CRM導入のメリット① 日報の提出と保管をなくす
日報にかかる時間の大半は、書くことではなく提出と保管です。ファイルを作って名前を付けメールで送る作業は1回5分でも、毎日続けば1ヶ月で100分を超えます。CRMに日報を載せると提出は保存ボタン1回で終わり、検索と集計も同じ画面で完結します。入力項目の絞り方と、提出率を上げる3つの条件まで整理します。
日報にかかっている時間の大半は、書くことではなく「提出」と「保管」です。
ファイルを作り、名前を付け、メールに添付して送る。この作業は1回5分程度ですが、毎日続けると1ヶ月で100分を超えます。
CRMに日報を載せると、提出は保存ボタンを1回押すだけで終わります。書く時間は変わりませんが、その前後の作業がなくなります。
日報の何に時間がかかっているのか
日報の作成自体は、テンプレートを用意しておけばそれほど手間ではありません。エクセルやメールに直接打ち込む形でも、項目が決まっていれば数分で書けます。
時間がかかるのは、そのあとです。
- ファイルを保存する
- 分かるように名前を付ける
- メールに添付する
- 宛先を指定して送信する
1回5分として、月20営業日で100分。年間では20時間に達します。しかもこの100分は、書いた内容の質を1ミリも上げていません。
管理する側は何に困っているのか
日報をチェックする側にも、別の課題があります。個人のローカル環境で作成させ、メールで提出させているケースを前提に整理します。
1. 提出率が上がらない
提出が1つの操作で終わらないため、忙しい日から順に抜けます。管理側は未提出者に確認する作業が発生し、集まるはずのデータも欠けます。
2. 過去のデータを探せない
「あのファイルはどこに保存したか」「◯月◯日ごろの◯◯さんの日報だったはず」と、あいまいな記憶をたどって探すことになります。集計しようとすれば、ファイルを開いて手で転記する作業が発生します。
3. 誤送信のリスクがある
メールやFacebookのグループなどで日報の投稿を義務付けている場合、宛先の指定を誤ると顧客情報が外部に出ます。
CRMに載せると何が変わるのか
日報をCRMに移すと、担当する側と管理する側でそれぞれ変わる点があります。
| 従来(ローカル+メール) | CRM | |
|---|---|---|
| 入力 | テンプレートに記入 | 項目に沿って入力。スマートフォンからも可 |
| 提出 | 保存・命名・添付・送信で約5分 | 保存を1回押して完了 |
| 検索 | ファイルを探す | 顧客名・日付・担当者で絞り込み |
| 集計 | 手作業で転記 | 条件を指定して抽出 |
| 情報の範囲 | 宛先に指定した人だけ | 権限で設定した範囲 |
入力そのものを軽くする工夫も必要です。 項目やレイアウトを変更できるCRMであれば、日報の入力に特化した画面を作り、カレンダーの予定から訪問先を引き継ぐといった設定ができます。多くの製品がスマートフォン用のアプリを提供しているため、移動中の隙間時間にも入力できます。
そして日報を顧客レコードにひもづけて登録すると、日報が引き継ぎ資料になります。 担当が変わったとき、その顧客に対して過去に誰が何を話したかが、日付をまたいでそのまま残ります。
Zoho CRMで運用するとどうなるか
具体例として、Zoho CRMを使った場合の運用を挙げます。
1. レポート機能で提出をなくす
Zoho CRMには、CRM内の項目を条件指定して集計できるレポート機能があります。日報として報告したい項目だけを集計するレポートを1つ作り、指定した宛先へ毎日同じ時刻に自動送信する設定にしておきます。担当者が入力を済ませていれば、提出という操作は不要になります。
2. 顧客データと連動させる
日報をCRM上で作成すると、顧客のデータと活動の記録が同じ場所に残ります。「この会社に前回いつ誰が何を話したか」が、顧客の画面から確認できる状態になります。
3. カレンダーと連携させる
Googleカレンダーなど他のカレンダーと連携させると、登録済みの予定に対して訪問内容を入力する形にできます。日報を書くためにパソコンを開き直す必要がなくなります。
Zoho CRMそのものの機能や向き不向きはZoho CRMでできることにまとめています。
よくある失敗
1. 項目を増やしすぎる
導入のタイミングで「この情報も取りたい」という要望が集まり、入力項目が10を超えることがあります。その瞬間に日報は面倒な作業に戻ります。 最初は5項目以内から始め、足りなければ足してください。
2. 誰も読まない
入力した内容に誰も反応しないと、書く側にとっては報告のための作業になります。上長が短くても反応を返す運用を入れるだけで、継続率が変わります。
3. 集計に使わない
入力させておきながら、会議では別途手作業で作った資料を使っている状態です。この場合、日報は二重管理の片方になります。入力したデータを実際の判断に使うところまでを、業務のルールとして決めてください。 運用ルールの作り方はCRMの運用方法で扱っています。
まとめ
日報でCRMが効くのは、書く時間ではなく提出と保管の時間です。1回5分の作業が月100分になっている状態を、保存ボタン1回に置き換えます。
そのうえで、入力項目は最初5つ以内に絞り、顧客レコードにひもづけて登録してください。ひもづいた日報は、そのまま引き継ぎと検索に使えます。
集めた情報を1か所にまとめる話は顧客情報・商談情報の一元化、それを会議用に自動で出力する話は営業報告・共有の効率化、決めた改善策を実行させる話はPDCAサイクルの見える化・仕組化で扱っています。
トライエッジでは、日報や営業報告の設計から定着までを支援しています。詳しくはCRM構築・運用をご覧ください。ご相談はお問い合わせから承ります。
FAQよくあるご質問
Q. 日報をCRMで管理すると、どれくらい時間を短縮できますか?
短縮できるのは提出と保管の工程です。ファイルを作成し、名前を付け、メールに添付して送信するという一連の作業は1回5分程度ですが、毎日続けると1ヶ月で100分を超えます。CRMでは必要項目を入力したあと保存を1回押すだけで提出が完了するため、この時間がほぼ丸ごと不要になります。書く時間そのものは変わりません。
Q. 日報の入力項目はどこまで作り込めばよいですか?
あとで集計や検索に使う項目だけに絞ってください。最初は5項目以内が目安です。訪問先、面談相手、話した内容、次のアクション、次回予定の5つがあれば、活動量の集計と引き継ぎの両方に使えます。項目を増やすほど1件あたりの入力時間が延び、忙しい時期から順に入力が止まります。
Q. 日報の提出率を上げるには何をすればよいですか?
条件は3つです。1つ目は入力から提出までを1画面で完結させること。2つ目はスマートフォンからも入力できる状態にすること。3つ目は毎日18時までなど、提出の締切時刻をチームで決めておくことです。加えて、上長が日報の内容に短くても反応を返す運用を入れると、書く側の継続率が変わります。
Q. 日報と顧客情報は結びつけるべきですか?
結びつけてください。条件は、日報を独立した文書として保存するのではなく、顧客レコードにひもづく活動履歴として登録することです。こうしておくと、担当者が変わったときに、その顧客へ過去に何を話したかがそのまま引き継げます。ひもづいていない日報は日付順に並んだ文章の集まりでしかなく、検索の役に立ちません。
Q. メールやチャットで日報を提出するのは何が問題ですか?
問題は3つあります。過去分をさかのぼる検索が難しいこと、集計が毎回手作業になること、そして宛先を誤ったときに情報が外部へ漏れることです。3つ目はグループへの投稿を義務付けている場合に起きやすくなります。CRMであれば閲覧できる範囲を役割ごとに設定できるため、宛先を指定するという操作自体がなくなります。
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出典・執筆:株式会社トライエッジ/森本 貴行(CRM/営業戦略)。 2024年4月8日公開/2026年8月14日更新。