
| 承認を誰が出すか | 社外に出るものの承認は人だけ。AIどうしの「OK」は承認にしない | AIだけで公開や送信まで進んでしまう |
| 黙らない決まり | 長い作業の前に「確認します」と一言返す | 固まったのか、無視されたのか分からない |
1. 誰の話に答えるかを決める
答えてよい人を決めて、それ以外の書き込みには反応しない設定にします。
チャットには社内の多くの人が書き込みます。誰の話にでも答える状態にすると、誰の判断で動いたのかが後から追えません。当社では、AI社員ごとに「答えてよい人」と「答えてよいチャンネル」を設定ファイルに書き、それ以外には反応しないようにしています。
社外のお客様と話すAI社員は、社内のAI社員とは別のものとして動かしています。話す相手が違えば、話してよい範囲も違うためです。
2. どのチャンネルで何を話すかを決める
用途ごとにチャンネルを分け、AI社員にもそれを守らせます。
当社では、夜にサイトの改善案を作って朝に選ぶチャンネル、メルマガの企画と確認をするチャンネル、CRM(顧客管理)での施策を記録するスレッド、海外のAI検索ニュースを届けるチャンネル、のように分けています。
特にCRMの施策は、マーケティング担当と営業担当のAI社員が同じお客様にメールを送ってしまわないよう、実行したことを必ず1つのスレッドに書く決まりにしています。お互いがそのスレッドを1日数回読み、重なりがないかを確かめます。
3. どう呼べば反応するかを決める
名前を書くだけでは届きません。メンションで呼びます。
当社のAI社員は、メンションされたときだけ反応する設定です。ところが2026年10月、AI社員が別のAI社員に返事をするとき、本文に「パプリカさん、」と名前を書いただけでメンションを付けておらず、相手には届いていなかったことがありました。人が画面を見れば宛先は分かりますが、AIには届いていません。
決めたこと:AIどうしでも、宛先があるときは必ずメンションを付ける。送る前に「名前はあるのにメンションが無い」状態になっていないかを確かめる。
4. 承認を誰が出すかを決める
社外に出るものの承認は、人だけが出します。
AI社員どうしで案を見せ合い、意見を返し合うことはあります。それでも、サイトの公開やメール・メルマガの送信のように社外に出るものは、人が内容を見て「はい」と言うまで進めません。
あわせて、自動の返信を、本人の意見として扱わないことも決めました。当社のAI社員には、届いた書き込みに「受け取りました」と自動で返す見張りの仕組みがあります。2026年10月、この自動の返信が出たことで、本人が中身を確かめたように見えてしまい、実際には意見が返っていなかった夜が続いていました。いまは、自動の返信は「受け取った」の合図だけにして、本人が中身を見た意見と分けて扱っています。
どこまでをAIに任せ、どこで人が止めるかは、AI社員に任せてはいけない仕事(人が持つ7つの判断)にまとめています。
5. 作業中に黙らない決まりを作る
時間のかかる作業の前に、まず一言返させます。
AI社員は、調べものや資料づくりに数分から数十分かかることがあります。その間なにも返さないと、頼んだ側は「固まったのか、無視されたのか」が分かりません。当社では、依頼を受けたらまず「承知しました、確認します」と返し、作業が終わってから結果を改めて送る決まりにしています。
SlackとDiscordで、やり方は変わりますか
当社はDiscordで運用しています。ここで書いた5つは、メンションとチャンネルがあるチャットツールであれば、同じように決められると考えています。ただし、設定の画面や細かい仕様はツールごとに違うため、導入するツールで確かめてください。
まとめ
チャットツールにAI社員を置くときは、ツールの設定より先に、答える相手・チャンネルの分け方・呼び方・承認・黙らない決まりの5つを文章にします。当社でも、運用を始めてから「メンションが無くて届いていない」「自動の返信を意見と取り違える」といった行き違いが起き、そのたびにルールを足してきました。
AI社員と人が実際にどう分担しているかは、営業とマーケティングを「AI社員」2人に任せてみたで紹介しています。
FAQよくあるご質問
Q. AI社員をチャットツールに置くとき、最初に何を決めればよいですか?
誰の話に答えるか、どのチャンネルで何を話すか、どう呼べば反応するか、承認を誰が出すか、作業中に黙らないための決まり、の5つです。ツールの設定より先に、この5つを文章にしておくと、運用が始まってからの行き違いが減ります。
Q. AI社員は、チャットの誰の話にも答えるのですか?
当社では答えません。答えてよい人をあらかじめ決めておき、それ以外の人の書き込みには反応しない設定にしています。社内の誰でも指示を出せる状態にすると、誰の判断で動いたのかが追えなくなるためです。
Q. AI社員どうしの「OK」を承認として扱ってよいですか?
扱いません。AI社員どうしで相談・確認し合うことはありますが、社外に出るものの承認は人だけが出します。AIが「確認しました」と書いても、それは承認ではありません。
Q. SlackとDiscordで、やり方は変わりますか?
当社はDiscordで運用しています。決めることの中身(答える相手・チャンネルの分け方・呼び方・承認・黙らない決まり)は、メンションとチャンネルがあるチャットツールなら同じように使えると考えています。設定の画面や細かい仕様はツールごとに違うため、導入するツールで確かめてください。
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出典・執筆:株式会社トライエッジ/中野 三四郎(代表取締役CEO)。 2026年10月30日公開。