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HOME MEDIA CRM / SFA 2024年4月8日

CRM導入で追加開発は必要か:業務フローに合わせるかの判断基準

CRM導入で追加開発が必要かは、その業務フローが代替の効かないものか、無いと致命的なものかで判断します。紙の営業日報が課題になった10名規模の人材派遣会社の事例では、日報の真の目的を捉え直して追加開発ゼロで導入し、廃止後も成果を伸ばしました。判断の3ステップと反発への対処を解説します。

CRM導入で追加開発が必要かどうかは、1つの基準で判断できます。その業務フローが「代替の効かないもの」か「無いと致命的なもの」かどうかです。

この基準で検討すると、多くの場合「開発するほどのものではない」という結論になります。 何らかの回避策がある場合がほとんどだからです。

この記事では、紙の営業日報が課題になった人材派遣会社の事例をもとに、判断の手順と、現場の反発にどう対処するかを説明します。

なぜ「業務フローに合わせる」と失敗しやすいのか

SFA / CRMを導入する際に最初に行うのが基本設計ですが、ここで苦労される方が多くいます。具体的には次のようなケースです。

  • 現在の業務フローに合うシステムがなく、なかなか導入するべきシステムが決まらない
  • 営業現場からの要望を集約するのに時間がかかる
  • 導入予定のシステムでは集めた要望を満たすことができず、追加開発の時間や費用がかかってしまう

当サイトでも以前「CRMの導入はシンプルにすべき3つの理由」という記事で取り上げましたが、SFA / CRMの導入で最も多い失敗は、現場の要望を聞きすぎてシステムが複雑になり、コストもかかった挙げ句、結局営業現場が使いこなせないという現象です。

SFA / CRMの導入にあたってどこまで業務フローに合わせるべきか?追加の開発はどうすべきかの画像1

CRMの導入はシンプルにすべき3つの理由

2019-07-05

SFA / CRMの設計はシンプルにすべきですが、そこで重要になるのが

基本設計自体を既存システムに合わせる

という考え方です。ここで言う基本設計が何を指すのかを、具体的な事例で見ていきます。

事例:紙の営業日報をどうするかが課題になった

具体例として挙げるのが、人材派遣会社です。

この会社は10名程度で組織されている営業チームを持っており、営業生産性を向上させるためにSFA / CRMの導入を検討していました。それまでその営業チームでは、各メンバーの顧客情報の管理は営業任せで、誰がどの企業へどんな営業をしているのかが分からず、重要な営業情報も蓄積されていませんでした。

そうした中で導入を目指したのですが、課題になったのが紙で作成されている**「営業日報」**でした。営業が日報を毎日上長に提出し、その日に何があったのか、課題は何かを報告する運用です。

人材派遣会社のSFA / CRMの導入にあたって、営業日報をどうするのかが課題となったの画像2

この営業日報という制度は、その営業チームにとってはとても重要で、営業活動を行ううえで欠かせないものでした。上長はこの日報をもとに各営業の行動を把握しており、案件の状況や売上予測もこの日報だよりでした。

一方、導入しようとしていたSFA / CRMには、営業の活動を集計したり顧客の情報を蓄積する機能は十分にあったものの、営業日報というフォーマットは無く、これまでと全く同じように情報を集約する機能がありませんでした(基本的にSFA / CRMには営業日報のような画一的なフォーマットがないことが多くあります)。

この会社は従来と同じ形の営業日報をSFA / CRM上で実現したいと考え、追加開発の相談を弊社に持ち込みました。

選択肢は2つある

こうした場合の対処は、概ね次のどちらかになります。

  1. 現行業務フローに合わせてSFA / CRMを開発する(SFA / CRMで営業日報を作成できるようにする)
  2. 既存の機能の範囲内で運用を行う

多くの企業が1を選ぼうとするのですが、本当に現行の業務フローに合わせなければならないのかを、先に検討する必要があります。

結論から言うと、事例の人材派遣会社は2の「既存の機能の範囲内で運用を行う」を選択し、全く開発を行わずに現場へのSFA / CRM導入に踏み切りました。

なぜ開発せずに済んだのか

理由は、この会社で使っていた営業日報の真の目的にあります。

営業日報の目的は、「各営業がどういった活動をしているのか、どういった案件を本日獲得したのか」といった情報を営業責任者が集約し、次の打ち手を営業組織として考えるための材料とすることです。

逆に言えば、これらの情報が必要な責任者にきちんと集約され、次の打ち手が分かれば十分です。 目的が明確になれば、日報という形式でなくても達成できます。

この会社の場合、SFA / CRMに備わっている営業活動・商談活動の集計機能を活用することで、営業日報を廃止できました。

廃止した当初は、一部の営業から反発が生まれました。 しかしSFA / CRMの運用が軌道に乗ると、他の情報で十分に代替できることが分かってきました。実際にその後、この営業チームは問題なく営業活動を行えており、大きく営業成果を伸ばすことに成功しています。

判断の基準と手順

では、どういう場合にシステムに業務を合わせ、どういう場合に開発するのか。ケースバイケースではありますが、私たちは次の基準で考えています。

その業務フローは「代替の効かないもの」もしくは「無いと致命的なもの」か

「他で代替ができる」「あったら便利」といったものであれば、SFA / CRMのシステム構成を優先すべきです。

実際の判断は、次の3ステップで進めます。

ステップ1:その業務フローの真の目的を1文で書き出す

「営業日報を作る」ではなく「責任者が各営業の活動を集約し、次の打ち手を決める」まで書きます。多くの要望は、この時点で形にこだわる必要がないことが分かります。

ステップ2:その目的を標準機能の別の使い方で達成できないか検討する

集計機能、レポート、ダッシュボード、通知など、既存の機能の組み合わせで目的を満たせないかを確認します。

ステップ3:代替できない場合だけ開発を検討する

ここまで来て初めて、費用と期間を見積もります。

よくある失敗

1. 要望をそのまま機能一覧に変換する

現場から出た要望を全部満たそうとすると、入力項目と画面が増え、結果として誰も使わないシステムになります。要望を集める工程は、実質的には要望を削る工程です。

2. 削る判断をする人を決めていない

合議で決めようとすると、誰も「それは要らない」と言えず、議論が止まります。判断する担当者を1人決めておくと進みます。

3. 廃止する業務の代替手段を示さずに廃止する

反発が長引く原因はここです。廃止する前に、その業務の目的と、代わりにどの画面のどの情報でその目的を満たすのかを示しておいてください。

導入全体の流れはCRM導入の流れ:7つの手順と、実際に止まる2つの工程、CRMとSFAのどちらの使い方が中心になるかはCRMとSFAの違いは「顧客」か「案件」かで扱っています。

まとめ

CRM導入で追加開発が必要かどうかは、その業務フローが代替の効かないものか、無いと致命的なものかで判断します。この基準で検討すると、開発するほどのものではないという結論になることがほとんどです。

事例の人材派遣会社は、営業日報の真の目的を捉え直したことで、開発ゼロで導入し、日報を廃止したあとも営業成果を伸ばしました。

営業生産性を向上させるために、SFA/CRMの活用しよう!の画像3

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FAQよくあるご質問

Q. CRM導入で追加開発は必要ですか?

多くの場合は不要です。判断の基準は1つで、その業務フローが代替の効かないものか、無いと致命的なものかどうかです。他で代替ができる、あったら便利、という程度であれば、標準機能の構成を優先してください。この基準で検討すると開発するほどのものではないという結論になることが多く、何らかの回避策がある場合がほとんどです。

Q. 追加開発するかどうかは、どんな手順で判断すればよいですか?

3ステップです。1つ目に、その業務フローが何のために存在するのか、真の目的を1文で書き出します。2つ目に、その目的を標準機能の別の使い方で達成できないかを検討します。3つ目に、代替できない場合だけ開発を検討します。多くの要望は1つ目で目的が言語化された時点で、形にこだわる必要がないことが分かります。

Q. 紙の営業日報はCRMで作れますか?

CRMには営業日報という画一的なフォーマットがないことが多く、そのままの形では再現できません。ただし日報の目的が、各営業がどんな活動をしてどんな案件を獲得したかを責任者が集約し、次の打ち手を考える材料にすることであれば、CRMに備わっている営業活動・商談活動の集計機能で代替できます。実際にこの方法で日報を廃止した10名規模の営業チームの事例があります。

Q. 現場の要望はどこまで反映すべきですか?

反映するのは、それが無いと業務が回らないものだけです。CRM導入で最も多い失敗は、現場の要望を聞きすぎてシステムが複雑になり、コストもかかったうえに営業現場が使いこなせなくなることです。要望を集める工程は、実質的には要望を削る工程だと考えてください。削る判断をする担当者を1人決めておくと進みます。

Q. 標準機能に業務を合わせると、現場は反発しませんか?

反発は起きます。事例の人材派遣会社でも、営業日報を廃止した当初は一部の営業から反発がありました。ただし運用が軌道に乗ると、他の情報で十分に代替できることが分かり、その後の営業活動に問題は出ませんでした。対策は、廃止する前にその業務の目的を明文化し、代わりにどの画面のどの情報でその目的を満たすのかを示しておくことです。

出典・執筆:株式会社トライエッジ/森本 貴行(CRM/営業戦略)。 2024年4月8日公開/2026年8月14日更新。

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