Excelで顧客管理をする方法:必要な項目とシート設計のルール
Excelでの顧客管理は、項目名を横・データを縦に並べ、行間や空白セルを作らないことが前提条件です。この形になっていないとソートもフィルタも効きません。BtoBで必要な5種類の項目と、シートを作るときの3つのルール、そしてExcelのままでは解決しない4つの限界をまとめて整理しました。
Excelで顧客管理をするなら、項目名を横方向(1行目)に並べ、入力データを縦方向(同じ列)に入れてください。そしてデータの中に行間や空白セルを作らないでください。
この形になっていないと、ソートもフィルタも効きません。 Excelで顧客を管理する価値のほとんどは、この2つの機能で「条件に合う顧客を絞り込めること」にあるため、並べ方を間違えると管理表として機能しなくなります。
この記事では、BtoBの顧客管理に必要な項目と、シートの作り方、そしてExcelのままでは解決しない限界を整理します。
顧客管理に必要な項目は何ですか?
顧客管理データに必要な項目は、事業がBtoBかBtoCかで異なります。ここでは、おもにBtoBについて必要とされる項目を挙げます。
- 企業情報:会社名、事業内容(業種)、所在地、電話番号、従業員数、売上規模、決算月、キーパーソン、上場区分、与信情報など
- 担当者情報:担当者氏名、部署名、電話番号、メールアドレス
- 接点履歴:アポイント、商談、電話、メールなど
- 対応履歴:クレーム、問い合わせ、ポジティブな反応など
- 購買履歴:購入・利用された商品、価格、回数など
同じBtoBでも、事業やサービスの特性ごとに必要項目の取捨選択は必要です。BtoCの場合は、さらに個人情報寄りの性別、生年月日、趣向、家族構成などの項目も役立ちます。ただし、使い道の決まっていない個人情報は、集めるほど管理責任だけが増えます。何の判断に使うかを決めてから項目を足してください。
シートはどう作ればよいですか?
Excelには項目を並び替える**「ソート機能」や、該当する行のみ抽出表示する「フィルタ機能」**があります。顧客管理では、この2つを使えるかどうかが実用性を決めます。
ルール1:項目名は横方向に並べ、入力データは縦(同列)に入力する
データ(情報)を横並びに入力するとソート・フィルター機能が使えません。1行目に項目名を並べ、1社(または1担当者)につき1行を使う形にしてください。
ルール2:データ内に行間や空白セルを作らない
行間や空白セルがあると並び替えや抽出の際にデータが途切れ、正確な情報が反映されません。見栄えは、セルの高さや幅を変えて調節します。
ルール3:タイトル行と表の間は1行空ける
表の見出しとして別途タイトルを置く場合、タイトル行とテーブル(表)の間は1行間隔を空けてください。
Excelで管理するメリットは何ですか?
少人数の会社や顧客の数が少ない会社、個人事業主であれば、顧客管理はExcelで十分な場合が多くあります。
コストが安い
Excelは、WindowsPCに標準ソフトとして搭載されることが多いでしょう。顧客管理にExcelを使えば、新たにコストを発生させる必要はありません。専用のクラウドのツールを導入・運用する場合と比較しても圧倒的にコストを抑えられます。
単純でわかりやすい
Excelは多くの会社で活用されており、その操作はビジネスパーソンのベーシックスキルです。そのため、多くの人が基本操作を習得しています。入力・編集・グラフ作成など操作はいたって単純で、誰もがわかる、扱いやすいツールです。使い方や見方を教える必要性が低いのもメリットの一つでしょう。
好きなように組み替えられる
Excelの活用範囲は広く、知識とスキルがあれば自由度の高い使い方が可能です。基本的なフォーマットは簡単に作成・変更・編集・組み換えができます。関数を使えば計算や分析などは容易になるでしょう。また、マクロを組めれば定型作業の自動化もできます。
Excelのままでは解決しない問題は何ですか?
シート設計を正しく行っても残る問題が4つあります。
同時編集ができない
Excelは、基本的に複数人での同時操作には向いていません。誰かが作業中の場合は、書き換えができず、ほかの人は自分の入力や処理を待つ必要があります。待つ間にほかの仕事をしていてExcel作業を忘れる、といったことも起きます。
オンライン機能により複数人での操作も可能ですが、共有設定には新たな操作が伴います。それでも同時に作業する場合、それぞれの入力や編集が確実に反映されなかったり、誤操作が起きたりすることがあります。
遠隔からの操作が難しい
Excelは、外出先やリモートワークなどオフィスから離れた場所からの操作はしにくくなります。外出先や自宅で使うデバイスによって、Excelのバージョン違いで見え方が異なることも多いのです。
同時編集ができない点と相まって、情報のアップデート作業が遅れたり滞ったりする可能性が高くなります。
情報共有に手間がかかる
Excelは、ファイルの情報共有にも難があります。共有サーバーに入れる方法もありますが、オフィス以外からの社内サーバーへのアクセスを制限しているところも多いでしょう。
そうなると、メールなどの添付・転送で共有するしかありません。手間がかかるだけでなく、あちこちにいるメンバーが操作した更新版が行き交うため、最新版の把握が困難になります。
高度な機能を習得するのが大変
Excelは、関数やマクロを使うと活用幅が広がり、業務効率も向上します。しかし、高度な機能を使うには、相応の知識とスキルが必要です。
高度な機能が用いられているほど、そのファイルの操作の難易度が上がり、扱える人が限られます。設定した数式やマクロが壊れた際に直すのが大変な点も、実務では効いてきます。
よくある失敗
Excelでの顧客管理で繰り返し起きるものを挙げます。
1. 1社を複数行に分けて書いてしまう
商談のたびに行を足すと、同じ会社が何行にもなり、社数が数えられなくなります。企業の一覧と履歴は別のシートに分けてください。
2. 会社名の表記が統一されていない
「◯◯株式会社」「◯◯(株)」「◯◯」が混在すると、同じ会社が別の会社として集計されます。入力規則で表記のルールを決めてください。
3. 色分けだけで状態を管理している
セルの色はソートもフィルタもできません。ステータスは必ず文字の列として持ってください。
4. ファイルが人数分に増えている
「営業A版」「最新版」「最新版2」が並び始めたら、Excelの限界を超えています。
判断ラインを超えたらどうしますか?
Excelを使い続けるか、別の方法に移るかは、人数と顧客情報の獲得経路の数で決まります。担当者が2人以上になり同時編集が必要になったときと、展示会とWebフォームのように獲得経路が2つ以上になったときが乗り換えの目安です。
3つの管理方法(Excel・クラウドの表計算・CRM)の比較と、乗り換えの判断ラインは顧客情報の管理方法3つの比較で扱っています。集めた情報を1か所にまとめる考え方は顧客情報の一元管理の記事を、移行を含めた導入全体の進め方はCRM導入の流れの記事をご覧ください。
トライエッジはHubSpotゴールドパートナーおよびZoho認定パートナーとして、企業の業務や顧客管理の目的に合わせたCRMの導入をサポートしています。Zoho CRMの料金と機能のように無料から始められる製品もあるため、まず使用感を試したいという段階からご相談いただけます。
まとめ
Excelで顧客管理をするなら、項目名を横・データを縦に並べ、空白セルを作らないことが前提です。この形が守られていれば、ソートとフィルタで十分に実用に耐えます。
一方で、同時編集、遠隔からの操作、共有、属人化の4点はExcelのままでは解決しません。担当者が増えたときに効いてくる問題なので、人数が増えるタイミングで見直してください。
FAQよくあるご質問
Q. Excelで顧客管理をするとき、最初に守るべきルールは何ですか?
2つあります。1つ目は、項目名を横方向(1行目)に並べ、入力データを縦方向(同じ列)に入力することです。データを横並びに入力すると、ソート機能とフィルタ機能が使えません。2つ目は、データ内に行間や空白セルを作らないことです。空白があると並び替えや抽出の際にデータが途切れ、正確な結果が出ません。見栄えはセルの高さや幅で調整してください。なお、タイトル行と表の間は1行空けます。
Q. BtoBの顧客管理で必要な項目は何ですか?
5種類に整理できます。企業情報(会社名、事業内容、所在地、電話番号、従業員数、売上規模、決算月、キーパーソン、上場区分、与信情報)、担当者情報(氏名、部署名、電話番号、メールアドレス)、接点履歴(アポイント、商談、電話、メール)、対応履歴(クレーム、問い合わせ、ポジティブな反応)、購買履歴(購入された商品、価格、回数)です。事業やサービスの特性に応じて取捨選択してください。
Q. BtoCの場合は項目が変わりますか?
変わります。BtoBの5種類に加えて、性別、生年月日、趣向、家族構成といった個人情報寄りの項目が役に立ちます。ただし個人情報の取り扱いには管理責任が伴うため、集める前に何の判断に使うかを決めてください。使い道の決まっていない個人情報は、集めるほどリスクだけが増えます。
Q. Excelで顧客管理を続けるメリットは何ですか?
3つあります。1つ目は追加コストがかからないこと。WindowsのPCに標準搭載されていることが多く、新たな契約が不要です。2つ目は多くの人が基本操作を習得済みで、使い方を教える必要が低いこと。3つ目は自由度が高く、フォーマットの作成・変更が簡単で、関数やマクロで計算や自動化ができることです。担当者が1人で顧客数が限られる場合は、Excelで十分に回ります。
Q. Excelのままでは解決しない問題は何ですか?
4つあります。1つ目は同時編集ができず、誰かが開いている間は他の人が待つこと。2つ目は外出先やリモートからの操作がしにくく、バージョン違いで見え方が変わること。3つ目はメール添付で共有すると更新版が行き交い、最新版が分からなくなること。4つ目は関数やマクロが高度になるほど扱える人が限られ、壊れたときに直せなくなることです。1つ目と4つ目は人数が増えるほど効いてきます。
出典・執筆:株式会社トライエッジ/森本 貴行(CRM/営業戦略)。 2024年4月8日公開/2026年8月14日更新。